外国人の自閉症や発達障害の子供との接し方や療育方法

   2018/03/21

外国人の自閉症や発達障害の子供との接し方や療育方法

現在日本に住んでいる外国人や働きに来ている外国人は増加傾向にあると言われています。
そんな外国人の子供の中にも、発達障害児や自閉症児もわずかでは有りますが見られます。
地域の支援学校や支援クラスにも外国人と見られる子供を目にする事も増えてきました。

管理人である私も、数は多くはありませんが、自閉症などの発達障害を持った外国の子供と接したことが有ります。その中で発達障害を持った外国の子供と接する中で困ったことや問題点、有効であったことなどをまとめてみました。

実際に接したことのある子供の国籍

実際に接した事のある障害を持った子供は、韓国人、中国人、アメリカ人、フィリピン人、インド人、パキスタン人、ブラジル人などで詳しい国籍は分かりませんが南米付近の子供と関わった事も有ります。

なお、国籍と書きましたが、親がその国の人であるだけで、法的な国籍は日本である事が多く、日本の教育や福祉を受けていました。また、父親が日本人、母親が日本人など所謂ハーフの子供の場合が多く見受けられます。

外国人の障害を持った子供との関わりについて

実際に私が自閉症などの発達障害の外国人の子供と係わった中で、気になった点や問題点などをまとめてみました。

言葉

自閉症の子供の場合には「コミュニケーションの困難」という、自閉症の条件とも言える大きな特徴が有り、言葉に関してはとても大きな問題となります。

両親が外国人の場合、日本の社会で生活する上での会話は日本語で行っていますが、家庭内の会話は母国語である事が多く、子供達も一番接する機会の多い親からは母国の言葉で話しかけられていたりと、母国の言葉を一番多く耳にする機会が多くなります。

そのため、子供たちが学校や療育機関で日本語を学んでいても自宅では母国語という事が多く、本人も混乱してしまったり、正しい言葉や文字を習得するのが難しくなってしまいます。

また、両親が家庭内の会話も日本語で行っている事も有りますが、ネイティブな日本語でないため、イントネーションが違ったり、いわゆるカタコトな日本語である事が多く、その子供の日本語の発音などがおかしい場合も多くみられます。

言語療法士に見てもらった際も「日本語は理解して話せているけど、親から聞いている日本語のせいか、発声がカタコトで言葉の発音を治すのは難しいですね」といわれた事も有ります。

日本語でのコミュニケーションや指示をする場合に関して、日本語の理解が難しい場合、実際の物を見せたり絵カードを使用する、場所やものなどを指差して指示する方法だと比較的理解ができる事が多いです。

長期の帰国

海外に親族などが居る場合には、長期にわたって帰国することが有ります。
海外に行ってしまうと、今まで親しんでいた日本語を使ったり聴いたりする機会が少なくなってしまうので、言葉を忘れてしまったりすることが有ります。逆に戻ってくると現地の言葉を覚えてくる場合も見られます。

海外だと生活習慣も変わってしまうので、子供本人や家族にとっても負担が大きいようです。特に偏食がある子供の場合は、日本で親しんでいた食べ物や味が手に入らなく、現地の食べ物を口にする事ができず大変だったという事も聞きました。特に料理に香辛料を多く使う国だと全く食べるものが無くて、お菓子と果物だけで現地の生活をしのいだ子供もいました。

学校へも長期にわたって行かなくなってしまうので、日本に戻ってきた際に学校へ行くのを嫌がったり、学校に登校しても暫くの間は落ち着かないことなども見られます。

このように海外へ長期間帰国してしまうと、本人が環境の変化に対応できなかったり、日本に戻ってきても今まで覚えていたことを忘れてしまう、落ち着くまで不安定になってしまうなどの問題も発生します。

宗教や文化

外国の子供と接する中で、文化面で一番大きな違いを感じたのはやはり宗教に係わる問題です。特に食べ物に関しては皆さんもご存知かと思いますが、イスラム教は豚肉を口にすることはできない、ヒンドゥー教は牛肉を口にする事ができないなどが有ります。

係わったことのあるイスラム教徒の障害児の場合、豚肉自体を食べさせることは止めて欲しいと要望がありましたが、豚肉が入っている食べ物でも肉自体を取り除けば大丈夫だと言われました。なので、スープや豚汁などは肉さえ入ってなければOKと回答を貰いました。

なお、同じイスラム教徒でも地域や宗派などにより、豚肉に関する考え方や食べていい条件などがそれぞれ違うとのことなので、イスラム教徒の子供に食事やおやつを提供する際には、必ずアセスメントなどで確認しておく必要が有ります。

また、これもイスラム教徒の人の話になってしまいますが、一部のイスラム教徒の人は大人になるとヒゲを蓄える習慣があります。支援学校の高等部でヒゲを蓄えた生徒を見た事もあるので、ヒゲだけでなく服装などの文化も尊重してあげる必要があります。

保護者とのやり取り

子供を預かったり療育を行う為には、保護者とのやり取りも重要になります。
しかし、保護者も外国人である場合には、日本語が上手ではなかったり、日本語が単語程度しか分からない場合が有ります。

こちらも英語などが出来ればよいのですが、いざ業務的な会話となると何をしゃべってよいのか分からないばかりか、間違った英語で意図と違うことを伝えてしまうかも知れません。

そのため、事前のアセスメントなどで保護者の方がどの程度日本語を理解しているかや、こちらがどのように情報を伝えれば分かりやすいかを確認する必要が有ります。

いままで行った方法では、書類などをひらがな表記やローマ字表記で行ったり、英語がある程度喋れるスタッフに窓口になってもらう方法を取りました。場合によっては保護者との間に市町村の担当者や、相談支援センターの担当者を挟んでやり取りを行う方法もあるかと思います。

学校での指導

基本的に学校での指導は特別な要望が無い場合は、通常の先生が生活している日本の社会にあわせ日本語で教育や指導を行っています。

なお、外国人に対応した学校やクラスが無い地域の場合には、子供の障害が無くても基礎的な日本語の教育を行う目的で、支援クラスや特別学級で外国人の子供の教育を行う場合も有ります。

名前

外国の人の名前は、文字数が長いものや発音が難しい場合がおおく、子供同士でも呼ぶのが困難になる事もあります。

そのため、事前に名前の変わりに呼んでも良いニックネームや愛称を保護者に教えてもらうことで、子供同士で名前を呼びやすくなり、コミュニケーションもとる事が出来るようになります。

まとめ

今まで私が自閉症などの発達障害を持つ外国の子供と接してきたことをまとめてみました。

実際に外国の子供と接する場合には、ここに記載した以外の多くの事柄に配慮する必要が出てくると思います。

大事なのはその人の国の宗教や文化などを尊重してあげることと、1人の子供として特徴や症状などを理解して接してあげることが必要になります。

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