アスペルガー症候群とは
アスペルガー症候群とは
近年大人の発達障害の代表としてよく耳にする「アスペルガー症候群」。
一般的には「空気を読めない」「コミュニケーションが取れない」などのイメージがあります。
では具体的にアスペルガー症候群とはどのような発達障害なのでしょうか。
アスペルガー症候群の概要
アスペルガー症候群は1944年にオーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーにより「自閉的精神病質」として報告されました。
現在では発達障害の1つとして数えられ、高機能自閉症として自閉症スペクトラムに包括されています。
アスペルガー症候群は知的障害や言語障害を伴わない発達障害で、「特定の物事への極端な興味」「他人とのコミュニケーションが苦手」「空気を読むと言われる行為が苦手」といわれています。
また、運動機能に軽度の障害を持つことがあり、体の動きがぎこちなかったり不器用と言われる事もあります。
日本でのアスペルガー症候群の人数は軽度の人も合わせて、統計学的に100人に1人程とされ、実際にアスペルガー症候群の判定を受けている人は数千人に1人程度とされています。
発生率は男性4に対し女性が1人と圧倒的に男性の方が多くなっていますが、これはアスペルガー症候群の診断テストが女性に対応できていないという説も有ります。
アスペルガー症候群の原因
アスペルガー症候群の直接的な原因はまだ解明されていませんが、家族性が有る事と脳の機能に異常がある事がわかっています。
家族性
家族性とは「特定の家族に病気などの発生頻度が高い」事で、アスペルガー症候群についても家族性が有る事が知られています。
親や兄弟や親族にアスペルガー症候群の人がいると、子供もアスペルガー症候群になる確率が高くなるため、遺伝子の影響も有ると考えられています。
しかい今現在ではどの遺伝子が関与しているのかは特定できておらず、遺伝といわれるほど強い関連も見られていません。
脳の機能の異常
アスペルガー症候群の様々な特徴から、その特徴を司る脳の機能に何らかの異常や特異点があるのではと考えられています。
主なものには以下があります。
- 人の顔や表情を認知する「側頭葉」「紡錘状回」の異常
- ワーキングメモリー、思考、創造、推論などを行う「前頭前野」の異常
- 情動と記憶の調節を行う「扁桃体」の異常
- 感情、学習、記憶、必要な情報と不要な情報の処理などを行う「前部帯状回」の異常
アスペルガー症候群の特徴と特性
アスペルガー症候群の特徴と特性には以下のようなものがあります。
なお、これらの特性をすべて併せ持っているわけではなく、一部の項目だけだったりする場合も有ります。
表情が読み取れない
表情を読み取れない場合には「人の顔または目を見ることができない」場合と「表情が表している感情を理解できない」場合が有ります。
表情を読み取れないことでその人が思っている事や、気持ちをくみ取るのが難しくなってしまいます。
空気が読めない
「場の空気」と呼ばれる、その場所の様子や雰囲気を理解するのが難しい事があります。
空気が読めない事で「利害関係」「上下関係」「心理状況」などその雰囲気にそぐわない発言や行動をとってしまう事があります。
冗談や皮肉が通じない
言われたことをそのまま真に受けてしまう事があり、冗談や皮肉をそのまま受け取ってしまう事があります。
また逆に冗談や皮肉を言うことができずに、思ったことをそのまま話してしまうこともあります。
特定の物事に強い興味を持つ
アスペルガー症候群を含む発達障害の人は特定の物事に強い興味を持ちます。
特に配列や数列など規則的な物事に興味を持つことが多く有ります。
逆にこの特性を生かし、学者や音楽やプログラマーなどで成功している人も多く居ます。
物事を正直に話してしまう
物事に対しては思った事をそのまま話してしまうため、お世辞や冗談などを言うのが困難です。
暗黙のルールが理解できない
暗黙のルールは「不文律」とも言われ、明文化されていない法やルールです。
アスペルガー症候群の人はその場の雰囲気を掴みとるのが苦手であるため、その場に合わせたルールやマナーを取るのが難しくなります。
身体の動きがぎこちなく不器用
身体の障害を持っていなくても、体の動きがぎこちなかったり、手先が不器用だったりする場合があります。
特に体の複数の部分を同時に動かす場合にこの特徴が顕著に現れることがあります。
同時に複数のことができない
アスペルガー症候群の人は同時に複数の事を行うのが困難な場合があります。
同時に複数の仕事や作業を受け持つと一方を忘れてしまったり、電話をしながらメモを取るといった単純な事も難しい場合があります。
まとめ
アスペルガー症候群の者は知的には遅れが無いため学校の勉強では良い成績をとる事がありますが、社会に出た際に「空気が読めない」「冗談や皮肉が理解できない」「物事を正直に話してしまう」などから対人関係に問題が発生することが多くなっています。
アスペルガー症候群の特徴を見て「自分にも当てはまる」という人は多くいると思います。
日常生活で問題を抱えている場合には、問題となる部分を補うツールを利用したり、やり方を変えてみる等の工夫で問題を軽減できる場合もあります。
また、発達障害やアスペルガー症候群を専門に扱っている精神科などの医療機関や専門機関に相談をしたり、自治体の発達障害者支援センターなどに問い合わせてみるといいと思います。