情緒障害とは
情緒障害とは
情緒障害とは病気や身体的には問題が無く、社会や対人等の心理的な要因により感情や気分がコントロールできなくなり、日常生活を送ることに対して支障が出てしまう障害です。
一般的に健常者でも感情の高ぶりや気分が落ち込むことがありますが一時的なものとなります。しかし、情緒障害の場合だと感情や気分の起伏が長期的に何度も繰り返されたり、極端な現れ方をして日常生活や学業・就労など様々なことに支障が発生してしまいます。
文部科学省においては「情緒障害とは、情緒の現れ方が偏っていたり、その現れ方が激しかったりする状態を、自分の意志ではコントロールできないことが継続し、学校生活や社会生活に支障となる状態をいいます。」と定義されています。
過去においては自閉症も情緒障害に含まれて考えられていましたが、現在では自閉症・情緒障害と分けられて考えられています。
情緒障害の問題行動種類と症状
情緒障害の問題行動は大きく内向性と外向性に分類されます。
内向性とは
内向性とは他人や周りに対し影響の出ないもので、緘黙、登校拒否、チック、神経性習癖などがそれに当たります。
外向性とは
外向性とは周囲に対し影響を与えるもので、反社会的行動、暴言や暴力などの他害行為な等があたります。
情緒障害の問題行動
情緒障害では以下の問題行動が見られることが有ります。
- 緘黙(かんもく)
- 登校拒否
- 学業不振
- ひきこもり
- 反社会的行動や非行
- 集団行動の不可
- 神経性習癖(指しゃぶり、爪噛みなど)
- チック(異常な瞬き、首ふり、腕などの不随意な動きなど)
- 常同行動
- 自傷行為(腕噛み、自分を叩く、髪の毛を引き抜く、リストカットなど)
- 暴力・他害行為
- 異食・過食・拒食
- 情緒の不安定
- 無気力
- 失禁・夜尿
- 便秘・下痢
- 睡眠障害
- 強迫性障害
- 吃音や発声の不明瞭
情緒障害の原因
情緒障害の原因は心理的要因とされています。
過去においては中枢神経系の機能障害や機能不全も原因の一つとされていましたが、これらを原因とするものは今では発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)や、それに伴う障害とされています。
心理的要因には、「対人関係のストレス」「友人関係のストレス」「親子・家族間のストレス」「学業や就業におけるストレス」「精神障害」などが有ります。
子供の時期においては児童虐待、性的な問題、学校でのいじめ、教師からの威圧や信頼関係の破綻、友人関係の破綻、兄弟との比較、親や親族からの過度の期待、学業や成績低下のストレス、部活動の不向きや先輩からのストレスなどが原因となります。
情緒障害の教育や治療
情緒障害の教育については、情緒障害特殊学級が昭和40年代頃から各学校で設けられるようになり、現在では特別支援教育の通級制度において情緒障害のクラスが設けられています。
また、情緒障害児短期治療施設などの入所施設も全国に設立されています。
関連ページ:情緒障害児短期治療施設とは
基本的な教育や治療には本人のアセスメントを行い、原因の特定や症状の発生する要因を探ることが必要です。原因や要因が把握できたあとはその本人に合わせた治療法を行います。
主な治療や教育方法には、臨床心理士・心理療法士・心理カウンセラーなどによる心理療法、日常生活の指導、社会訓練、人とのかかわり方の指導、投薬による薬物療法、ストレス耐性の強化、運動機能や感覚昨日の訓練、言葉や会話の訓練、感情のコントロール、ストレスの発散方法、対人関係の構築などが有ります。