自閉症と斜視・横目
自閉症と斜視・横目
自閉症や発達障害の特徴の一つとして斜視または横目で物を見たりする事が有ります。決して多い特徴ではありませんが、斜視や横目は自閉症の人に比較的よく見られる特徴でも有ります。
特にテレビやモニターを眺める際に横目で物を見ることが有ります。
また、怒ったりすると眼が極端に寄り眼になる自閉症の子供も目にしたことが有ります。
ではなぜ自閉症や発達障害の人が斜視であったり横目で物を見たりする事が多いのでしょうか。
斜視と横目とは
まず斜視と横目を自閉症の特徴として考える前にそれぞれの特徴ついてまとめてみました。
斜視とは
斜視とは、片方の目の視線が対照となる物を見る方向とはの方向に向いている状態を指します。視線の方向には内側や外側、上側や下側などその人によって様々なものになります。内側に向いている斜視の場合「内斜視」、外側に向いている斜視の場合「外斜視」、上側の場合「上斜視」、下側の場合「「下斜視」と呼んでいます。
俗称でロンパリ(片方はロンドン方向を見ており、もう片方はパリ方向を見ている様子から)、藪睨み、眇(すがめ)、がちゃ目などとも呼ばれる事が有ります。
斜視の原因には先天的原因、外傷などで眼の筋肉や周囲の骨が損傷した場合、強度の近視や遠視、失明、弱視などが有ります。
斜視は左右の目が異なる方向を向いているため対象物との遠近感が取りにくいことや、どちらか片方の目を「効き目」として無意識に使用するので効き目とは別の眼の筋肉が衰えて視力が低下するなどの影響が出ることがあります。
横目とは
横目とは物を見る際に顔を対象物には頭を向けず、目だけを横に動かして見る状態やその目つきを指します。
健常児でも1歳から2歳程度の小さい子供だと横目でテレビなどを見ることが有ります。この頃の年齢になると視力と視覚が成長し、見る向きや方向により物の見え方が違うことに気が付き、その視覚を楽しむ場合も見られます。これは正常な成長を経ていると考えられています。
また、乱視や眼の障害から物を正面で見るのが出来ず横目をしている場合もあるので、横目で物を見ることが極端に多かったり気になる場合には眼科へ相談や診察を受ける必要が有ります。
斜視や横目を行う理由や原因
では、なぜ自閉症や発達障害の人が斜視や横目を使うという特徴が見られるのか理由をいくつか調べてみました。
視線を合わせるのが難しい
自閉症の人は他人と視線を合わせるのが難しかったり苦手という特徴が有ります。
その為、話しかけてもこちらの目を見てくれず、別の方向に目を背けてしまうため斜視や横目を使ってしまうと思い込んでしまう場合も有ります。
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自閉症や発達障害は視線や目が合わない | 発達障害-自閉症.net
視覚から刺激を受けて楽しんでいる
自閉症の人は通常の人とは感覚の捉え方が違う場合が有ります。
良くある特長として、「回転する物や一定に動くものを眺めるのが好き」「手をひらひらさせてそれを眺めるのが好き」などが有ります。
そのため、正面から物を見た視覚ではなく、横目で見た視覚を楽しんでいたり、刺激として取り入れているという事も考えられます。
視力や眼に障害がある
「極度の乱視」「左右の眼に極端に差が有る場合」「眼の中心で焦点が合わせられない場合」などは物を眼の中心で見ることが難しく、斜視のようになったり横目で物を見たりする事が有ります。
特に左右の眼の視力に極端に差が有る場合は、無意識に見やすい眼となる「効き目」側で見てしまうことが有ります。
なお、「早期療育機関における知的障害児の屈折スクリーニング」という論文においては、知的障害児391人中42.2%の165人が眼の屈折率に異常が有り要精密検査が必要との結果が出ています。
内訳はダウン症児120人中77.5%の93人が要精密検査、自閉症児のみの場合は52人中わずか3.8%の2人が要精密検査となっています。ダウン症と自閉症以外の知的障害児は228人中30.7%の70人が要精密検査という結果になっています。
眼や顔の筋肉が弱い
発達障害の場合は身体の筋肉が弱かったり、筋肉を正しく使うのが難しい場合が有ります。
物を見る場合にも筋力の弱さや無意識とは言え上手に筋肉を動かすのが難しいために、眼の位置がずれてしまったり、本人が動かしやすい位置に眼を移動させて見ている場合が有ります。
骨に異常がある
発達障害の場合にはごく稀に骨の形成にも異常が見られることが有ります。
眼窩と呼ばれる頭蓋骨で目を収納している窪んだ部分に異常がある場合に、眼の動きや向きにも影響が出ることが有ります。
眼と神経の関係が弱い
発達障害の場合は脳の機能に何らかの問題が有ったり、神経の情報伝達が鈍く繋がりが弱い場合も有ります。
視力と関係する脳機能や神経に問題や異常が有る場合には「眼の動かし方」「物の見方」にも影響が出ると考えられます。
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跳躍性眼球運動(衝動性眼球運動)とは | 発達障害-自閉症.net
他の病気や障害を併発している
眼の向きや動かし方に問題が有る場合、他の病気や障害を併発している場合も有ります。眼の動きに関連する疾病としては代表的なものに「デュアン症候群」「メビウス症候群」「ブラウン症候群」などが有ります。
デュアン症候群とは
デュアン症候群(Duane Syndrome)とは、外直筋と呼ばれる眼球を外側に動かす筋肉の神経に異常が発生する先天的な眼球運動障害です。
メビウス症候群とは
メビウス症候群(Moebius Syndrome)とは、先天性の顔面神経麻痺で、眼の動きの麻痺の他、内斜視、口の動きや舌の動きなどにも障害が発生し、場合により手足の異常や欠損なども見られます。
ブラウン症候群とは
ブラウン症候群(Brown Syndrome)とは、上斜筋と呼ばれる眼球を上側に動かす筋肉が短かったり伸びなかったりすることで上側に眼球を向けることが出来ない障害です。
まとめ
斜視や横目は健常の人や子供でもなる事が有ります。
特に横目の場合には視力の問題や眼の病気や障害であることが大半です。
その為斜視や横目などが気になった場合は、先ずは眼科に相談したり診療を受けることが重要です。
視力や眼に問題がなく、それ以外にも気になる行為や仕草が見られた場合には専門医や、発達障害を扱っている療育センターなどに相談してみると良いでしょう。