特別支援学校の自主通学や自力登校

   2018/03/22

特別支援学校の自主通学や自力登校

特別支援学校の子供の登校は主に「スクールバスでの登下校」「保護者による送迎」「自主通学または自力登校」の3種類だと思います。

この中でも自分で登下校をする自主通学や自力登校についての意味や目的、方法などについて調べてまとめてみました。

自主通学や自力登校とは

「自主通学」「自力登校」とはその文字のとおり、自主的または自分の力でに学校まで登下校をするという意味です。自主登校には徒歩で行うほか、自転車、電車やバスなどの公共交通機関を利用したり、場合によっては介護タクシーなどを使用する方法が有ります。

自治体や支援学校によっては、特別支援学校でも高等部になると義務教育ではないため、スクールバスの利用を原則認めず、自主通学または保護者による送迎を行うケースも見られます。

自主通学には学校まで一人で行く場合と、一歩手前のスクールバスのバス停まで一人で行きそこからはスクールバスに乗車という2段階を取っている学校が大半だと思います。

自主通学や自力登校をを行うメリット

自主登校が出来るようになると多くのメリットが生まれます。

就労への準備

特別支援学校卒業後の進路で、就労施設を希望している人も多く居ると思います。就労施設では基本的に送迎サービスが無い為、本人による通勤が必須となります。

特別支援学校在学時はスクールバスや保護者による送迎が当たり前だった生活から、卒業後はいきなり自主通勤となると本人もどのように行動してよいのかさっぱり分からなくて困ると思います。

そのため、就労を目標とした子供の場合は、特別支援学校在学時から通勤の練習も兼ねて自主登校を行います。

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生活や知識の幅が広がる

通常の学校に通っている子供は登下校の際にお友達と道草を食ったりしながら、遊んだり多くのことを学びます。ところが支援学校の子供は自宅から学校まで保護者の車で通学したり、スクールバスに乗って通学する為、道草を食ったりして遊ぶことが出来ません。

登下校時の道草でも、お友達や上級生・下級生との人間関係をはぐくんだり、地域の地理や場所、様々な店舗などへの理解も深まります。時にはイタズラなどをして、地域の人に怒られ理解する事も有るでしょう。

通学を通して一人での行動が出来るようになれば、買い物や遊びに行ったりと、生活の幅を広げることにも繋がります。自分で好きな場所にいけるようになれば、社会に出てからの趣味や交友関係を広げ、充実した余暇を過ごすのにも便利になります。

体力が付く

登下校で有る程度の歩くことで、体力がつき肥満など防止にも役立ちます。また、毎日の決まった運動になるため、体のバランスやリズムも整い、規則正しい睡眠やストレスの解消にも役立ちます。

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地域の人との繋がりが広まる

自宅から学校まで毎日通学をすることで、近所の人や地域の人との繋がりも生まれると思います。直接会話などが無くても毎日顔を見ることで、地域の人は温かい気持ちで見守ってくるはずです。

特に、困っている様子を見かけた場合、見たことが無い人だと声をかけたり手助けもしにくいですが、毎日見かける人なら声もかけやすいと思います。

自主通学や自力登校を行える条件

自主通学や自力登校を行える条件は在学している学校により違う為、これといった条件はありません。しかし、その中でも必要とされる項目については以下のものが有ります。

基本的に学校ごとに自主通学を行える条件が決まっており、教師などが登校の様子をチェックし一人での登下校が可能だと判断した場合に許可が下ります。自主通学の許可が下りれば「自主通学許可書」などと呼ばれる書類が発行されます。

学校までの道のりを把握している

これは大前提ですが、学校までのルートを把握していなければいけません。また、方角の理解や目的地の学校や通学ルート周辺のある程度の地理の理解も必要となります。

徒歩のみで通学する子が道だけを覚えればよいですが、電車やバスを利用する場合は行き先、下車する駅やバス停などまで把握をしなければいけません。

また、電車やバスが遅延した場合、乗り過ごしてしまった場合なども想定し、乗ってきた電車やバスのルートを戻るなどの対処方法を覚える必要が有ります。

電話を使うことが出来る

ここ最近の自主通学の条件に電話を使えるというものが見られます。特に、東日本大震災以降は携帯電話やスマートフォンで緊急時に保護者や学校に電話を行える必要が重要視されています。

携帯電話を使えるという条件には「かかって来た電話に出て応答をする」「自分から電話をかける」という2つの動作が必要になります。

また、LINEなどのコミュニケーションSNSや、様々なアプリもあるため、場合によってはそれらのツールを利用して情報のやり取りを行います。

キッズ携帯や位置情報アプリなどを利用すれば、電源が入っているだけで携帯を持った本人の位置を特定できるので、本人の安全を見守るのならそれらの機能を使うのも良いでしょう。

周囲の人との意思疎通が行える

道に迷った場合や体調不良になった場合などに、周囲の人に自分の状況など伝えることが出来なくてはいけません。

言葉で意思疎通が出来なくても、筆談やアプリケーションの利用、決まった定型文のメッセージカードを使ってなど何かしらの方法でのコミュニケーションを取れる事が必要です。

定型文には「道に迷ってしまいました」「○○支援学校の道のりを教えてください」「○○に電話をかけてください」など、必要とされる項目を予め作っておく必要が有ります。

交通ルールが守れる

公道を利用しての移動となると、交通ルールを守れなくてはいけません。
歩道を歩く、信号を守る、横断歩道や信号機の有る場所を渡る、歩道橋を使うなどルートによって様々な交通ルールを把握することになります。

また、お友達と広がって歩かない、対向者や大きめな車が近づいたら端に避けるといった細かなルールなどの理解も必要となります。

自転車を使用する場合には自転車の乗り方、自転車の交通ルールも必要になります。特に自転車は軽車両扱いとなり、歩行者とは違うルールと異なります。自転車の場合には交通ルール以外にも、ブレーキの利き具合、夜間にライトが点灯するかなどの定期メンテナンスとチェックも行いましょう。場合によっては自転車保健などに入っておくと、事故を起こしてしまったり巻き込まれた場合にも有る程度の保障がされます。

通学で利用するルートを決めたら、保護者も一緒に歩き、危険なポイントや気をつける箇所などを一緒に確認すると良いと思います。

雨や雪の日の対応が出来る

自主通学をする際は雨の日や悪天候の日も有ります。そのような場合に自分で傘やレインコートなどの雨具を利用たり、長靴やブーツを履かなくてはなりません。

雨具も利用するだけでなく、使い終わったら水気を切って仕舞う事が出来る、レインコートを着たまま電車やバスに乗らない、傘を置き忘れないなど雨具の管理に関しての理解も必要になります。

雨や雪となると足元も悪くなり転んだりする危険性も有ります。また、悪天候だと道が混んだり、交通機関に大きな遅れが出る事もあるのでその際の対応が行えなくてはいけません。

公共交通機関の理解

登下校をする際に電車やバスなどの交通機関を利用する事もあると思います。その際には以下の項目の対処法などを確認しておく必要が有ります。

  • 乗り降りする駅の確認
  • 料金の支払い方法
  • 行き先や系統の確認
  • 電車の種別(特急、快速、急行、普通など)
  • 遅延時や運転中止時の対処法
  • 乗り過ごした場合の対処法
  • 乗り換えが有る場合の乗り換え方法

バスや電車でも障害者に対する意識は昔に比べると高くなっており、バリアフリーの設備や見やすく音声でも案内する表示板なども増え、障害を持つ子供でも対応がしやすくなってきています。また、バスなどの運転手さんも、乗り降りするバス停で声をかけてくれたり、乗降の手助けをしてくれる事も有ります。

まとめ

自主登校や自主通学を行うには、地理、交通ルール、公共機関の利用方法など、多くのことを学んだり、乗り越えなければならない課題が有ります。

学校を卒業して就労などの進路を希望するには必須の事項となり、就労以外にも自分の生活や活動の幅を広げたり、趣味や交友など充実した余暇を過ごすのにも必要となります。

自分で目的の場所へ行くということは直ぐには出来ることでは有りませんが、学校に通学中から少しずつ練習をしていくという意味でも自主登校や自主通学は大きな意味を持つでしょう。

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