発達障害の子は高いところに登るのが好き

   2019/05/25

発達障害の子は高いところに登るのが好き

自閉症などの発達障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)の子供は時折高い場所に上ってしまう事があります。

室内では窓枠、棚、押入れなど。公園では滑り台の上部やジャングルジムの上など。場合によっては階段の手すりや、ベランダの手すりなどにも登ってしまう話も聞いたことが有ります。

子供によっても様々ですが、1歳程度で歩行も上手ではないときから高い所に登りたがる事が見られます。

高い場所に上る理由

高いところに登る理由には感覚遊びや刺激を求めることで登る場合、周りの大人の反応を見たくて登る場合などが考えられます。

感覚遊びや刺激を求めて登る場合

発達障害の子供は日常的に外部から受け取る刺激が少ないとされ、しばしば自分で刺激を得て楽しむ事があります。また、感覚が過敏で有ったり逆に鈍感であったりするため、感覚の感じ方も通常の人とは違う受け取り方をしています。

高いところへ登るということは「体を動かす感覚」「高い場所から見る景色の感覚」「高さ自体の刺激」などを受け取ることができるため、高い場所を見つけると刺激を得ようと登ってしまいます。

関連ページ
自閉症の感覚鈍麻とは| 発達障害-自閉症.net

関連ページ
自閉症の感覚過敏とは| 発達障害-自閉症.net

周りの大人の反応を見たくて登る場合

高いところに登ることで大人の気を引いたり、慌てる様子を見て楽しんだり、怒られること自体を楽しんでしまう場合があります。

この場合は注意をしたり、慌てたりすると余計に喜んでしまうので、淡々と怒って降ろしたり、無言で降ろしたりする必要が有ります。

安全な場所であれば、あえて気がつかないふりや見ていないふりをするのも効果があると思います。

危険認識が少ない

発達障害の子や年齢の低い子は、根本的に危険への理解が難しく落ちたらどうなるかを考えることができないため、危ないことを察知できません。

また、高いところに登って落ちた経験や怪我をした実体験が無いと、いくら親が「危ない」「危険」といってもイメージがわかず理解ができません。

そのため、高いところが危険であることや危ないことだということがわからず、高いところに登ってしまう事があります。

関連ページ
子どもは危険認識や危険認知力が無い| 発達障害-自閉症.net

知的好奇心が旺盛なため

子供は好奇心が旺盛なため、成長して自分で行動ができるようになると色々な経験を行おうとしたり、様々な場所を確認しに行ったりします。

確認には色々な部屋に行ってみたり、狭い空間に入ってみたり、外に出ようとしたり、窓から外を眺めたり、ドアを開け閉めしてみたりと様々です。その行動のひとつとして高い場所に上ろうとすることがあります。

また体の小さいうちは階段などを下りるよりも登る動作の方が行いやすい事と、視線も上を見ていることが多いため、自然と高い場所への意識や好奇心が強くなります。

高いところへ登ってしまう場合の対処法

回数や時間を決める

遊具などある程度安全な物に登りたがる場合には、登ってよい回数を決めるという方法もあります。

例えば公園で滑り台に登りたがる場合には「3回だけ」と回数を決めたり、ジャングルジムに登りたいというときには「5分だけ」など説明して子ども本人と同意を取りましょう。

指定された回数で急に終わりになった場合に気持ちの切り替えをつける事が出来ない場合もあります。そのような際には1回登るごとに「あと2回ね」とカウントダウンしたり、時間で指定した場合には定期的に「あと3分だよ」など残りの回数や時間を意識させましょう。

登っては駄目という目印をつける

物事がある程度理解できる子供には、よく登る場所に「×(バツ)印」の絵カードを貼っておき、「ここは登ってはいけません」と注意します。
その際に登っては理由(危険である事、物が壊れてしまう事)を説明するのも効果的です。

物理的に登れないようにする

どうしても高いとことに登ってしまう場合には、足場になる物を取り除いたり、邪魔になる物を置いたりと物理的に登れないようにすることが必要です。

また、登ってしまう場所にその子の嫌いなものを置いておいたり、登った際に意図的に揺らしたり落ちそうな状況を作って危険・恐怖を与えて注意力や危険認識を高めることも効果的です。
ただしこの方法を行う場合には、嫌いなものを高いところから落としたり、本人が落ちないように安全を確認してから行ってください。

ベランダなどから外に出て手すりに登ってしまうというような場合には、通常の鍵だけではなく、サッシ部分や、子どもの手の届かない位置に補助の鍵を付けておきましょう。

代替の手段を与える

感覚遊びや刺激を求めて登ってしまう場合には、登ることとは別の感覚刺激を受ける方法や、本人が楽しめる遊びを代替手段として与えることも重要です。

代替手段としては小さい子供ならおんぶや抱っこや高い高い、大きい子供ならトランポリンやバランスボールが効果的です。

また、登ってもいい安全な場所(積み重ねた布団など)を作り、そこなら登っても良いというルールを作るのも良いでしょう。

高い場所は危険だと理解させる

高い場所に登ってしまう子供は危険認識の能力が低く、高い場所が危険だと言うことや、落ちると怪我をするということを理解していない場合があります。また、落ちる可能性があるということ事態もわからないという事も考えられます。

また、通常ですと高い場所に上ると下を見て足がすくんだり、手足が緊張して震えたり力が入ってしまうことがありますが、自閉症など発達に遅れのある子どもの場合は、高さの感じ方も健常者と違い、高い場所に上っていても「まだ低い場所だ」と思っている事もあります。

高い場所が危険だという認識は落ちた経験や、落下して怪我をした体験があるとわかるのですが、そのような経験がないとなかなか理解するのが困難です。そのため、室内などの場合は下にマットなどを敷いたり、大人が抱えることの出来る状況を作り、あえて高い場世から落ちる経験をさせることも効果があります。

なお、落ちる経験をさせる場合には万が一失敗しても大怪我をしないように、安全な高さ、マットや布団を敷く、大人が補助を出来る体制、子どもが落ちる向きなどに注意をしましょう。

高い場所へ登るのが無くなる時期

多動の特徴を持っていたり高い場所に登ってしまう子でも、年齢が上がるにつれて様々な経験や学習をし、そのうち高い場所に登らなくなる様になります。

まず高い場所は危険だと学ぶようになります。
高い場所に何度も登っている子はいつか、落ちそうになった経験や落ちて痛い思いをするともいます。それが徐々に高い場所は危険だということへの意識につながります。

高い場所で感覚や刺激を得ていた子でも、成長することで他の方法で刺激や感覚を得るようになります。また様々な経験から高い場所以外の感覚を知ったり、興味の変化から別の感覚を好むようになったりもします。

ルールやマナーなども学ぶことで、登ってはいけない場所と遊具などの登ってもよい場所を理解できるようになります。

体が成長し体重が重くなることや、がっしりとした体つきになることで俊敏な動きができなくなりまう。体が成長することで多動が少なくなったり、高いところへ登ることができなくなります。

まとめ

発達障害の子供が高い場所に上るのは様々な理由が有ります。
登ってしまう理由を考慮しながら様々な対応を行ったり、代替手段を与えて高いところに登る以外の遊びや感覚の受け取り方を教えてあげるのが必要となります。

小さいうちは注意力が乏しく危険認識が少ないことと、体の動きがぎこちない事があるため、落下して怪我をする恐れがあります。
子供の場合年齢が上がるにつれて注意や危険に対しての認識が広がる他、成長する事で体が重くなり高いところへ登ることも徐々に少なくなっていきます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket