自閉症の種類やタイプの分類

   2016/07/25

自閉症の種類やタイプの分類

自閉症には症状や特徴などから様々な種類やタイプに分けることが出来ます。一般的に用いられる自閉症スペクトラムの表での自閉度や知能指数からの分類が知られていますが、それ以外にも様々な自閉症が見られます。

ご存知のとおり自閉症といっても人により症状や特徴は様々で、同じ特性を持つ自閉症の人は居ないともいえますが、大雑把に自閉症の分類を調べてまとめてみました。

症状の名称からの分類

自閉症には特徴や症状などからいくつかの種類に分類されます。一部は自閉症ではない障害も含まれますが、関連する項目として記載しました。


発達障害

発達障害とは先天的または子供の発育期に発症し、その後に渡って肉体的や精神的に困難をもたらす障害です。

発達障害者支援法では「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義しています。

発達障害には「広汎性発達障害」「自閉症」「学習障害」「注意欠陥・多動性障害 (ADHD)」「知的障害」「脳性麻痺」「ダウン症候群などの染色体異常」などが含まれます。

広汎性発達障害

広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:PDD)とは、「コミュニケーション能力の遅れ」「社会性獲得の遅れ」などの発達遅滞を特徴とした5つの障害の総称です。

広汎性発達障害の含まれる障害には「特定不能の広汎性発達障害」「自閉症」「アスペルガー症候群」「レット症候群」「小児期崩壊性障害」があります。

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広汎性発達障害とは | 発達障害-自閉症.net

自閉症

自閉症とは「意思伝達やコミュニケーションの困難」「社会性や対人関係の困難」「想像力に乏しく興味や活動の範囲が狭く特定のものにこだわる」と言う特徴を持つ障害の総称です。

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自閉症とは | 発達障害-自閉症.net

低機能自閉症

低機能自閉症とは自閉傾向が強く、さらに知能指数が70以下と低く、知的障害を伴っている自閉症を指します。低機能自閉症を発見者のレオ・カナーに因んで「カナー症候群」と呼ぶ事も有ります。

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低機能自閉症(カナー症候群)とは | 発達障害-自閉症.net

高機能自閉症

高機能自閉症とは自閉傾向が強いながらも知的障害を持たないタイプの自閉症です。

文部科学省では「高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、他人との社会的関係の形成の困難さ、言葉の発達の遅れ、興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。」と定義しています。

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高機能自閉症とは | 発達障害-自閉症.net

アスペルガー症候群

アスペルガー症候群とは知的障害を持たないものの、コミュニケーション能力に問題に問題が見られる自閉症の一種とされる障害です。

文部科学省では「知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものである。」と定義しています。

アスペルガー症候群は特定の物事に強い興味を持ったり、同じ行動を繰り返すという自閉症に多い特徴が見られます。

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アスペルガー症候群とは | 発達障害-自閉症.net

折れ線型自閉症

折れ線型自閉症とは、一度は正常に発達したものの、ある程度の年齢(おおよそ3歳前後)で覚えた言葉や取得した動作などが無くなったり使えなくなったりしてしまうタイプの自閉症です。

成長度合いをグラフにした場合「折れ線状」になる事から「折れ線型自閉症」の名称が付けられています。また、「セットバック現象」と呼ばれる事も有ります。

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折れ線型自閉症とは | 発達障害-自閉症.net

小児期崩壊性障害

小児期崩壊性障害とは、2年以上正常な発達を見せた後に「知能」「言語」「社会性」「日常生活における行動」などの後退が始まり、後にそれらの行動が消失するタイプの障害です。

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小児期崩壊性障害とは | 発達障害-自閉症.net

レット症候群

レット症候群とは殆どが女児に発生し、知能・言語・運動機能の遅れ、小さな手足、手を揉んだり叩いたりするような動作などが見られる自閉症に良く似た障害です。

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レット症候群とは | 発達障害-自閉症.net

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発達障害の種類と特徴・症状 | 発達障害-自閉症.net

知能指数と自閉度の分類

自閉症スペクトラムの各分類や特徴を現す表に「知能指数」と「自閉度(自閉傾向)」を使った表が使われます。知能指数と自閉度では以下に記載する内容の分類が出来ます。

知能指数

知能指数(Intelligence Quotient, IQ)とは、知能検査の値を数値であらわしたものになります。知能指数は「健常者でおおよそ100」「70から85程度までをボーダー」「50から70が軽度知的障害」「35から50が中度知的障害」「それ以下を重度知的障害」と診断します。

自閉症スペクトラムにおいては知的障害ではないが自閉傾向が高い場合は「高機能自閉症」と呼ばれ「アスペルガー症候群」などの種類が有ります。一般的に「高機能自閉症」には言語の遅れが見られ、「アスペルガー症候群」には言語の遅れは見られないものとされています。

知的障害があり自閉傾向が高い場合には「低機能自閉症」と呼ばれ、「カナー症候群」などの種類が有ります。

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知的障害とは | 発達障害-自閉症.net

自閉度

自閉度とは自閉症の傾向の強弱を表す度合いで、様々な検査方法などでおおよその値が出されます。自閉度が高いと自閉症と診断されたり、知能指数とあわせて「自閉傾向のある知的障害者」「軽度のアスペルガー症候群」などと分類されます。

社会性からの分類

自閉症やアスペルガー症候群を社会性の面からの分類ででは「孤立型」「受動型」「積極奇異型」「尊大型」「大仰型」「適応型」などのタイプに分ける事が出来ます。

孤立型

孤立型とは周囲の人と関係を持とうとせず、人から離れて行動するタイプです。
他人に興味を示さないという理由以外に、他人からの干渉に不快を感じる場合や、聴覚過敏や視覚過敏などで人が居る騒がしい場所が苦手という理由から孤立を好んでいる場合が有ります。

受動型

受動型とは自分からは積極的に他人とは係わることはありませんが、相手から誘われた場合には応じることが出来るタイプです。相手に興味を持っているがどうやって誘ったらよいのか分からないという場合も有ります。

逆にこのタイプは誘われるがままで、嫌なことでも断れない(断り方を知らない)という場合もあるので注意が必要です。

積極奇異型

積極奇異型とは自分から積極的に他人へと係わろうとするタイプです。
他人へ係わる事ができますが、正しいコミュニケーションという意味では難しく、相手が嫌がっていても状況が読めず嫌がられたり、相手に対しての距離感が近すぎるといった問題を持つ場合も有ります。

尊大型

尊大型とは、コミュニケーションは取れるものの、自分の意思や主張を相手に対して一方的に押し付けてしまうタイプです。
本人としては悪気はないが、相手の気持ちや考えなどを考慮せずに発言してしまう為、相手を不快にさせたり傷つけてしまう事が有ります。

大仰型

大仰型とは、マイペースである一方決めたルールに対しては徹底的にこだわるという特徴を持つタイプです。また、会話の面では同級生や年下など誰に対しても敬語で会話するということが見られ、行動や会話から「修行僧のようだ」とも言われます。

適応型

適応型とは、特に問題なく社会や人間関係に適応できるタイプです。
自閉傾向や知的にほぼ問題ない軽度な人に見られます。

コミュニケーション面の分類

自閉症の人は他人と会話などのコミュニケーションを取るのが難しい場合が有ります。コミュニケーション面でも会話の有無や意思表示の方法などで分類することが出来ます。

言葉を喋ることが出来る

自閉症の中でも自閉傾向が低かったり知的に問題が無い場合には、言葉による会話でのコミュニケーションが取れる人もいます。しかし、言葉を喋ることが出来ても、正しい言葉遣いではなかったり、場の雰囲気に合った会話が難しい事も有ります。

言葉を発することが難しい

大半の自閉症の人は言葉を発するのが難しかったり、声が出ても言葉にならない事が有ります。言葉が出なくても文字や単語などは理解しており、文字を書く、スマートフォンやタブレットなどで文字を打つ、文字ボードを指差すなどでコミュニケーションをとる事が出来る人も多くいます。

サインやクレーン現象を用いる

重度の自閉症の人の場合は言葉や文字などでのコミュニケーションが難しく、行えない場合がほとんどです。文字などが理解できない人の場合にはマカトンサインやジェスチャーなどで意思を伝えたり、物事の要求で相手の手を取ってクレーン行動で伝えることが有ります。

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自閉症のコミュニケーションや意思表示方法 | 発達障害-自閉症.net

動作からの分類

自閉症の人は動作に対しても「多動タイプ」と「多動ではないタイプ」に分類することが出来ます。

多動タイプ

多動タイプとは落ち着いていることが出来ず、常に動き回っているような特徴です。椅子などに座っていることが苦手だったり、列に並んで待ったりすることが不得意です。

また、走り回るだけでなく手や足をばたばたしたり、貧乏揺すりや、体をクネクネ・モジモジさせるようなタイプも見られます。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の人にも多動の特徴が多く見られます。

多動ではないタイプ

多動ではないタイプの場合は、動きが健常の人と同じように落ち着いていたり、逆に体を動かすことが好きではないという事が多いです。
しかし、興味がある物を見つけると突発的に走り出したり、パニックなどで暴れたりする事もあるので注意が必要です。

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自閉症と多動 – 自閉症と発達障害の特徴・特性 | 発達障害-自閉症.net

感覚過敏からの分類

自閉症や発達障害の人は様々な感覚が敏感な感覚過敏で有ったり、逆に感覚が鈍く鈍感な場合が有ります。感覚に対しては「聴覚の過敏」「視力の過敏」「味覚の過敏」「触覚の過敏」「臭いの過敏」「光や暗さに対する過敏」「暑さ寒さへの過敏」など様々なものが見られます。

こだわりからの分類

自閉症の人は様々な物事にこだわります。代表的なこだわりには「人間関係」「場所」「位置・配置」「順序・順番」「食べ物」「洋服」「時間」「動作」など多岐にわたります。

こだわりは人によってそれぞれ違い、こだわりも時間と共に無くなったり、新たなこだわりが増えたりします。

パニックからの分類

イライラしたり、不安やストレスを感じるとパニックを起こす自閉症の人もいます。パニックの原因には「不安」「不満」「イライラなどのストレス」「見通しが付かない」「予期していない突発的な事が発生した」など様々です。

パニックにも「暴れる」「大声を出す」「泣き叫ぶ」「固まって動けなくなる」など人により様々なものが見られます。

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パニックとその対処方法- 自閉症と発達障害の特徴・特性 | 発達障害-自閉症.net

自傷や他害・他障からの分類

イライラしたりパニックになると自傷行為をしたり、他人に対して危害を加えたりするタイプの人もいます。

自傷行為

自傷行為には自分の腕や足を噛む。顔や頭を叩く。爪をむしる。髪の毛を引き抜く。壁や床に頭や顔を打ち付けるなどが有ります。

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自傷行為の原因と対処法- 自閉症と発達障害の特徴・特性 | 発達障害-自閉症.net

他害行為・他障行為

他人に傷つけてしまう行為には、「叩く」「蹴る」「噛み付く」「引っかく」「押す」「飛び乗る」等が有ります。

関連ページ
他害・他傷・暴力行為の原因と対処法- 自閉症と発達障害の特徴・特性 | 発達障害-自閉症.net

物にあたる

中には物も投げつけたり、壁やガラスなどを叩いて壊してしまう人もいます。

てんかん発作の有無からの分類

てんかん(癲癇)とは脳細胞の中で「てんかん放電」と呼ばれる異常な神経活動により「てんかん発作」を来たす症状です。自閉症の人の約20%がてんかん発作を持ち、発作が見られない自閉症の人でも約半数近くがてんかんを引き起こす可能性の脳波を持っているとされています。

小さい頃にてんかん発作が見られなくても成長に伴い発作が表れるようになる事も有ります。特に思春期の頃になると急にてんかん発作を発症する子供が増えるので注意が必要となります。

関連ページ
癲癇(てんかん)- 自閉症と発達障害の特徴・特性 | 発達障害-自閉症.net

まとめ

自閉症の種類やタイプの分類を大雑把にまとめてみました。

自閉症は人により症状や特徴は様々で、それぞれのこだわりや二次障害なども含めると同じ症状の人は居ません。しかし、一つ一つの特徴では似た行動を示す事もあるので、書籍などの対応方法などは参考になる事も有ると思います。

自閉症の人の特徴などはそれぞれが個性ととらえ、一人一人に一番会った生活方法や対応方法を行うことが重要になります。

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