発達障害の子供が気持ちや感情のコントロールができない理由とその対処法

 

発達障害の子供が気持ちや感情のコントロールができない理由とその対処法

発達障害の子供は、自分の感情をコントロールするのが難しかったり苦手だということがあります。

思い通りに物事が進まなかったり、やりたい事をとめられたり、注意や叱責をうけるとストレスを感じて癇癪を起こしたり、場合によってはパニックに繋がってしまうことも。

年齢の小さい子供のうちは、特に感情をコントロールが難しく、些細なことで怒ったりすることが多く見られます。

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感情のコントロールができない理由


発達障害の子供が感情のコントロールができないのには、その特性からいくつかの理由があります。

感情の理解ができない

発達障害の特徴のひとつに、自分の感情の理解が乏しいというものがあります。
これは感情が無いということではないのですが、自分が感じている気持ちがはっきりとわからない場合があるためです。

たとえば嫌な感じを受け取っていても、「不安」なのか「怒り」なのか「悔しさ」なのかの違いがわからず、嫌な気持ちだけが悶々と溜まってしまい、大きなストレスになったり、溜まりすぎてパニックになることもあります。

また怒りを感じても、何に対して怒っているのかが理解できずに曖昧になってしまい、ただ怒っているという感情だけが高まって爆発してしまうこともあります。

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対処方法がわからない

怒りや不安などのストレスを感じても、その対処方法がわからないために発散ができず、爆発してしまうということがあります。

ストレスや不安を対処できる人は、ストレスを感じた際には場所や行動を変えて気持ちを切り替えたり、好きなことや楽しいことをして発散することができます。

自分で解決ができなくても、親しい人に愚痴を言ったり悩みを聞いてもらうことで気持ちを落ち着けることができます。

発達障害の子は自分での解決はもちろん、親や親しい人に自分の思いや悩みを打ち明けることも難しいため、自分一人でストレスや不安を抱え込んでしまいます。

また、健常者であれば、嫌な事や怒りを感じることがあったら言葉で「やめてください」などと相手に伝えることができますが、コミュニケーションが苦手な子はそれも言えずにストレスがたまる一方になってしまいます。

社会経験不足のため

様々な気持ちや感情とその対処は、コミュニケーションなどの対人関係の中から学ぶことが多いです。

発達障害の子供はそもそもコミュニケーションを取るのが不得意であったり、様々な社会経験を体験する機会が少ないため、自分の気持ちを理解したり感情をコントロールする経験が少なく難しくなることもあります。

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衝動的に行動してしまう

発達障害の中でもADHD(注意欠陥・多動性障害)などのように、衝動性の特徴が強いと、イライラを感じた際に、自分を抑えることができず突発的に感情を爆発させてしまいます。

衝動性とは今の状態や今後のことを考えずに、思ったことをそのまま行動に移してしまう特徴で、衝動性が強いことでここで怒りを爆発させてしまったら後々どうなるかまで頭が回らず、その場で怒ったりしてしまいます。

気持ちや感情をコントロールできない場合の対処方法

子供が気持ちや感情を場合には、子供の特性や発達段階などを考慮し、適切な対処方法を教えたり、周囲の大人がフォローしてあげることが重要です。

気持ちを確認する

イライラした際やストレスを感じた際には、本人に自分の気持ちやその度合いを確認してもらいます。気持ちを確認する上では『どのような気持ちか』『誰に対する気持ちか』『どの程度のものか』が重要になります。

子供本人が自分の気持ちを理解するのが難しい場合には、周囲の大人が子供の状況を見て気持ちを汲み取ってあげ「○○でイライラしたのだね」「□□に対して怒っているのだね」と気持ちを代弁し一緒に確認をします。

イライラなどの怒りやストレスを感じている場合には、誰に対する気持ちなのかを明確にするのも重要です。誰に対する気持ちなのかをハッキリさせないと、解決するのが難しくなります。

例えばお友達から叩かれたことに対して怒っている場合には、お友達に謝ってもらったり大人が間に入って仲裁して解決することで、怒りやストレスを収めることもできます。

その場で解決ができないと、悶々として気持ちを引きずってしまったり、後日その事を思い出してパニックになったりやり返してしまうということも有るので注意が必要です。

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自分の気持ちを理解できる子の場合には、イライラの度合いのメーターや表などを用いてどれぐらいイライラしているかを確認しましょう。メーターや表などがない場合には「レベルいくつの怒り?」など聞いてみて、気持ちの度合いを確認する方法もあります。

ストレスやイライラを感じていた場合には、落ち着けるような場所や行動へと誘導したり、イライラを解決できる方法を一緒に考えます。

対処方法を知る

自分がストレスなどを感じていても対処方法がわからないため、溜め込んで感情が爆発してパニックなどになってしまう場合には、適切な対処方法を教えてあげましょう。

対処方法はその子の特性や発達レベルにもよりますが、クールダウンの方法を教える、誰かに助けを求める、安心できるグッズを持たせるなどの方法があります。

学校などではクールダウンをできる個室やスペースを作りましょう。スペースが用意できない場合には潜り込む事のできる毛布、周囲の視界をさえぎる為のアイマスク、音を遮断するためのイヤーマフなどを準備し、それらの使い方などを教えます。

自分で対処が難しい場合には、親や先生など周囲の人にストレスを感じていることを伝える方法を教えます。言葉で自分の気持ちを伝えることが難しい子供には、表情の絵カードを用意したり、助けを求めるための簡単なサインやジェスチャーを教えてあげましょう。

おもちゃやヌイグルミなど持つことで気持ちの安定がはかれる安心グッズがある場合には、安心グッズを持たせてあげましょう。また、空腹で気持ちが苛立っている場合には飴やちょっとしたお菓子を渡すといった方法もあります。

どのような状況に弱いのかを理解する

子供がどのような状況や状態に弱くストレスを感じているのかを、事前に本人や周囲の人が知ることも重要です。どの場面でイライラを感じたり、ストレスを受けるかがわかれば対処もしやすくなります。

ストレスから癇癪やパニックを起こした場合には、その状況や原因を記録して確認をしましょう。また、直近の出来事ではなく、以前の出来事を引きずっていたり、過去のことでストレスを感じていることもあるので事前に何が有ったかなども必要です。

各種感覚過敏がある場合には、音、光、臭い、場所、雰囲気、人や物など、感覚として影響するものを確認しましょう。

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予定を確認し見通しをつける

発達障害の子は今後の予定がわからなかったり、見通しがつかないと不安を感じてストレスを受けてしまうことが多いです。そのため、何かの行動をさせる前には事前に予定を教えて見通しをつけてあげることが重要です。

特にストレスや不安を感じてしまう可能性がある行動をする前には、行うことや流れなどを説明して見通しをつけてもらいましょう。

また、不安を感じる可能性がある事や、不安やストレスを感じた場合にはどのように対処をすればよいのかも教えてあげると、子供本人も対応方法がわかり安心に繋がります。

事前にクールダウンなどを行う

本人がストレスや不安を感じることができれば、事前にクールダウンを行い気持ちを落ち着かせましょう。本人が自分から気持ちに気付いて行動するのが難しい場合には、周囲の人がそれを教えてクールダウンを促しましょう。

疲れているときや既にストレスを感じているときは、普段よりも気持ちのコントロールが難しくなります。事前に休息やクールダウンを取り入れて、疲れを溜め込まないようにするのも重要です。

まとめ

発達障害の子供は、様々な理由から自分の気持ちや感情をコントロールするのが苦手です。気持ちや感情のコントロールは私たち大人でも苦手な部分ではありますが、自分の気持ちよい生活や行動を行う上や、他人とのコミュニケーションを取る上で大事な要素にもなります。

子供が気持ちのコントロールができない場合には、周囲の大人が気持ちに寄り添ったり、代弁などをしてあげ、まずは子供本人が自分の気持ちや感情に気がつけるように促していきましょう。

子供が自分の気持ちに気がつくことができたら、一緒に対処方法などを考えたり適切な折り合い方などを教えて行きましょう。

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