マカトン法とマカトンサインとは
マカトン法とマカトンサインとは
マカトン法とマカトンサインとは会話の出来ない聴覚障害と知的障害を持つ人を対象に作られたコミュニケーション方法です。
マカトンは「言葉による会話」「手話のような動作によるサイン」「線画によるマークやシンボル」の3つの方法を用います。このうち「手話のような動作によるサイン」の部分をマカトンサインと呼んでいます。
現在では知的障害者、自閉症者やダウン症者などの障害を持つ人にも多く利用されています。海外では発達初期の子供へのコミュニケーション方法や、発達が遅れている子供への言語と文字の理解を促すためにも使われています。
マカトン法のなりたち
1972年から1973年にかけてにイギリスの言語療法士であった、マーガレット・ウォーカー(Margaret Walker)、キャサリン・ジョンストン(Katharine Johnston)、トニー・コーンフォース(Tony Cornforth)の3名を中心に作られた意思疎通のためのコミュニケーション手段です。
彼ら3名の頭文字を取り「Makaton(マカトン)」と呼ばれています。
マカトン法の概要
マカトン法は「動作によるサイン」「線画によるマークやシンボルの表示」の2つの方法を、実際に言葉で話しながら行います。これはマカトンが言葉の理解を補助する目的であるためです。
場合によってはボディランゲージ、表情、アイコンタクトなどを使用して多くの情報を相手に与えて理解を深めさせることも有ります。
実際に話しながら動作を行ったり線画を見せることで、目と耳からの情報が一致しコミュニケーションを取れるように促すことが出来ます。
また、話と同時に動作や線画を見せるため一般的な口語文とマカトンのサインやマーク・シンボルが一致しやすいという特徴も有ります。
マカトンは日常生活に必要とされる約450個の語彙(日本では330前後の語彙)が用意されています。また、線画で使用される絵には11,000近くの種類があり、個々のニーズやレベルにより使用するものを調整することが出来ます。
(450の語彙と11,000の線画はイギリスマカトン協会の場合)
マカトンには場面ごとに1から9までのステージがあり、家庭内のことから社会にでて必要な項目まで場面ごとに分類されています。
ステージには「基本的生活」「家庭生活」「戸外生活」「集団生活・学校生活」「地域社会」「広い生活」「数量・時間・日時等」「趣味・行事・食べ物など」「その他オプション」が有ります。
なお、マカトンは手話のように目的や会話の全てを伝える必要が無く、サインであるため意思が疎通できれば1単語だけのコミュニケーションでも問題はありません。
マカトンの線画
マカトンの線画は単純なデザインで理解をしやすいという特徴があります。また、線画であることから絵が下手でも必要に応じて描写をして利用する事もできます。
線画も絵カードのように文字や色を追加したり、複数の利用や並び替えで意思を伝える事もできます。
マカトンサイン
マカトンサインはマカトンの中でも手話のような動作により、相手へ意思表示をするものです。
マカトンサインは動作がジェスチャーやパントマイムのように、実際の動作に似た動きをしているので、子供や知能の低い人でも視覚的に理解しやすいという特徴が有ります。
赤ちゃんが使うベビーサイン(会話の出来ない赤ちゃんと意思疎通を行うジェスチャー方法)の動作とも似ている項目も有ります。
手話との違いは単語が手話よりも少なく、動作も簡略化されているので、身体に不自由が有る場合や知能が低い場合でも動作を行いやすいという特徴が有ります。
手話は1語を2つ以上の動作で表す複合的な動作が多く有りますが、マカトンサインは基本1語を1動作で表します。
自閉症の子供がよく使うマカトンサインには「ちょうだい」「お願い」「終わり」「もっと」「美味しい」「トイレ」等が有ります。
マカトン法を習うためには
マカトン法はイギリスの「The Makaton Charity」が中心となり、日本では「日本マカトン協会」がマカトン法の普及と研究を推進しています。
マカトン法を習うためには日本マカトン協会が行っている各種ワークショップで研修を受けることが出来ます。
なお、このワークショップは比較的大きい地方でしか行われず、開催回数も少ないため気軽に参加するのは少し難しくなります。
簡単なマカトンサインは作業療法士や言語聴覚士、発達障害専門の療育センターなどでも教えてもらえる場合も有ります。
まとめ
言葉でのコミュニケーションが難しい場合でも、線画の理解やマカトンサインを使えるようになる事で、相手との意思疎通を行う事が出来るようになります。
その為、子供が欲求やストレスを貯めることなく、お互いに気持ちよく生活や行動が出来るようになります。