ドラベ症候群(乳児重症ミオクロニーてんかん)とは
ドラベ症候群とは
ドラベ症候群(Dravet syndrome)とは乳児期に発症する難治性の癲癇で、1978年にフランスのシャーロット・ドラベ(Charlotte Dravet)博士により紹介され、1989年にドラベ症候群と名づけられました。
「乳児重症ミオクロニーてんかん(Severe myoclonic epilepsy in infancy:SMEI)」とも呼ばれ、大田原症候群、ウエスト症候群、レノックス・ガストー症候群などと共に、乳幼児破局てんかんの一つに数えられています。
ドラベ症候群の原因
ドラベ症候群の原因はSCN1A遺伝子の変異が主な原因となっています。稀にSCN1A遺伝子の微細欠損や、SCN1B遺伝子、SCN2A遺伝子、GABRG2遺伝子の変異が原因によるものも報告されています。
ドラベ症候群の患者数
ドラベ症候群は4万人に1人が発生するとされ、厚生労働省の資料では日本で約3000人程度と考えられています。
また、ドラベ症候群を含む乳幼児破局てんかんの患者数は約5000人程度となっています。
ドラベ症候群の症状
ドラベ症候群は乳児期の生後半年から1歳ごろに発症し、全身強直間代発作(全身の硬直発作と痙攣する間代発作が起こる発作)や片側性間代発作が見られ、それらの発作が繰り返し引き起こされるのが特徴です。
発症以降は痙攣発作の他、ミオクロニー発作(体の筋肉の一部が一瞬緊張してピクッと動く発作)、非定型欠神発作(脳波の形状が非定型で、引きつる・目をパチパチさせる・ボーっとするなど)、複雑部分発作(意識が無くなり体が不随意に動く)発作なども見られるようになります。
ドラベ症候群の発作は入浴や発熱など体温が上がると誘発されやすくなる他、特定の光や図形過敏などでも引き起こされることが知られています。
また、成長期に多くの発作が起こるため、脳の成長が阻害され発達遅延や精神遅滞、また運動能力の失調や、筋力低下なども見られるようになります。
一般的に1歳程度から発達が遅れ始め、4歳以降は成長の遅れが特に目立つようになります。成長しても多くはIQ50以下の重度から中度の知的障害となります。
思春期以降に達すると痙攣発作の回数は減少する場合が多く、熱により誘発される発作も軽減されます。しかし、睡眠中の突然死や急性脳症などの症状で患者の約10%が思春期までに亡くなると報告されています。入浴時の発作による溺死も多く見られるので特に注意が必要となります。
発作時の注意点
癲癇発作や薬の影響で倒れたりふらふらすることが有ります。その為外出時には保護帽やヘッドギアを被る必要が有ります。
発作の種類には意識が無くなったり、本人の意思とは関係のない動きを取ってしまう事もあるので、室内の危険な物は片付けたりクッションをつけるなどの保護策をとると良いでしょう。
発作時には痙攣発作を反復して引き起こすため発作が何分も続く重積発作となる事があります。
普段と発作の様子が違う場合や、発作の時間が長い場合(5分から10分以上)、発作により呼吸が止まってしまった場合には救急搬送や入院が必要になります。
ドラベ症候群の治療方法
ドラベ症候群は非常に難治で、1種類の薬品で効果が出ることが少なく、複数の薬品の併用が一般的です。
使用される薬剤にはバルプロ酸、ゾニサマイド、クロナゼパム、クロバザム等が有ります。
テグレトール、ラミクタール、アレビアチンなど一部の抗癲癇薬には発作を悪化させるとの報告も有るので、医師や専門医の指示にしたがう必要が有ります。