右と左が判断できない左右盲(左右失認)とは

   2018/08/22

右と左が判断できない左右盲(左右失認)とは

左右盲とはとっさに左右の区別が出来ない事や、左右の区別を出来ない人を指す言葉です。「左右盲」は正式な病名や学術用語ではなく、「左右失認」と呼ばれる事も有ります。

何もしていない状態だと左右は理解できても、車の運転などの動作をしている場合に左右が分からなくなったり、とっさに右や左を指示された場合に分からなくなるのも一般的に左右盲とされるようです。

大多数の左右盲の人は左右の方向がまったく分からないわけではなく、言葉などで指示された場合に、言葉と実際の方向を結びつけるのに多少の時間を要します。
そのため左右盲でも方向音痴で有るとは限りません。

なお、有名人の左右盲としては、俳優である堺雅人さんがテレビ番組で「左右の理解が難しい」と話したことがあるそうです。

左右盲の症状

左右盲になると、左右の理解や判断が難しくなってしまいます。
比較的多いのは、とっさに左右を指示されると自分の頭で理解できるまでに数秒かかってしまうという症状です。

左右盲になると車の運転時や道案内時に左右が判断できない、「C」の文字を使う視力検査でどちらが空いている側か答えられなくなる、スポーツなどで監督などの指示を受けてもとっさに動けなくなるなどの問題が発生します。

左右盲であると言葉での「ひだり・みぎ」だけでなく「さゆう」や、矢印での「←→」、記号での「◀▶」「▶◀」「㊨」「㊧」などもとっさに判断できないことが有ります。
記号での判断が難しいとエレベータの「開く(◀▶)」「閉める(▶◀)」ボタンの表記でも混乱してしまう事が有ります。

また、似たような症状で、理解はしているもののとっさに似たような言葉や物が判断できないというものも有ります。例えば「エレベータとエスカレータ」「アメリカンドックとフランクフルト」「切手と切符」「うつ伏せと仰向け」「洗濯機と冷蔵庫」「チャイルドシートとベビーカー」などの名称が代表的です。

左右盲の原因

左右盲は病気などでは無いとされているため、今現在でもあまり研究はされていないようです。
なので、左右盲となる直接の原因は解明されていませんが、左右盲になると考えられている事柄を調べてみました。

左利きである

必ずしも左利きの人が左右盲になるわけではありませんが、利き手が左の人の方が左右が理解しにくいといわれています。

子供の頃に左右を覚えるのに一般的な方法として「お箸を持つ手が右。お茶碗をもつ手が左」と声をかけることが多いと思います。
これは右利きの人を基準に考えられているため、左利きの人だと逆の手になってしまうので混乱してしまいます。

また、公共の場では手すりやノブの位置、自動販売機の硬貨投入口、自動改札の切符投入口も右利きの人を対象に設計されているため、日常生活において無意識に利き手と左右を逆に使っている事も考えられます。

利き手を矯正した

上記の「左利き」であるという理由と似ていますが、左利きを右利きに矯正した場合も左右の向きが混乱してしまう事が有ります。

左利きから右利きに完全に矯正できた場合はあまり問題ないようですが、「文字を書くのは右手だが、痒いところをかく場合に左手を使う」など両方の手を使える場合は特に、左右の認識が分からなくなってしまいます。

感覚的に理解が難しい

左右と言うのは感覚的にとても理解が難しい方向です。
自分を中心としてみた場合に「前後」「上下」「左右」の6方向存在します。

「前後」は自分の目で見て、見える方向が「前」、見えない方向が「後ろ」と判断することが出来ます。

「上下」は無意識のうちに重力を感じているため、物が落ちる方向が「下」、物が登る・上がる方向が「上」と判断したり、頭の方向が「上」、足の方向が「下」と判断する事もできます。

「左右」においては判断する基準となるものが無いため、感覚的に理解をするのが難しくなります。

習い事の中で左右を覚えた

ダンスやスポーツなどを行う中で左右を覚えた場合左右盲になってしまうことが有るようです。
スポーツの中でもダンスなど、先生が前に立ち向き合って行う場合や、鏡越しで先生の動きを見る場合に、先生の言う左右と実際に見える左右の向きが反対になってしまいます。
そのことで、見える左右と感覚の左右が逆になってしまい、左右の理解が難しくなる事が有ります。

左右(さゆう)の言葉や文字が分かりにくい

左と右を合わせて左右(さゆう)と言う言葉を使うことが有ります。左右という言葉は話す分には使いやすいですが、実際には感覚として分かりにくい言葉や文字でもあります。

これは「左」と「右」の漢字の見た目がそれぞれ似ている事と、「ウ」「サ」の発音もそれぞれ1文字なので、耳から聞いても判断する材料が少ないことがあげられます。

車の運転中などに「左折(させつ)」「右折(うせつ)」と言われても、とっさに判断するのが難しくなる事があると思いますが、「ひだりに曲がる」「みぎに曲がる」という言葉だとすこし分かりやすくなると思います。

さらに文字の場合「左側」「右側」と書くのではなく、「ひだり側」「みぎ側」と書くとかなり理解しやすくなります。平仮名にすると「左」は「ひだり」と3文字、「右」は「みぎ」と2文字であるため、文字数の違いとしても視覚的に判断が容易になります。

病気である

左右の理解ができなくなる病気の一つに「ゲルストマン症候群」と言うものが有ります。
この病気は、脳卒中や脳の損傷などで脳の特定の場所に病気などが存在すると発生することが有ります。

ゲルストマン症候群の症状として「左右が理解できなくなる」「指定された指先が動かせなくなる」「暗算や筆算などの計算が出来なくなる」「文字を書くことが出来なくなる」と言うものが有ります。

そのほかにも脳に何らかの病気などがあると、左右や方向が分からなくなったり、聞いた言葉と物事が一致しなくなる症状が見られることが有ります。

左右盲の対処法

左右盲の対処方法は人それぞれで「お箸を持つ方」「ボールを投げる方」「力が入りやすい方」「傷や怪我の痕が有る方」など手の感覚から左右を判断したり、視覚から「自室のテレビがある方向」「窓からビルが見える方向」「トイレの方向」などで左右を確認する場合も有るようです。

いつも同じ側にカバンを持つ、手袋や腕時計やブレスレットをつけるなど、持ち物や装飾品で左右を認識させる方法もあります。

車の運転をする場合には手の甲やハンドルなどの見える位置に自分で理解しやすい左右のマークを入れるなども効果的です。

なお、特定条件や方角などを左右の判断材料にしている場合、目安となる条件や物が無かったり、方角自体が分からなくなる場合があるので注意が必要です。

また、左右盲の人へ左右を指示する場合は少し早めに方向を教える、言葉で左右を伝えるのではなく指差しや方などを叩いて方向を指示したり、「○○の方向に曲がって」など視覚的に理解しやすい方法で教えるのが効果的です。

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