児童発達支援管理責任者(児発管)とは

   2019/04/02

児童発達支援管理責任者(児発管)とは

児童発達支援管理責任者とは、「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」の事業所において、児童への支援を行う際に様々な面から管理を行う職種になります。通称や略語で「児発管」と呼ばれる事も有ります。

児童発達支援管理責任者の主な職務には「利用計画書の作成」「利用者へのアセスメントやモニタリング」「保護者との相談支援」「他の指導員への助言や指導」などがあり、様々な経験や知識、利用者への対応能力や施設スタッフへの管理能力などが必要となります。

そのため、施設の管理者は資格や実務経験などは必要とされていませんが、児童発達支援管理責任者には実務経験と都道府県や一部の政令指定都市が行う研修を受講する必要が有ります。

児童発達支援管理責任者が必要となるサービス

児童発達支援管理責任者が必要となるサービスには以下のものが有ります。

「児童発達支援センター」「児童発達支援事業」「放課後等デイサービス」「保育所等訪問支援」「福祉型障害児入所施設」「医療型障害児入所施設」。

これらの施設では人員配置の基準に「児童発達支援管理責任者」が1名以上必要と定められています。

何らかの理由で児童発達支援管理責任者が不在となった場合には「児童発達支援管理責任者専任加算」が受給できなくなり、事業所への給付金が少なくなってしまいます。(※児童発達支援管理責任者専任加算については平成30年4月の報酬改定により廃止されました。)

報酬改定により平成30年4月以降は、児童発達支援管理責任者が不在となると児童発達支援管理責任者欠如減算となり、欠如した月の翌々月から基本報酬が30パーセント減算し、減算が適応された月から連続して5ヶ月以上児童発達支援管理責任者が不在の場合には基本報酬が50パーセント減算となります。

人員配置上、児童発達支援管理責任者と施設の管理者の兼務は可能ですが、指導員との兼務は出来ません。多機能型事業所においては他のサービスの児童発達支援管理責任者やサービス管理責任者との兼務が可能となっています。

なお、児童発達支援センターと医療型児童発達支援センターにおいて管理者の配置は基本報酬の中で評価をしている為、管理者との兼務ではなく専任の児童発達支援管理責任者を配置する必要が有ります。

児童発達支援管理責任者の職務や仕事内容

児童発達支援管理責任者の職務や仕事内容は、「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」において、利用者を支援する内容全てであると行っても過言ではありません。主な仕事内容には以下のものが有ります。

細かい内容は以下の関連ページにも記載して有ります。

関連ページ
児童発達支援管理責任者の役割と業務・仕事内容 | 発達障害-自閉症.net

子供と保護者へのアセスメント

施設を利用する前に必要なのがアセスメントです。アセスメントには子供の障害や特徴、現在置かれている状況や環境などの情報収集を行い事前評価をします。

サービス計画の作成

アセスメントを行った情報を踏まえて、サービスを利用する為の計画書を作成します。作成にはアセスメントの内容だけではなく、相談支援事業所が作成した計画書などがあればそれも参考にします。

活動内容や支援内容の立案

児童発達支援や放課後等デイサービスを利用する上で、どのような内容の支援を提供するかを立案します。これは子供一人一人の課題や特性などを考慮し、事業所スタッフとチームとして検討していく必要が有ります。

適切な支援の提供

利用者のニーズや目標を理解し適切な支援を行う必要が有ります。支援の開始前には施設のスタッフとの意識をあわせる事も重要です。
適切な支援には課題や目標だけではなく、利用者の状況を考え活動環境の配慮や安全性にも考慮が必要となります。

モニタリング

児童発達支援や放課後等デイサービスでは概ね6ヶ月に1回以上のモニタリング(状況把握)を行う必要が有ります。モニタリングでは6ヶ月間で提供した支援内容の見直しや、目標に対する達成度の評価を行います。

この際にサービス計画の変更が必要となった場合は、現状に適した内容に変更する必要が有ります。

施設内の指導員やスタッフへの実技指導や助言

施設スタッフに対し、支援を行う上での技術指導や助言を行い、場合によっては管理者と連携して知識や技能の習得を目的とした研修会や講習会などを行う必要も有ります。
また児童発達支援管理責任者自らも、知識や技能向上に努め、様々な研修に受講するのが望ましいです。

関係機関との連携

地域や利用者における関係機関と連携し、様々な情報交換をする必要が有ります。

関係機関には「相談支援事業所」「学校」「保育所・幼稚園」「児童発達支援センター」「医療機関」「専門機関」「他の児童発達支援事業所や放課後等デイサービス」「学童保育施設」「自治会」「自治体」などです。

地域によっては自立支援協議会、子供部会、相談支援部会、就労部会などを実施している事も有ります。

保護者との連携

家庭や学校の様子、医療状況など保護者との連携も密に行います。また、サービス提供時間内に行えない指導や、家庭内で行ったほうが良い事などを助言する事も有ります。

場合によっては保護者からの相談を受け付け、それに対する支援を行う事も有ります。

保護者や利用者への説明責任

作成したサービス計画の内容や目的を説明し、同意を得る必要が有ります。

さらには、サービスを利用するに当たっての運営規定や重要事項、利用料金等の説明書を作成し説明します。そのため、運営規定の内容や、利用者の負担額や報酬算定額などを理解しなくてはいけません。

緊急時への対応

サービス提供中に怪我や事故などが発生した場合を考慮し、対応方法やマニュアルを整備して、事故が発生した場合には速やかに対応や保護者への連絡などを行います。

医療ケアが必要な利用者や癲癇の有る利用者の場合には、緊急時の対応方法を熟知したのスタッフにも周知しておく必要が有ります。

また、管理者と連携し災害時に対してもマニュアルの整備や、避難経路の確認などを行い、定期的な避難訓練なども行う必要が有ります。

虐待防止への取り組み

虐待を行わないよう、事業所内での虐待防止研修や虐待防止のチェックリストの作成と実施などを行います。子供の状態や保護者の態度などから、家庭内や他の事業所での虐待の発見に努める必要も有ります。

身体拘束時の対応

基本的に体を押さえ込んだり、室内などに閉じ込めるような身体拘束を基本的に行ってはいけません。しかし、本人や周囲への人へ怪我などの危険性が有る場合には、やむを得ず身体の拘束を行なう場合も有ります。

身体拘束を行う場合には、身体拘束の必要性、代替手段などを検討し、施設全体で決定をする必要が有ります。また、事前に本人や保護者に身体拘束を行う可能性を説明し了解を得る必要が有ります。

児童発達支援管理責任者の要件

児童発達支援管理責任者になるには、様々な要件が必要となります。

要件は障害者・児の保健、医療、福祉、就労、教育分野において相談支援業務や直接支援業務の経験が有り、資格や経験内容により3年から10年の実務経験が必要となります。

要件は平成24年3月30日に厚生労働省より告示された「障害児通所支援又は障害児入所支援の提供の管理を行う者として厚生労働大臣が定めるもの」に規定されています。

なお、記載してある内容は平成28年10月1日現在の情報となります。

相談支援業務の実務経験による要件

相談支援業務は該当の施設、保健機関、医療機関、就労支援センター、特別支援学校などで、5年以上相談支援を行った経験があると要件に当てはまります。

主な該当施設には「地域生活支援事業所」「障がい児相談支援事業所」「児童相談所」「福祉事業所」「老人福祉施設」「地域包括支援センター」「障害者就職センター」「特別支援学校」などが有ります。

指定された国家資格を持ち実務経験による要件

以下に記載する指定された国家資格を持ち「相談支援業務」と「直接支援業務」が通算して3年以上ある場合も要件に当てはまります。

この際の指定された国家資格とは「医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士又は精神保健福祉士」の種類になります。

直接支援による要件

「社会福祉主事任用資格」「訪問介護員2級以上(ヘルパー2級)」「保育士」「児童指導員任用資格者」「精神障害者社会復帰指導員任用資格者」の資格を持ち、障害児者や老人福祉施設などにおいて5年以上の直接支援経験があると要件に当てはまります。

上記の資格を持っていない場合は、10年以上の直接支援の経験があると要件に当てはまります。

直接支援として認められる主な施設には「障害者支援施設」「障害児者入所施設」「障害児者通所施設」「老人福祉施設」「訪問介護事業所」「特別支援学校」「特別支援学級」「療養病棟」などが有ります。

実務経験の日数

記載されている「○年以上の実務経験」とは、1年あたり実際に勤務した日数が180日以上と定められています。

5年以上と記載が有る場合には900日以上の勤務日数、10年以上と記載が有る場合には1800日以上の勤務日数が必要となります。

実際の詳しい要件は、児童発達支援管理責任者として届け出る都道府県や政令指定都市の担当部署に確認を行ってください。

児童発達支援管理責任者の研修

児童発達支援管理責任者の研修は「児童発達支援管理責任者研修」として、都道府県または一部の政令指定都市が行っています。詳しい研修の内容や日時は、研修を行っている都道府県や政令指定都市に確認を行ってください。

児童発達支援管理責任者研修を受講するには上記の児童発達支援管理責任者の要件を満たしている必要が有ります。

児童発達支援管理責任者の研修は通常3日間の日程になります。
1回目は共通講義としてテキスト等による座学で、2回目と3回目は分野別研修となり、実際に「アセスメントの方法」「個別支援計画書や利用計画書の作成」「支援内容の確認」「支援会議でのマネジメント」などを演習します。

さらに相談支援従事者初任者研修の共通講義を受講していない場合は、相談支援従事者初任者研修共通講義部分の2日間の研修も受講する必要が有ります。

事前に課題として、支援計画書や利用計画書の作成を求められる場合も有ります。研修を受講する際には都道府県や開催団体から説明があると思いますので確認をしてください。

まとめ

児童発達支援管理責任者は児童発達支援や放課後等デイサービスに必要な人材です。そのため、相談や計画書の作成など子供の発達に関する支援から、施設スタッフのマネージメントまで幅広い知識や技能や経験が必要となります。

児童発達支援管理責任者は研修を受講して資格を持つことが目的ではありません。むしろ、資格を持ち実際に事業所に配置されてからが本番となります。

大変ですが子供の発達に大きく係わることの出来る仕事で、多くのやりがいも感じられると思います。

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