重複障害とは

 

重複障害とは

重複障害とは「肢体不自由と知的障害」「内部障害と知的障害」など、2つ以上の障害を併せ持っていることを指します。

なお、厚生行政と学校教育法では重複障害の定義が若干異なっているので注意が必要となります。

重複障害の種類

厚生行政における重複障害

厚生行政における重複障害とは「視覚障害」「聴覚障害または平衡機能障害」「音声・言語障害または咀嚼機能障害」「肢体不自由」「内部障害」「知的障害」「精神障害」の中から2つ以上の併せ有する場合としています。

学校教育法における重複障害

学校教育法における重複障害とは「視覚障害」「聴覚障害」「知的障害」「肢体不自由」「病弱・虚弱」の中から2つ以上を併せ有する場合としています。

その他の重複障害に含まれる障害

上記定義内の障害および「発達障害」「広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)」「学習障害(LD)」「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」「情緒障害」などの障害を併せ有する場合も重複障害とされる事も有ります。

主たる障害が知的障害以外の障害であり、それに併せて重度の知的障害を持っている場合を「重度重複障害」と呼ぶ事もあります。児童福祉法などで表記される「重症心身障害児」も重度重複障害に含まれます。重症心身障害児の場合は主に重度の知的障害と重度の肢体不自由を併せ持っている場合をさします。

重複障害者の人数

重複障害者の人数は平成18年の厚生労働省の身体障害児・者実態調査によると次のとおりになっています。

肢体不自由と内部障害が約91,000人、聴覚・言語障害と肢体不自由が約81,000人、視覚障害と肢体不自由が約32,000人、聴覚障害と内部障害が約22,000人、3種類以上の重複障害や約54,000人、聴覚・言語障害と内部障害が約15,000人。

なお、この数字には知的障害および精神障害が含まれていないため、実際の重複障害者はさらに多いと考えられます。

重複障害学級と児童・生徒の人数

重複障害学級と児童・生徒の人数は平成20年5月1日において、学級数が幼稚園が82クラス、小学部が5,739クラス、中学部が3,631クラス、高等部が3,979クラスとなっています。

児童・生徒数は幼稚園が210人、小学部が15,408人、中等部が9,411人、高等部が10,738人となっています。

障害の重複で多いものは「知的障害と肢体不自由」「知的障害と病弱」「知的障害と肢体不自由と病弱」の順となっており、この3つの重複障害で全体の85%近くを占めています。

重複障害児童の教育

重複障害児童の教育の定義

学校教育法施行規則においては第130条の2において「特別支援学校の小学部、中学部又は高等部においては、知的障害者である児童若しくは生徒又は複数の種類の障害を併せ有する児童若しくは生徒を教育する場合において特に必要があるときは、各教科、道徳、外国語活動、特別活動及び自立活動の全部又は一部について、合わせて授業を行うことができる。 」とあります。

同131条では「特別支援学校の小学部、中学部又は高等部において、複数の種類の障害を併せ有する児童若しくは生徒を教育する場合又は教員を派遣して教育を行う場合において、特に必要があるときは、第百二十六条から第百二十九条までの規定にかかわらず、特別の教育課程によることができる。」と規定されています。
このうち第百二十六条から第百二十九条については教育課程についてを定めています。

また、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領第2節の第5で「重複障害者等に関する教育課程の取扱い」が定められています。

重複障害児童の教育は上記の規則に則り行われます。

重複障害を持つ子供の教育の方法

重複障害を持つ子供の教育は主に以下の種類が有ります。

  • 特別支援学校の重複障害学級で教育を行う
  • 特別支援学校の単一障害をもつ者と一緒に教育を行う
  • 家庭や施設・病院などに教職員を派遣し訪問教育を行う

重複障害児童の教育の内容

重複障害児の教育は一人一人の障害の種類や特性が様々であるため、児童・生徒の実態を保護者や本人の様子から把握する必要が有ります。実態を把握後は本人に必要とされるニーズや目標を踏まえた個別指導計画を作り、それに則って指導を行います。

個別指導計画は定期的に見直し、実態や結果を判断し指導の改善につなげていく必要が有ります。個別指導計画に関する部分は自立活動の個別指導計画書の作成と同様のものとなります。

実際の指導に当たっては学校内の教師間で連携するだけでなく、障害についての専門家や、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などの各種療法士や、医師・看護師等との連携が必要になる事も有ります。

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