学習障害(LD)とは
学習障害とは
学習障害(Learning Disabilities:LD)とは知的には大きな遅れは無いものの、学習面においてつまづいてしまったり、特定の学習内容の習得が困難とされる症状で、発達障害の一つとされています。
以前は「言語性LD」と「非言語性LD」で区分けされていた事もありました。
学習障害の定義
文部科学省においては「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。」と定義されています。
アメリカ合衆国の連邦合同委員会では「学習障害とは、聞き、話し、書き、推理する能力、算数の能力を取得したりするのが著しく困難な、さまざまな問題群の呼び名である。そのような問題は、生まれつきの中枢神経の働きの障害によるものと考えられる。 学習障害は、他のハンディキャップ(たとえば、感覚の障害、精神遅滞、社会性や情緒の障害など)や不適切な環境(文化的な違い、望ましくない教育など)からも生じるが、そのようなハンディキャップや環境から直接生じるものではない。」と定義されています。
ICD-10(国際疾病分類第10版)では「学力の特異的発達障害」に分類され、「特異的読字障害」「特異的書字障害」「算数能力の特異的障害」「学習能力の混合性障害」「その他の学習能力発達障害」「学習能力発達障害詳細不明」に細分されています。
DSM-IV-TR(精神障害の診断と統計マニュアル)では「学習障害」で呼ばれ、「算数障害」「読字障害」「書字表出障害」「特定不能の学習障害」に細分されています。
学習障害者の割合と人数
学習障害を持つ子供の割合は、2012年の文部科学省の調査で児童全体の約4.5%にあたると報告されています。
内閣府の平成25年度障害者の状況によると学習障害を持つ通級(通常の学級に在籍しながら特別支援教育を受けること)に在籍している児童数は小学校で7,714人、中学校で1,636人となっています。
学習障害の原因
学習障害の原因は現在も不明で、脳や中枢神経系に何らかの機能障害があるとされています。なお、親族に学習障害の者がいる場合に発症率が高くなる事から、何らかの遺伝的な要因もあると考えられています。
文部科学省において「学習障害はその原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。」と定義されています。
学習障害の種類
学習障害の種類には「読字障害(ディスレクシア)」「書字障害(ディスグラフィア)」「算数障害(ディスカリキュリア)」の3種類があります。
読字障害(ディスレクシア)
読字障害(ディスレクシア:Dyslexia)とは、知的には問題が無いものの、文字の読み書き学習に対して著しい問題を抱える障害です。
「難読症」「識字障害」「(特異的)読字障害」「読み書き障害」とも呼ばれることがあります。
読字障害には「文字の形がバラバラになる」「左右や上下が逆になる」「文字同士の違いが分からない」「文字や単語の意味を理解するまで非常に時間が掛かる」などの問題が有ります。
書字障害(ディスグラフィア)
書字障害(ディスグラフィア)とは知的には問題が無いものの、文字を書くことに対して著しい問題を抱える障害です。「書字表出障害」と呼ばれることも有ります。
書字障害には「見た文字を書き写すのが難しい」「文字の向きや形がバラバラになる」「鏡文字になる」「長文を書けない」「文章の構成が出来ない」「句点・読点が理解できない」などの問題が有ります。
算数障害(ディスカリキュリア)
算数障害(ディスカリキュリア)とは知的には問題が無いものの、数字や数学的記号の理解に著しい問題を抱える障害です。
算数障害には「数字や記号自体の認識が出来ない」「数字として数を数えることが出来ない」「簡単な計算が出来ない」「数の大小が理解できない」「暗算が出来ない」「アナログ時計が読めない」などの問題が有ります。