自閉症や発達障害はボタンやスイッチを押すのが好き

 

自閉症や発達障害はボタンやスイッチを押すのが好き

自閉症や発達障害の子供は様々なボタンやスイッチを触るのが好きな場合見られます。なお、ボタンやスイッチが好きだから障害を持つというわけではなく、健常児でも年齢の小さい頃は色々な家電製品や機器のボタンやスイッチを触るのが好きである傾向が見られます。

私も実際にかかわった事のある自閉症の子供の中でも、特に男の子ですが多くの子がスイッチ類に興味を持つ事が見られました。室内では照明やテレビのリモコンをパチパチ弄ったり、お散歩に行けば、玄関のインターホンを鳴らしてみたり、渡らないのに歩行者用信号のボタンを押してみたり。

子供によっても「ボタンを押したい」と目的を持ってボタンに向かうような子から、通りすがりにスッを手を出してボタンを押すような子まで様々です。

では、何故子供がボタンやスイッチをすきなのか様々な理由を調べ、その対処法などをまとめてみました。

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子供が好むボタンやスイッチ

私が実際に目にしたり保護者などから聞いた自閉症児や発達障害児が好むボタンやスイッチには以下の物があります。


家電類

電気、照明、テレビ、ゲーム機、ビデオ・DVDプレーヤー、携帯電話・スマートフォン、電気ポット、電子レンジ、炊飯器、パソコン、エアコン、CDデッキ

室内や生活用品

インターホン、お風呂の給湯スイッチ、トイレのウォシュレット、IHキッチン

公共物

バスの降車ボタン、押しボタン信号、エレベーター、自動販売機、券売機

その他

変わったものでは、人のホクロやイボ、出っ張った釘やネジの頭などを押そうとする事も見た事があります。

ボタンやスイッチが好きな子供は「このボタンやスイッチじゃなきゃ駄目だ」というよりも、スイッチやボタン類なら押せればどれでも良いという傾向が多いと感じます。また、どの場所でもスイッチやボタンを見ると押したがり、お店などに行っても店内の照明のスイッチを見つけて押そうとしたり、お外でも他人の玄関のインターホンを押そうとすることがあります。

ホームセンターや電気店などに行くとスイッチばかりで大変であったり、お散歩やお出かけをするにも玄関、バス、エレベーターなどのボタン類を目ざとく見つけるのが得意です。

一度見つけたボタンは忘れずにいることが多く、しばらくたってから訪れてもしっかり覚えていて、いつの間にか押していたり、逆にはじめての場所でもこういうところにボタンがあるだろうと自分で予想してボタンを押しに行くこともあります。

家庭内の話を聞いても、ボタンを押されたことにより録画予約が取り消されていたり、電話のボタンを押してどこかに繋がってしまったり、お風呂のお湯がいつの間にか沸いていたりという事も保護者から耳にすることがあります。

ボタンやスイッチが好きな理由

自閉症や発達障害の子供がボタンやスイッチを好きな理由は人により様々ですが、代表的な理由を調べてまとめてみました。

自分で操作や動作を行える

ボタンやスイッチは基本的に何かを操作したり動かすためにあります。例としては、車の窓の開閉、テレビのリモコンのチャンネル操作、玄関のチャイム、照明の付ける消すなどです。

基本的に自閉症や発達障害などの子供は、自分で何かを操作したり動作をすることが難しかったり、そのような行動をする機会も少ないことが多いです。健常児ならゲームでコントローラーを操作してキャラクターを自由に動かしたり、自転車やキックボードを運転したり、楽器を弾いたり、パソコンやスマホを使ったりして遊びますが、障害を持っているとそのようなことも困難な場合が多いです。

そのため、指ひとつで簡単に操作して物を動かす行為やその動きを楽しんだり、それによって達成感などを得ていることもあります。

また、ボタンやスイッチをパチパチと操作することで、実際には動かしていなくても何かを運転や操縦した気持ちになり楽しんでいることもあります。例えばボタンを動かすことで車の運転や電車の運転をしている気持ちになったり、ロボットの操縦をした気になったりです。

反応が好き

上の項目で書いたように、ボタンやスイッチは簡単に操作することができるだけでなく、ボタンやスイッチを動かしたことで、その後の動作や見た目や音などの変化が発生します。

ボタンやスイッチを操作したことにより、ブザーやチャイムなら音が出ますし、照明やライトは光、車のウィンドウなら窓の開閉など動作を見ることができます。

自閉症や発達障害の子供は、綺麗に点滅する光や、チャイムなどの音や、自動ドアや電車などの動きを好む子供も多く見られ、自分で操作したあとの物の変化や反応を見て楽しんでいるという事もあります。

押す感覚が好き

スイッチやボタンなどは多くの人が使いやすいよう、人間工学的に様々な工夫がされています。例えば、押すために必要な力、押した反応が分かる押し応えや反応、押したことが分かる「パチッ」「カチッ」という音などです。

これは、どのような人でも自然に使いやすいように、人間に心地よい押し具合やスムーズな動かし具合が調整されています。そのため、自閉症や発達障害の人にとっても、押したり操作したりするのはとても気持ちの良い感覚でもあります。

基本的に自閉症や発達障害の人は日常的に外部から感覚を得る機会が少なかったり、感覚を得ても感覚過敏や感覚鈍磨などで、適切な感覚を感じ取れないということもあります。

そのため、感覚遊びの一種として動かして心地よい刺激を得るためにボタンやスイッチを操作して楽しむということもあります。

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こだわりから

こだわりから何度もスイッチやボタンを押してしまうということも考えられます。

こだわりにはボタンやスイッチを押す感覚を得たいため以外にも、押した後の動作や変化の仕方が納得できなかったりする場合もあります。

自閉症や発達障害の人は、他人から見ると同じような動作でも様々な理由から動きが違うと感じたり、見た目が納得できないということがあります。

納得できない場合の理由には、動きの早さ、見た目、音、周囲の状況、前後の関係や順番など人により違います。

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相手からの反応を得たい

自閉症や発達障害の子供は他人との適切なコミュニケーションを取るのが難しいという大きな特徴があります。

そのため、他人とのコミュニケーションのひとつとして、いたずらや悪いことをして相手の気を引くような行動を取ることがあります。

相手の気を引く行動をとると、相手から「やめなさい」「駄目じゃない」「謝りなさい」など何らかの反応を得られます。コミュニケーションが不得意な場合、そのような理由で相手から反応を得ても喜んだり楽しむ事もあります。

ボタンやスイッチを弄ることでお母さんや先生などから反応が有ると学んでいる場合、このような行動に出ることがあります。

なお、相手からの反応を楽しんでいる場合は注意をしても、その行為自体が楽しみとなっているため、注意をするよりも無視など反応をしなかったり、別の良い行動を取った際に褒めるなどの反応をしてあげると良いでしょう。

ボタンやスイッチを押してしまう場合の対処方法

ボタンやスイッチを押してしまう場合の対処は状況によって様々なため、全ての子供に効果がある方法は難しいですが、代表的な方法は以下のようなものになります。

物理的に押せないようにする

特定のボタンを押してしまう場合、手っ取り早い方法としては物理的に押せないようにするというものがあります。

手の届かない場所や見えない場所に置く、電池や電源を抜く、カバーや鍵をかけるなどです。

実際に事例として『公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会』のサイトには、スイッチやボタン類を好む自閉症の子供への対応として、スイッチ類を収納し鍵をかけて対応させた事例もあります。
実践例:知的・発達障害のある子どもの住宅改造

また、幼児向けのスイッチ類保護カバーなどの市販されていたり、近年の家電製品にはチャイルドロックボタンの機能が付いているものも多いため、取扱説明書などを読んでみると良いと思います。

回数や時間を決める

ボタンやスイッチを何度も押してしまう場合には、回数や時間などを決める方法もあります。

回数には「ボタンは10回まで」と決めたり、時間では「5分間だけ」や「時計の針が何時を指すまで」と決めると良いでしょう。また、ボタンやスイッチを押していいのは「宿題をやった後」や「ご飯を食べた後」など時間帯として決める方法もあります。

代替品や押しても良いものを用意する

ボタンやスイッチを押して困る場合には、代用品や押しても良いスイッチなどを用意するという方法もあります。

スイッチを好むのは自閉症や発達障害の子供だけでなく、健常児の赤ちゃんや子供も好むことが知られており、知育玩具にもスイッチやボタンが付いているもの売られています。

また、成人でもADHD((注意欠陥・多動性障害)の人向けや、着座中にイライラして落ち着けない人に向けて手のひらサイズでスイッチやボタン類の付いているストレス解消用品なども販売されています。

このような商品を買ったり、ホームセンターの電気コーナーで安いボタンやスイッチを買ってきてボタンやスイッチの代用品にすることも出来ます。

家の照明など押してもそれほど実害のない場合はそのスイッチならある程度自由に押してよいルールにしたり、使わなくなったスマートフォンや携帯電話やリモコンなどを与えるという方法もあります。

しっかりと注意をする

話をして分かる子の場合には、押しては駄目なボタンやスイッチを押してしまう場合にはしっかりと注意をすることも必要になります。

言葉での注意だけでなく、ボタンやスイッチにバツ印や押してはいけないことを記載したカードやマークなどを貼っておくのも子供も分かりやすいので効果が有ります。

好きなだけ押させる

ボタンやスイッチがこだわりとなっている場合、好きなだけ押させる方法もあります。

こだわりの場合、無理に止めたりするとパニックになったり、別の問題行動やこだわりに繋がることもあります。

基本的に自閉症や発達障害のこだわりはそのうちに見られなくなったり、別の行動に移り変わる事が多く、本人が満足すると比較的短時間でこだわり行為が無くなる事もあります。

まとめ

自閉症や発達障害の子供がボタンやスイッチを触るのにも様々な理由があります。また、ボタンやスイッチは障害を持つ子供だけでなく、健常児でも魅力的で興味を持つものになります。

ボタンやスイッチ類にも子供が触っても問題ないものと、場合によっては事故や怪我などに繋がるものもあるので注意が必要をしましょう。触ってはいけないスイッチなどが有る場合にはしっかりと本人に触ってはいけない事を教えたり、保護カバーなどで物理的に触れないようにする事も必要となります。

ボタンやスイッチを触るこだわりもいつかは消えるたり、別のこだわりへと移り変わることが多いです。ボタンやスイッチを触っていても安全な場合にはある程度操作をさせてあげたり、代用品などで対応することも本人の楽しみや気持ちを落ち着かせるためにも良い方法のひとつになります。

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