自閉症と耳をふさぐ行為
自閉症と耳をふさぐ行為
自閉症の子供は嫌な音が聞こえると、耳を押さえたり耳をふさいだりすることが有ります。
このページでは耳を塞いでしまう行為の原因となる理由と対処法をまとめてみました。
耳を塞ぐ理由
嫌な音が聞こえると耳を塞いでしまう理由には、自閉症や発達障害の子供の特徴として「聴覚過敏」「音の聞き分けが難しい」「不安や緊張を感じている」「自分を落ち着かせている」と言うものが考えられます。
なお、音の変化を楽しむために、耳を塞いだり離したりして遊ぶ子も少なからず存在します。
聴覚過敏
聴覚過敏とは耳の感覚が通常よりも過敏で有るために、健常者が聞く音よりも大きく聞こえてうるさく感じてしまったり、意識しないと聞き取れないような雑音や話し声なども感じ取ってしまう症状です。
単純に音が大きいだけでなく。聞こえる音が嫌な音で有ったり、聞こえた音から嫌なことを連想してしまいその音が聞こえないように耳を押さえてしまう場合も有ります。
中には周囲に居る親は何も聞こえなくても急に耳を塞いでしまう事もあるため、本人にしか聞き取れないような音を感じ取ってしまう子供も見られます。
なお、自動車や電車や機械などが好きな子供の場合、音は苦手で耳を押さえてしまっても音の原因となる自動車や電車や機械自体は大好きなため、嫌そうにしたり不安そうにすることは無く、ニコニコと嬉しそうにする様子が見られることも有ります。
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音の聞き分けが難しい
自閉症の子供は聴覚過敏のほかに、音や話し声の聞き分けをするのが難しい場合が有ります。
通常の人は友達と人ごみで会話をしている場合でも、友達の声と他人の声の聞き分けができるので友達との会話が成り立ち、他の人たちの声やその他の雑音は耳に入らず意識をすることはありません。しかし、自閉症などで音の聞き分けができない場合、人の声は勿論のこと雑音や車の音などもずべて一度に耳に入ってきてしまい混乱やパニックの原因となります。
似たような例として私の知り合いの精神にトラブルを抱えている方は、人ごみの中や沢山の人がいる場合それぞれの会話がいっせいに聞こえてしまい、誰と誰が話しているのかわからず混乱してしまうと話していました。
不快や不安や緊張をしている場合
極度の不快感や不安を感じたり緊張をしている場合にも、耳を押さえることが見られます。この場合は耳を押さえると同時に目をつぶってしまったり、その場にしゃがみこんでしまうような事も見られます。
不安や不快を感じている場合には表情からその様子が感じ取れると思いますので、パニックなどになる前に感じている不安や緊張を和らげたり、他の方向に意識を切り替えてあげるのが効果的です。
犬の鳴き声や赤ちゃんの泣き声が苦手な場合には、不安から犬や赤ちゃんを見ただけで「この犬は吠えるのではないか?」「この赤ちゃんは大声で泣くのではないか」と思って耳をふさいでしまうことも有ります。
自分を落ち着かせる場合
自分を落ち着かせている場合は上記の「聴覚過敏」「音の聞き分けが難しい」「不快や不安や緊張をしている」の全てのパターンで見られることがあります。
何らかの原因で気持ちが不安定になってしまった場合、自分で静かな環境を作り出し落ち着こうとしているのだと思います。
耳塞ぎの方法
耳を塞ぐ方法には「指を耳の中に入れる」「耳を手のひらで押さえる」「耳を折りたたんで蓋状にしてしまう」「肩や腕などで押さえる」などの方法が見られます。
耳を塞いでいる間隔は音が聞こえなくなったらすぐに止める場合から、パニックになってしまった本人が自分で落ち着けるまで何分も続く場合が有ります。
人ごみやうるさい場所だと、その場を離れたり音がやむまでずっと耳を押さえている場合もあり、その間は何もできなくなってしまうという事もあります。
また、嫌な音が聞こえないように耳を押さえなつつ、自分で大きな声を出したり歌を歌ったりして音を掻き消そうとする子供も居ます。
耳塞ぎを解消するには
耳ふさぎを解消するには本人がその音に対して耐性が付いて苦手意識が無くあるまで治すことは難しいと思います。
耳をふさぐ行為の代用として「ヘッドホン」「耳栓」「イヤーマフ」「イヤホン」などを使用するのも良いと思います。耳栓には自分で聞こえる音量を調節できるものや、ノイズキャンセリング機能の付いたイヤホンなども販売されています。
中には感覚過敏でイヤーマフなどをつけるのを嫌がってしまう子供も居るので、その場合にはイヤホンや耳栓など個々の特性に応じた道具を使う必要が有ります。
なお、ヘッドホンやイヤーマフなどを付けると落ち着くため、常に耳に付けっぱなしとなり依存してしまう事も有ります。必要以上に依存をしないよう、ヘッドホンやイヤーマフなどは普段は決められた場所に置いたり自分のバッグなどで管理し、嫌な音が聞こえたときのみ使用するようにすると良いでしょう。
別の解決方法としては音の聞こえない場所に移動するのも効果が有ります。単純に音が苦手な場合には苦手な音が聞こえない場所に行くのが良いでしょう。
最初は誰かが静かな小部屋などに誘導して、ここなら静かで落ち着ける場所だということを教えてあげるようにします。そしてゆくゆくは本人自身で静かな場所へ移動できるようにすると、音に対して自分で対処する方法を学ぶことが出来るようになります。