音が苦手(聴覚過敏) – 自閉症と発達障害の特徴・特性

   2016/02/14

音が苦手(聴覚過敏)

概要

自閉症などの発達障害を持った子供は特定の音を嫌がる場合があります。
発達障害の人が人ごみの中で耳を抑えたり、パニックになって泣き出してしまったりと言う事はよくある光景だと思います。
ではなぜ発達障害の人は音が苦手な場合が多いのでしょうが、理由や嫌がる音の種類、対策方法などをまとめてみました。

音を嫌がる理由

音を嫌がる理由には聴覚過敏により「音が大きく聞こえてしまう」「音により何かを連想させる」「音により何かが起こるのではないかという不安」「様々な音が重なり合って聞こえて混乱する」「突発的な音でパニックになる」などがあります。

健常な大人でも「ガラスや黒板を引っかく音」「叫び声」「低い声」等が苦手だというひとは多いと思います。
私も子供の頃は大事なものが捨てられたり壊されてしまうのではという恐怖から「ゴミ収集車」の音が苦手でしたし、軽い難聴を持つ知人は高い音が聞こえると耳鳴りのようになってしまい苦手という人もいます。

嫌がる音の種類

では発達障害の人が嫌がる音にはどのような物があるでしょうか。
代表的なものをまとめてみました。

  • 車やバイクのエンジン音
  • 車やバイクのクラクション
  • エアコンの室外機
  • 犬の鳴き声
  • 子供や赤ちゃんの泣き声
  • 電子音
  • 特定の音や音楽
  • 特定のCM
  • 人ごみなどのざわざわした音
  • ピストル音

また、周りの人が全く気がつかない程度の音でも、苦痛となり耳を押さえたりしてしまうこともあります。

嫌いな音が聞こえると

発達障害の子供は嫌いな音が聞こえると、「泣いてしまう」「パニックになる」「耳を押さえてしまう」「いやな音を掻き消そうと大きな声を出す」「ぼーっとしてしまう」など人により様々な症状が出てしまいます。

本人が音の発生原因を理解している場合には、「テレビやCDデッキの電源を消してしまう」「音の原因のものを投げたり壊してしまう」「原因となるものを隠してしまう」などの行動をしたりします。

赤ちゃんや動物の鳴き声の場合には、その赤ちゃんや動物を叩いたりどこかへ追いやったりする場合も有ります。

人ごみなどのざわざわした音が嫌いな場合には、スーパーやデパートのお店に入りたがらなくなったり、外出や車に乗るのを嫌がる事につながる場合もあります。

関連ページ
自閉症と耳をふさぐ行為 | 発達障害-自閉症.net

対策・対応方法

苦手な音に対する対策や対応方法としては以下の事が考えられます。

音から遠ざける

基本的な対策方法としては、苦手な音から離れて音の聞こえない場所まで移動し落ち着かせることが必要です。

嫌がる音の原因が特定できている場合

嫌がる音が決まっている場合には音の原因を止める、音量を下げる、音の発生源を遠ざけるなどが有効です。

チャイムやブザーの場合

玄関のチャイムやお風呂のブザーの場合だと止めたりすることは難しい場合があります。
チャイムやブザーの場合には「時間を知らせてくれるのだよ」「お客さんが来たのだよ」「お風呂が沸いたのだよ」「ご飯が炊けたのだよ」と、具体的にチャイムやブザーの鳴る理由を説明し、音が鳴ることでどうなる・何が起こるかを理解させると音を嫌がることが解消される場合があります。

突発的な音の場合

突発的な音などは対処が難しいため、本人が落ち着けるように音の出る場所から離れるということや、落ち着いた後に「こういう音が出る場合も有るのだよ」と説明することも大事です。

イヤーマフや耳栓の使用

イヤーマフや耳栓をつけると苦手な音が軽減され、落ち着くことができるようになります。
しかし、イヤーマフや耳栓に依存してしまうと音への対処ができなくなってしまうため、安心グッズとして持たせておいて、苦手な音が聞こえた場合につけるようにすると効果的です。

また、耳栓などには聞こえる音の大きさを調整できるタイプもあるので、苦手な音が聞こえた場合には本人に調整させるのもよいでしょう。

値段はしますが「ノイズキャンセリングヘッドホン」という、周囲の騒音をカットしてくれるヘッドホンやイヤホンもあります。
ノイズキャンセリングヘッドホンをポータブル音楽プレイヤーに接続し、無音の再生にしておくと周囲の雑音の低減が望めます。

落ち着く曲を聞かせる

苦手な音が聞こえた場合にはイヤホンやヘッドホンを手渡し、好きな曲を聞かせて落ち着かせることも効果的です。
しかし、これもイヤホンやヘッドホンの音楽に依存してしまう事があるため、必要なとき意外はあまり使用しないほうがよいでしょう。

まとめ

自閉症や発達障害の子供の音への過敏は対応が難しいですが、まずは音の原因を特定してその音から離れたり音を聞こえないようにして落ち着かせるのが大切です。

その後、音の出る原因や理由を説明し「この音は怖くない」ということを理解させるのが重要だと思います。
「音は怖くない」というのを学んでいくには時間がかかると思いますが、少しずつ経験を積み重ねていくことで克服できると思います。

場合によっては音を軽減させるイヤーマフや耳栓などの利用も効果的です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket