約束の時間を守れない

 

約束の時間を守れない

発達に遅れのある子供の場合、時間を守るのが難しいということがあります。

8時にはスクールバスに乗らなくてはいけないのになかなか準備をするのが難しかったり、寝る約束の時間になってもテレビやゲームに夢中で結果として寝るのが遅れてしまい翌日寝坊をしてしまったり。

子供のうちなら親や学校の先生から時間を教えてもらい行動を促してくれますが、社会に出た際には自分で時間や約束を管理して行動しなくてはいけません。

本人も約束を破るつもりは無く、むしろ時間も約束も覚えているのに間に合わずに遅れてしまったり、約束を破ってしまう結果になる事もあります。

では実際にどの様な理由から約束の時間を守るのが難しくなるのか調べてまとめてみました。

約束の時間を守れない理由

発達に遅れの有る子供は、その障害などの特性や特徴などから様々な理由が考えられます。

時間の概念の理解が難しい

時間の意味や概念を理解するのは、発達に遅れの有る子供にとって難しいものになります。

時間には過去・未来・現在の流れ、時間の単位、時計と実際の時間の紐付け、時間としての感覚など、日常生活を行う上で様々な時間に関する意識や理解が必要となります。

時間の流れの理解

健常者であれば、時間は過去から現在そして未来へと一つの流れとしてつながっている事が理解し過去の事を覚えてます。しかし、発達に遅れの有る人の場合、時間は流れではなく、その部分部分の印象に残っていることを記憶の点として覚えている事があります。

そのため記憶の時間関係が前後逆になっていたり、大昔の出来事を昨日起こった出来事のように覚えている事もあります。

また、過去に起こった強い体験を何らかの理由で急に思い出す「フラッシュバック現象」や、過去の出来事をたった今起こったかのように感じてしまう「タイムスリップ現象」という特性を持っていることもあります。

関連ページ
フラッシュバックやタイムスリップ現象 – 自閉症と発達障害の特徴・特性| 発達障害-自閉症.net

単位としての時間の理解

日常生活をおくる上で時間は「年」「月」「日」「時」「分」「秒」など多くの単位として扱われています。これらの単位は数が多いだけでなく、10進数、12進数、60進数と様々な数の位を使うため障害を持たない子供でも理解に苦労し難しいと感じる部分でもあります。

時計の理解

時間を扱う時計もアナログとデジタルがあり、12時間表示と24時間表示とわかれています。

アナログ時計では長身・短針・秒針のそれぞれの針の違いと、針が指している数字を見て時刻を理解する必要があります。アナログ時計では1つの盤面に3つの針が有り、さらに秒針がめまぐるしく動いているため、発達に遅れのある子どもの場合、理解がとても難しいものになります。

アナログ時計のメリットとしては、具体的に針の位置を視覚的に理解し易いことから、3時、6時、9時など形としてみやすいため、視覚からの情報を取り入れることが得意な子供の場合に決まった時間は形として覚え易い特徴があります。

デジタル時計は数字を読むことが出来る子供の場合、数字として時間が理解し易いです。また、テレビやスマートフォンやタイマー付きの各種家電製品は基本的にデジタル時計のため、日常生活の中で目にする事も多く意識する事が多いかと思います。

時間の感覚

発達に遅れのある子供は、具体的に目に見えないものは理解が難しくなります。

健常者で有れば、10分と言われるとどれ位の時間間隔でその間に何が出来るなど理解する事ができますが、時間の感覚が分からないと10分という事は分かってもどれくらいの時間なのかが分かりません。

特に「ちょっと待ってて」「少し遅れる」と言うような抽象的な表現だと特に理解する事が困難になります。

衝動的に行動してしまう

ADHD(注意欠陥/多動性障害)に代表される障害を持っていると、衝動性という特徴を持つ場合があります。

衝動性の特徴が強いと、思ったことをすぐに喋ってしまう、順番を待てない、気になった事をすぐに行ってしまうなど、計画などもせずにその場の状況に応じず思い立ったことをすぐに行動してしまいます。

そのため、約束の時間などを理解はしていても、つい気になった事を突発的に行ってしまい、結果として時間に遅れてしまったりする事があります。

不注意

不注意もADHD(注意欠陥/多動性障害)に代表される特徴の一つです。

不注意の特性が強いと、忘れ物や無くし物が多くなる、気が散りやすく集中ができない、作業が長続きしないといった特徴が見られます。

不注意であると時間の約束そのものを忘れてしまうという事があります。

過集中

過集中という一つの物事に対して、過度に集中してしまう人もいます。特にADHDなどの発達障害の人に見られやすい特徴でもあります。

過集中になると他人から声をかけられても気が付かなかったり、気が付くと10時間以上も一つのことに集中しているという事もあります。

過集中状態になると取り組んでいること以外に意識が向かなくなってしまうので、時間などの約束も忘れてしまっている状態になります。

ワーキングメモリの弱さ

発達に遅れのある子供の場合、記憶に関しての能力が低いことがあります。特に各種発達障害の場合、「ワーキングメモリ」と呼ばれる動作や作業や計算などを行うために一時的に記憶する部分の能力が弱いとされています。

このワーキングメモリの能力が低いと、短期的な記憶を忘れてしまったりする事が多くなり、結果として約束の時間を忘れてしまうことがあります。

記憶の優先度の違い

発達に遅れのある子供の場合、新しく頭に入った情報の方が優先的になってしまう事があります。

約束の時間を覚えていても、別の情報が入ってしまうとそちらのほうが新鮮な内容であるため、優先度が高いと判断して約束があることを分かっていてもそちらを優先して行動してしまう事もあります。

約束の時間を守るための方法

約束の時間を守る方法には予定を確認して見通しをつける、余裕を持って行動する、常に新しい記憶として約束事をインプットするなどの方法があります。行い方は様々なので本人にとって一番わかり易い方法を取りましょう。

目につく場所にメモを書く

常に目に入る場所に約束事や時間などを書いたメモを書いておくのも効果があります。

常に目にする事で何度も確認ができて、忘れても思い出すことに繋がります。また、何度と無く目にする事でその都度新しい情報として記憶し、優先度の高い事であると意識できるようになります。

常に目に付く場所には、テレビの脇、パソコンのディスプレイ、トイレのドア、玄関、スマートフォンの画面など、その人が日常的に何度も目にする場所にしましょう。

私も約束や重要事項を忘れてしまうことが多いので、絶対に忘れてはいけない出来事をメモするときは、パソコンのディスプレイに付箋(ふせん)を貼る、スマートフォンとケースの隙間にメモを挟む、財布のお札にクリップでメモを留める、自宅の玄関のドアノブにメモをマグネットで止めたりして対応しています。

リマインダーや通知アプリを使う

日常的にパソコンやスマートフォンやタブレットを利用している際には、スケジュール管理ソフトやリマインダーなどの通知機能があるソフトやアプリを使う方法が有ります。

iPhoneやiPadには標準で装備されており、指定した時間になると知らせてくれる他、場所を指定してその場所に行くと教えてくれるといった昨日があります。

これらを利用することで、予定の時間になったらアプリからスケジュールを教えてもらえるほか、自宅や塾に着いたら行う事、大人なら職場に着いたら行う作業をアプリから教えてもらうことが出来ます。

事前に予定を教えて見通しをつける

発達に遅れのある子どもの場合、未来の事や今後のことを予測するのが苦手でです。また、これからの予定なども分かっていても、どのタイミングでどのように行動すれば良いか分からないという事もあります。

見通しが付かないと今後の行動が分からないだけでなく、不安を感じてしまう場合もあります。

そのような場合には事前にこれからの予定を教えて理解してもらい、見通しをつけてもらいましょう。見通しをつけるために教えることは、「何時に約束がある」という事だけではなく、「約束を守るために事前に何をしなければいけないか」と言うことも伝えましょう。

例えば約束の場所にいく為に1時間かかる場合にはその時間を教えたり、移動手段や持ち物、誰と何をしに行くのかなど分かる範囲で的確に教えて理解してもらう必要があります。

見通しをつける事で、何時から約束があることを理解できるだけでなく、本人の不安を解消しスムーズに行動につなげることが出来ます。

そのつど声かけをして理解させる

約束やその時間を意識させるために、定期的にそのつど声をかけて意識させる方法も効果があります。

約束の時間を理解していても急に行動しようとしても、なかなか動けないこともあります。そのため、あらかじめ事前に何度か声をかけて約束の時間を意識させることで、見通しをつける意味もあります。

なお、声かけを多くし過ぎると今度は約束事の方で頭がいっぱいになってしまう事もあるので、過度な声かけには注意が必要になります。

一日の流れの中に取り組む

発達に遅れのある子供の場合、決まった行動や流れで行うと見通しが付いているため、安心して動くことができます。

寝る時間、宿題を行う時間、お風呂に入る時間、学校に登校する時間など、毎日決まっている約束の場合は、一日のスケジュールの中に取り込んでしまいましょう。

カウントダウンを行う

約束の時間を意識していても、すぐに行動するのが難しい場合にはカウントダウンのタイマーなどを使って、事前に時間を意識する方法があります。

カウントダウンの時間には自分が余裕を持って意識と行動を出来る時間にしましょう。短時間で行動に移せる場合には5分前や10分前にし、もっと時間が必要な場合には30分前や1時間前から時間を意識できるように設定します。

最初は余裕を持った時間設定にし、慣れてスムーズに行動できるようになったら、徐々に時間を短くしていくと効果的です。

カウントダウンのタイマーには、複数の時間が設定できる目覚まし時計、スマートフォンのアプリなどを使うと良いでしょう。

余裕を持ったスケジュールにする

約束の時間に間に合うように行動をしていても、準備に手間取ったり、別のことに気を取られてしまい、結果として約束に遅れてしまうということも多いと思います。

そのような場合には予定の時刻に間に合うように準備の時間、移動の時間、それ以外に予備の時間を作っておくと効果的です。予備の時間には自分が安心して行動できる時間だけでなく、普段から約束の時間に15分遅れてしまうことが多いなら15分+αの時間を追加しておきましょう。

自分が安心して行動できる時間には、現地に到着して飲み物を買ったりトイレに行く時間や、電車に一本乗り遅れても間に合う時間などを考慮すると良いでしょう。

まとめ

発達に遅れのある子供の場合その特徴などから、時間を理解したり約束を意識したりするのが困難になる場合があります。

本人も約束を破りたくて守らないわけではありません。まずは本人の特性を理解して、どの面が理由で時間や約束を守ることが困難になっているのかを理解する必要があります。

本人が苦手としている部分を見つけて、本人が一番約束事を理解し易い方法を取ることが重要になります。

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