注意欠陥多動性障害(ADHD)とは
注意欠陥多動性障害(ADHD)とは
注意欠陥多動性障害(attention deficit hyperactivity disorder:ADHD)とは「多動性」「衝動性」「不注意」に関する症状を特徴とする発達障害です。
「注意欠如・多動症」「注意欠如・多動性障害」とも呼ばれることが有ります。
以前は親の育て方に問題があるなどと言われる事がありましたが、現在では発達障害として認知され始めています。
近年では大人の注意欠陥多動性障害も話題になることがあり、社会に出た際に仕事でミスを多発したり、物を無くしたり忘れたりすることで診断を受け注意欠陥多動性障害だと気づく場合も増えてきています。
注意欠陥多動性障害の割合と人数
注意欠陥多動性障害の児童数は平成24年度の文部科学省「通級による指導実施状況調査」によると、全国の小学校の通級で7,596人、中学校の通級で921人となっています。
生涯保健部国立保健医療科学院の2005年の調査によると、全国の小学校で教諭が注意欠陥多動性障害と考えている児童は1000人あたり3.7人で、そのうち注意欠陥多動性障害と診断を受けている児童は1000人あたり1.2人としています。
なお、年齢が低い子供ほど落ち着きが無く注意力も散漫であることから、低学年ほど注意欠陥多動性障害と思われる子供が多い傾向に有ります。
注意欠陥多動性障害の原因
注意欠陥多動性障害の原因の原因は現在も特定はされていませんが、一卵性双生児では高い確率で2人ともに発生し、親族に注意欠陥多動性障害がいると発生する率が高くなる事から遺伝的な要素があると考えられています。
また、注意欠陥多動性障害に関連があるとされている項目には「脳の右前頭前皮質、大脳基底核の尾状核と淡蒼球、小脳虫部」「神経基盤」「睡眠時間」などがあります。
注意欠陥多動性障害の定義
文部科学省においては「ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。」と定義されています。
注意欠陥多動性障害の種類
注意欠陥多動性障害の種類には精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-IV-TR)においては以下の3種類に分類されています。
- 多動性・衝動性優勢型
- 混合型
- 不注意優勢型 (ADD)
アメリカの医学博士のダニエルエイメン博士の脳SPECT(脳の断面の血流状態を確認できる画像診断方法)を用いた診断方法では以下の6種類に分類されます。
- 典型的ADD
- 不注意型ADD
- 過集中型ADD
- 側頭葉型ADD
- 辺縁系型ADD
- 火の輪型ADD
注意欠陥多動性障害の特徴
注意欠陥多動性障害の主な特徴には以下のものが有ります。
不注意
- 単純なミスをする
- 物事に集中できない
- 物事を最後まで行えない
- 作業や物事を順序だてて行うことが出来ない
- 忘れ物や無くし物が多い
- 約束を忘れたり守れない
- 遅刻をする
- 時間の管理が難しい
- 同じことの繰り返しが出来ない
- 人の会話を聞いていなかったり聞いていないように見える
- 興味関心の幅が狭い
多動性
- おとなしく座っていられない
- 待っていられない
- 落ち着きが無い
- 目的のない動きが見られる
- 走り回ったり高い場所に登ってしまう
- 一つの場所に留まれない
衝動性
- 突発的に動いてしまう
- 順番を待つのが難しい
- 衝動的に物を買ってしまう
- 思ったことをとっさに口に出してしまう
- 一方的に話してしまう
- 他人の会話を自分の会話で遮ってしまう
- 色々な物事にすぐ心が移る
また注意欠陥多動性障害の児童の半数近が学習障害を伴っているとされています。