発達性協調運動障害とは

   2016/01/31

発達性協調運動障害とは

発達性協調運動障害とは明らかな知的障害や身体的には異常が無いにも関わらず、複数の動作を協調させて行う運動が苦手であったり、1つ1つの動作がぎこちない状態を指す障害です。

一般的な日常生活で支障が出るほどの不器用や体の動きがぎこちない場合は、発達性協調運動障害の可能性が有ります。
動きがぎこちないばかりか姿勢の保持が難しかったり、歩行や走る際にも不安定さが見られる事もあります。

発達性協調運動障害の原因

発達性協調運動障害の原因は特定はされていませんが、運動の協調を行う脳の領域である小脳に何らかの機能障害が発生していると考えられています。

自閉症・アスペルガー症候群などの広汎性発達障害や、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の多くが合併している言われており、これらの障害との関連も疑われています。
なお、これらの発達障害がある場合には発達性協調運動障害と診断されず、自閉症や注意欠陥・多動性障害などの診断名で判断されます。

また、未熟児・低体重出産・出産時の低酸素障害など出産時の影響も原因の一つとも言われています。

発達性協調運動障害の特徴

発達性協調運動障害の特徴に粗大運動(全身運動)が苦手な場合、微細運動(手先の巧緻性)が苦手な場合、何れも苦手な場合に分かれています。

粗大運動の例には自転車(ハンドルをコントロールしながら足でペダルを漕ぎ全身でバランスを取る)、縄跳び(縄を腕でまわしながら足で縄を跳ぶ)、手足を同時に動かすラジオ体操やダンスなどが有ります。

微細運動の例にはお箸が使えない、字が決められた枠の中にかけない、靴紐が結べない、ボタンがかけられない、着替えるのにとても時間がかかるなどが有ります。

体の感覚や位置の把握が難しいため目を閉じた状態で体を触られてもどの部分が触られているのかがわからなかったり、視覚から入った情報から体の部位を動かすことが難しいため人の動作を真似することが出来なかったりします。

発達性協調運動障害を持つ場合には幼児期のハイハイや姿勢の保持が上手に出来なかったり、他の子と比べて動きがぎこちない場合などが有ります。

発達性協調運動障害の治療と対策

発達性協調運動障害は先天的な発達障害であるため、簡単に治すのは難しくなっています。

発達性協調運動障害の子供は自分の体の部位の位置や、力加減、動作の感覚を上手く感じ取ることが出来ません。そのため本人が苦手な分野を見極めて、適切な訓練やトレーニングを行うことが重要となります。

粗大運動(全身運動)が苦手な場合には感覚統合訓練、全身を使った運動、ストレッチ、筋肉トレーニングなどを行うのが効果的です。

微細運動が苦手な場合には指先を使った遊びなどで指先の感覚を訓練することや、握力を鍛えることが重要になります。また、お箸、ハサミ、洗濯ばさみなど日常で使用する道具を使う機会を多くする事も良いでしょう。

対策としてトレーニングや練習を行うことは大事ですが、本人が体を動かすことに対して苦手意識を持っている場合も多く有りますので、無理をせずできることから少しずつ行うのが必要となります。

なお、一般的な発達性協調運動障害の場合は成長するにつれ徐々にぎこちなさや不器用さは目立たなくなっていく事がほとんどです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket