支援学校卒業後の社会生活や将来に向けた問題や課題

   2018/01/08

支援学校卒業後の社会生活や将来に向けた問題や課題

自閉症や発達障害児を持つ保護者の大きな悩みとしてあるのが、特別支援学校や支援クラス卒業後の社会に向けての事だと思います。

高校生までは特別支援学校や各地の支援クラスなどで学ぶ場や行き場が決まっています。しかし、学校を卒業してしまうと、就職や就労、入所施設や通所施設へと、一人の大人として社会に出て行きます。

知的能力が高く就労が可能な子供の場合には、社会に出て自立して生活していくことが求められるようになります。

では実際に社会に出た際にどのような問題が起こりやすいのでしょうか、様々な面から調べてまとめてみました。

就職や就労

働くことが可能な子どもの場合や、一般企業や特例子会社に就職したり、就労A型やB型の就労施設へ行って生産活動を行う事になると思います。

特別支援学校では就労希望者には就労に向けての様々な実習を行ったり、実際の企業や施設に実習に参加することができ、自分の行う仕事の理解を深めることができます。

しかし、通常の学校から就職や就労に進む場合には、就職先の仕事へのトレーニングを行うことがほぼ無いため、実際に働きに出た際に、仕事の内容が分からなかったり自分の考えていたのとは違うと混乱してしまうことがあります。

支援学校などで自分の行う仕事内容を意識している子どもは、学生時から「僕・私はこの仕事を頑張るんだ」という意識が高い子どもが多く、実際に仕事を始めても楽しんで通っている事が多いです。

また、小学校6年間、中学校3年間、高等学校3年間で徐々に理解をして慣れてきた学校生活とは全く違ったものになるため、ルールや生活環境が変わり、これも混乱する理由のひとつになります。

金銭管理

社会人として一人で生活するうえで重要な項目のひとつが金銭管理になります。お金に関しては数字としての金額の理解やお金の価値だけでなく、自分の収入と支出の関係なども知らなければいけません。

特に自閉症や発達障害の人は、未来の予想や、今後のことを理解したり考えることが難しい特徴があります。仕事で得た給料が入っても次の給料まで生活に必要な金額を換算したり、いざという時のための貯蓄をする計画を立てるのが出来ず、手に入ったお金を直ぐに使い果たしてしまうと言う事も多いようです。

またお金の貸し借りに関しても、お金があるからといって気軽に貸してしまったり、お金を借りた際にも返すことまで考えることが出来ないと言った事があります。

金銭に関しては自分の生活に必要な金額と、いざという時のお金をためる事を理解をさせ、自分の収入に見合った生活レベルを作ることが重要になります。

健康管理

一人で生活していくうえでは自分の健康を管理することも必要となります。しかし発達障害の人は様々な理由から健康管理をするのが難しくなってしまいます。

大きな理由のひとつとして感覚過敏や感覚鈍磨から自分の体の不調が分からないということがあります。感覚過敏であるとちょっとした刺激でも非常に強く感じ取ってしまいます。また、感覚鈍磨となると病気による不調や怪我などの痛みを感じにくくなってしまい、病気汚怪我や発見が遅れ、気がついたら重症であったということもあります。

感覚が正しく感じ取ることが出来ないと、気温や体温の暑い・寒いが分からなくなり、適切な温度管理や衣類の調整ができなくなります。

二つ目の理由として自分の体が怪我や病気で不調になった場合に、どのように処置をして良いのか分からないということがあります。

健常者で有れば怪我なら程度にもよりますが、バンドエイドを張ったりガーゼや包帯で止血をします。体の調子が悪い場合にはその症状に適した薬を飲んだり、専門の科を持つ病院に受診したりします。

自閉症や発達障害者の場合、怪我や病気の知識のほかその対処法が分からないため、食中りなどでお腹が痛い場合にもバンドエイドを張ってしまったりすることも見られます。

また、病院や医者に対して恐怖心を持っていることも多く、重症で有っても行きたがらないと言うこともあります。

三つ目の理由としては体調の不良を感じても、誰かに知らせることが出来ないということがあります。

周囲に体のことを相談できる人がいなかったり、適切な知らせ方が分からないといった場合も多く見られます。

自閉症や発達障害の大きな特徴のひとつに、「コミュニケーション能力の困難」と言うものがあります。これは言葉や文字の理解が遅れているだけでなく、その場にあった適切な会話が出来ないということも含まれます。

そのため、腹痛を感じていても、相手から「どこが痛いの?頭が痛い?」と聞かれると部位が違うのにもかかわらず「はい」と答えてしまうようなこともあります。

家事

社会人となって実家から出て一人で住む場合には、家事が出来ないといけません。しかし、学生の間は同居している母親がほぼ全ての家事を行っていることが多いため、いざ一人で生活する際に家事のやり方が全くわからないと言うことが多いです。

家事にも「ご飯を作る」「洗濯をする」「掃除をする」といった基本的な事から、ちょっとしたことまで数多くがあります。

ご飯を作ることが出来ても、どこの店でどの材料を買えばいいのかわからなかったり、こだわりや作れる料理の種類が少ないことから、いつも同じものを食べていて体を壊してしまうこともあります。

洗濯ができないため汚い服を何日も着続けてしまうことや、掃除が出来ないため部屋が汚れてしまったり、場合によってはごみの捨て方が分からず部屋に溜め込んでしまうということもあります。

また、水道・ガス・電気の料金の払い方が分からない、市町村役場での申請や各種手続きが分からない、郵便や宅配便の受け取り方や再配達のやりかたがわからないといったことも一人暮らしをする上で知らないと困ってしまいます。

特に子供の頃から家事を母親が行っている環境で生活していると、それが当たり前だと思ってしまい、新たに家事を覚えようと思っても理解が出来なかったり、一度覚えた生活を新たに変えることは発達障害や自閉症の特徴からとても難しくなります。

一人の社会人として扱われる

学校を卒業して社会に出ると、障害の有無に関わらず一人の社会人として扱われます。

現在の社会では昔に比べて自閉症や発達障害の理解が広まってきましたが、まだまだ知られていないのも現状です。そのため、障害の特性で有るにも関わらず「手を抜いている」「ふざけている」「やる気がない」と取られてしまったり、他の健常者と比べられてしまうことも多くあります。

また、子供のときは本人が嫌がっても、教育や指導をするために多少強引に誘導や注意をすることが出来ます。しかし、社会人になると本人の意思が尊重されるため、本人のためを思って指導や注意を行っても『虐待』と見なされる事もあります。

たとえば、運動もせず食べているばかりで太ってしまったり、健康診断で異常が出てしまった際に運動を促そうとしても、本人が運動をしたくないという意思がある場合にはそちらを尊重しなくてはいけなくなる場合もあります。(命や直ちに健康に異常が出る場合はまた別の考え方になりますが・・・)

それと保護者側の変化として、今まで障害児という括りであった子供が、18歳になると障害者という括りになるため、『障害者』という言葉に改めてショックを受けるという事も多いようです。

トラブルに巻き込まれやすい

自閉症や発達障害の人はトラブルや犯罪に巻き込まれやすい傾向にあります。トラブルに巻き込まれやすい理由としては、知的障害を持っている場合は知能面の理解が乏しいこと、その場で適切な判断ができない事、発達障害では人の気持ちや考えを理解することが難しいので話を鵜呑みにして騙されやすいということもあります。

また、女性に関しては性的被害への注意、男性に対しては性的加害者にならないように気をつける必要もあります。

被害にあっても被害にあっている事の理解や、被害にあって困っていることを周囲の人や警察などに伝えることが出来ないという理由も有ります。また、被害にあっているのに恥ずかしくて言う事が出来ない人も多いようです。

被害にあわないためには家族や支援者が見守る必要や、困ったときに相談できる人や方法などを作っておくことが重要になります。

関連ページ
障害者が詐欺や悪徳商法などの金銭トラブルの被害に遭う理由 | 発達障害-自閉症.net

関連ページ
自閉症などの発達障害や知的障害の性教育 | 発達障害-自閉症.net

余暇の過ごしかた

余暇の過ごし方も社会人としての生活の一部になります。

休日や仕事後などの余暇の過ごし方を知らないと、一日中家の中にいるだけになったり、テレビを見たりゲームをするだけで休日が終わってしまうということも多いです。

余暇には体を休める目的と、仕事や就労のストレス発散を行い、気分転換をしてリラックスをする目的があります。休みの日などに趣味や自分の好きな事を楽しむことで、また次から頑張ろうという励みにも繋がります。

余暇の過ごし方を知らないと、リラックスが出来ないため、疲れが休日以降にも持ち越されてしまったり、失敗や注意を受けたことで沈んでしまった気持ちの切り替えが出来ないということもあります。

また、趣味や遊び仲間を通しての社会参加も、一人の人間として生活するうえで重要な要素になります。

まとめ

自閉症や発達障害の子供が学校を卒業して社会に出る際には、大雑把に分けても多くの事が問題になります。もちろん、このページに書かれたこと以外にも、社会にでると沢山のわからない事やできない事が出てきます。

子供が小さいうちから少しでも出来ることを増やし、社会に出た際に必要なスキルを身につけさせてあげることが必要となり本人のためにもなります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket