言葉のオウム返し(鸚鵡返し)とエコラリア

   2016/02/14

言葉のオウム返しとエコラリア

自閉症などの発達障害の子供は時として他人から話された言葉をそのまま繰り返して話してしまう事があり、これを「オウム返し」と呼んでいます。
オウム返しは「反響言語」や「エコラリア(Echolalia)」と言われる事もあります。

オウム返しは言語の獲得時期によく見られ、幼児期の人の模倣は正常な成長の現われでもある事から、発達障害ではない通常の子供でも聞いた言葉を繰り返すことがあります。また、統合失調症やアルツハイマー病や認知症、脳卒中などの脳の影響で言語障害が発生した場合にも起こる症状でもあります。

即時性反響言語(即時エコラリア)と、遅延性反響言語(遅延エコラリア)

オウム返しには話したことに対してその場でオウム返しをする「即時性反響言語(即時エコラリア)」と、聴いた言葉を後になってオウム返しをする遅延性反響言語(遅延エコラリア)の2種類に分類されます。


即時性反響言語(即時エコラリア)とは

即時性反響言語(即時エコラリア)とは、何かを話しかけられた場合即時にオウム返しをすることを言います。
例えばお母さんから「今日は何をしたの?」と聞かれると、そのまま「今日は何をしたの?」と返してしまうのが即時性反響言語となります。

即時性反響言語は使い方により「発話順番型」「叙述表現型」「肯定表現型」「要求表現型」「焦点不定型」「自己統制型」「リハーサル型」に分類されています。

「発話順番型」は会話の意味はわからないものの相手との会話の順番を維持するために行うものです。

「叙述表現型」「肯定表現型」「要求表現型」はそれぞれ、自分の意思を表現しているものになります。
「叙述表現型」はジェスチャーを伴うことがあり物や行動や場所を示すために発せられます。「肯定表現型」は話しかけられた言葉に対して肯定の意味を示すために発せられます。「要求表現型」は他者に対して行動を要求するために発せられます。

「自己統制型」「リハーサル型」は比較的小さい声で発せられ、自分の会話や行動のタイミングを調整するものです。
「自己統制型」は行動の調整を行うために発せられ体の動きと共に行われます。「リハーサル型」は次の言葉を発するためのタイミングなどを取るために発せられます。

「焦点不定型」は小さくつぶやくような声で発せられますが、上記の分類のような明確な意味を持っていないものが分類されます。

即時性反響言語は自閉症児にとっては会話やコミュニケーションの一部とされ、言語発達の通過点の一つとされています。

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遅延性反響言語(遅延エコラリア)とは

遅延性反響言語(遅延エコラリア)とは、以前に聞いた言葉やフレーズを時間が経過した後に、状況に関わらず話すことを言います。

例としてはアニメの好きな台詞、テレビコマーシャルのフレーズ、読んでもらった物語の文章、好きな曲の歌詞などが有ります。フレーズや歌詞などは原曲のリズムで話す場合や、オリジナルのリズムとイントネーションで話す事も有ります。

場合によっては親や先生から叱られた「走ってはいけません」「大きな声を出してはいけません」「いい加減にしなさい」「うるさい」などの言葉を話す場合も有ります。

遅延性反響言語の場合には一言だけではなく、歌の歌詞やアニメのキャラクターの会話など長い言葉を話すことも多く見られます。

なぜオウム返しをするのか

即時エコラリアの場合

即時エコラリアでオウム返しをするのは相手の言葉を確認しているのではなく、質問自体の意味がわからないためオウム返しをしてしまう場合と、会話に対する適切な返答が出来ずに話された言葉をそのまま返してしまう事が多いようです。

発達障害の子供は言葉の中の1つ1つの単語自体の意味を理解するのが難しく、見聞きした言葉や文章を1つの塊の意味として受け取ってしまいます。
そのため、質問の意味やそれに対する回答を導き出すのが困難になりがちです。

長い言葉で本人が全部を理解できない場合や最初の言葉を忘れてしまった場合、言葉の中で理解できる単語がある場合には会話の一部分だけを返す場合も有ります。
例としては「ハンバーグとカレーライスどっちが食べたい?」と言う問いかけに「どっちが食べたい?」部分だけを返す場合などです。

質問の意味がわかっていないと思われる場合には、言葉を変えてわかりやすく話しかけたり、絵カードや写真や実物の物を用いて説明するのが効果的です。
また、漠然とした言葉での回答ではなく、「する・しない」「いる・いらない」「まる・ばつ」などの簡単な選択形式にすると答えやすくなります。

会話に対する適切な返答が出来ない場合には、単純に返答として発声する言葉がわからない場合と、本人が今まで経験したパターンに回答に対する出来事がない場合があると考えられます。
言葉がわからない場合には適切な言葉を教えて、会話を促して上げることが効果的です。

本人が経験したことがない物事の場合には、今まで経験した中で似たような事柄から言葉を導き出したり、場合によっては「わかりません」「思い出せません」「教えてください」などの返答があることを教えてあげるのも必要です。

遅延エコラリアの場合

遅延エコラリアの場合には「自分を安心させるための言葉」「他人の興味を引いたり、他人と言葉のやり取りをしたいための言葉」「現在の状態や行動で本人の中で関連している言葉」「興奮した際に出る言葉」「本人の意思とは無関係に出る言葉」などの意味が考えられています。

そのためその時の状況や情緒により何の目的で発声をしているかを見極める必要があります。

まとめ

オウム返しは自閉症などの発達障害の子供たちが言語の習得を行う中で、大事な一過程となっており、一見意味のないような発声でも何かを訴えている場合がほとんどです。

オウム返しから全ての意味を理解するのは難しいですが、状況などから子供の気持ちをくみ取ってあげたり、他の理解しやすい言葉や方法でコミュニケーションを促していくのが大事になります。

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