高齢出産と両親の年齢により自閉症や発達障害児が生まれる確立

 

高齢出産と両親の年齢により自閉症や発達障害児が生まれる確立

自閉症などの発達障害は先天的な脳機能や中枢神経の異常が原因であるとされています。その原因の要因の一つに「高齢出産」や「両親の高齢」等が指摘される事が有ります。

では実際に様々な発達障害が発生する原因の一つに、高齢出産や両親の高齢が関係しているのでしょうか?
色々と調べてまとめてみました。

高齢出産とは

高齢出産とは女性が35歳以上の年齢で出産することを言います。50歳以上の女性の出産を「超高齢出産」と呼ぶ事も有ります。近年晩婚化が進み30歳代や40歳代で結婚する夫婦が増えてきているため、年々高齢出産が増えてきています。

自閉症と高齢出産

高齢出産や両親の年齢と自閉症の子供が生まれる関係について調べた論文が有ります。1つ目はスウェーデンのカロリンスカ研究所が発表したもの、2つ目はアメリカのマウントサイナイ医科大学が発表したものになります。


スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究

2015年にスウェーデンのカロリンスカ研究所が2004年から2009年にかけて、デンマーク、イスラエル、ノルウェー、スウェーデン、オーストラリア(西オーストラリア州)の5カ国で生まれた子供576万6794人(うち約3万人以上が自閉症児)を対象に調査を行いました。

この調査では親の年齢と自閉症発生リスクの関連について様々な発見があり、以下のように報告されました。

父親の年齢

20歳代の父親から生まれた子供よりも、50歳以上の父親から生まれた子供の場合、自閉症である確立が66%増加。同じく父親が40歳代の場合は20歳代に比べて自閉症の子供が生まれる確立は28%増加している。

母親の年齢

20歳代の母親から生まれた子供よりも、40歳代の母親から生まれた子供の場合に、自閉症である確立が15%増加している。
また20歳代の母親から生まれた子供よりも、10歳代で生まれた子供場合、自閉症である確立が18%増加している。

両親の年齢

両親の年齢が共に高い場合、自閉症の子供が生まれる確立は高くなる。

両親の年齢差

両親の年齢に差が大きいと自閉症の発生率が高い。
最も発生率が高かったのは父親が35歳から44歳までの間で、母親が10歳以上年下の場合。また、母親が30代で、父親が10歳以上年下の場合にも自閉症となる率は高かった。

この研究ではまとめとして「父親の年齢が50歳以上の場合には、精子の運動量や精子正常形態率が劣化することが知られており、この調査結果からも予想通りの内容となった。しかし、母親の年齢に対する関連リスクは見つけることが出来なかった。そのため親の年齢と自閉症が発生するリスクについては様々な要因が考えられる。」と記載しています。
参考論文:Large age-gaps between parents increase risk of autism in children http://ki.se/en/news/large-age-gaps-between-parents-increase-risk-of-autism-in-children

アメリカのマウントサイナイ医科大学の研究

2006年にアメリカのマウントサイナイ医科大学が、1980年代にイスラエル生まれた子供31万8506人を対象に調査を行いました。

この調査では父親が15歳から29歳の場合に子供が自閉症となる確率は0.056%、父親が30歳から39歳の場合に子供が自閉症となる確率は0.095%、父親が40歳から49歳の場合に子供が自閉症となる確率は0.32%、50歳以上では0.53%と報告しています。

調査結果から、父親が29歳以下の際に生まれた子供に対し、父親が40歳以上の際に生まれた子供は自閉症となる確立が5.75倍以上高くなるとなっています。

参考論文:Advancing Paternal Age and Autism
http://archpsyc.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=668208

カロリンスカ研究所の研究結果とマウントサイナイ医科大学研究結果共に、父親の年齢が高くなるに連れて自閉症の子供が生まれるリスクと確立が高くなるという調査結果となっていることから、自閉症の原因の一つに父親の高齢が考えられています。

ダウン症候群と高齢出産

ダウン症候群の発生確率と高齢出産は明らかに関係がある事が分かっており、1970年から1989年にかけてアメリカ合衆国で行われた統計では以下のような確立となっています。

アメリカの白人女性の出産年齢とダウン症候群の子供が生まれる確立

  • 19歳以下の場合1408人に1人
  • 20歳から24歳の場合1562人に1人
  • 25歳から29歳の場合1176人に1人
  • 30歳から34歳の場合606人に1人
  • 35歳から39歳の場合214人に1人
  • 40歳から44歳の場合52人に1人
  • 45歳以上の場合19人に1人

アメリカの白人以外の女性の出産年齢とダウン症候群の子供が生まれる確立

  • 19歳以下の場合1234人に1人
  • 20歳から24歳の場合1538人に1人
  • 25歳から29歳の場合1299人に1人
  • 30歳から34歳の場合758人に1人
  • 35歳から39歳の場合299人に1人
  • 40歳から44歳の場合44人に1人
  • 45歳以上の場合32人に1人

白人女性の値で20代前半の出産ではダウン症の子供が生まれる確立は0.064%と確立はかなり低いですが、45歳以上になると約5.3%とかなり高い数値になります。
参考論文:Maternal age specific risk rate estimates for Down syndrome among live births in whites and other races from Ohio and metropolitan Atlanta, 1970-1989.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1051343/

高齢出産のリスク

高齢出産は自閉症や発達障害の発生確率が高くなる以外にも様々なリスクが有ります。主なものには「流産」「早産」「難産」「帝王切開」「妊娠高血圧症候群の発生」「様々な母子への影響」等が有ります。

また、高齢の夫婦の場合には精子や卵子の質や動きが低下し、受精しにくくなるなどの不妊に繋がる事も知られています。

低年齢出産と自閉症の発生確率

これまでの内容から親の年齢が高くなれば高くなるほど、自閉症スペクトラムなどの発達障害が生まれる確立が上がることがわかりました。しかし、逆に低年齢出産でも自閉症スペクトラムやダウン症候群の発生確率が高くなるとの調査も有ります。

自閉症の場合

カロリンスカ研究所の研究では、母親が10代で生んだ子供に自閉症が発生する確率は、20代で生んだ子供よりも約18%も高くなると報告されています。

ダウン症候群の場合

ダウン症候群においても先に記載したアメリカ合衆国の統計からも、白人女性母親が20歳から24歳で出産した場合ダウン症候群となる確率が0.064%に対し19歳以下の場合は0.071%、白人以外の母親では20歳から24歳で出産した場合ダウン症候群となる確率が0.065%に対し19歳以下の場合は0.081%と、僅かながらですが確立が上がっています。

まとめ

高齢出産は自閉症やダウン症の発生する確率が高くなります。特に父親が高齢の場合、精子の衰えという理由から子供に様々な障害が発生するリスクが高まります。
逆に低年齢においての出産も僅かながら子供に自閉症などの障害が発生する可能性が高くなるので注意が必要です。

なお、自閉症や発達障害の発生する原因は、父親や母親の高齢だけが原因ではありません。高齢出産でも健常児が生まれるように、障害の発生には様々な要因が重なって起こることだと思います。

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