終わってないのに次の作業を始めてしまう
終わってないのに次の作業を始めてしまう
子どもの中には、課題や作業などが終っていないにも係わらず次のことをやり始めたり、急ぐあまり作業が雑になったり抜けやミスが多発するということがあります。
性格がセッカチだということもありますが、、発達に遅れのある子どもの場合にはその特性からこのような行動が見られることがあります。
では実際にどの様な理由から終わってないのに次の作業を行ってしまうのか、対処法も含めてまとめてみました。
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終わってないのに次の作業を始めてしまう理由
発達に遅れのある子どもが次の作業にどんどん進んでしまうのには、その特徴や特性などから様々な理由が考えられます。
衝動性から
衝動性とは現状や今後のことを深く考えず、思ったことをすぐに行動してしまう状態をいいます。発達障害の中でもADHD(注意欠陥・多動性障害)などの場合、衝動性の特徴が強いことがあります。
衝動性が強いと今行わなければならない事が有っても、思い立ったことが気になり、すぐにそちらの行動に移ってしまいます。そのため、現状の作業を行っている最中でも次の工程を気にしたり、今の状況を飛ばして次の作業を行ってしまうことがあります。
見通しが付かないため
発達に遅れのある子供は今後のことを予想したり、完成や終了状態を理解するのが難しい場合があります。
見通しをつける事が出来ないと、現在の作業をどの程度の時間や個数を行えばわからず作業の終了や完成の状態が理解できないばかりか、次の工程に移ってしまったり、逆に一つのことずっと行っているという場合もあります。
こだわりのため
物事にこだわりを持つのも、自閉症など発達障害の子供に多く見られる特徴の一つでもあります。
こだわりは人により様々なで、物や人の位置・色や形状・個数、行動の流れなど、その人ごとにこだわりが違います。
作業の流れや工程ににもこだわりが見られると、こだわりどおりに行ってしまい、一つの物事が終わらなくても次に進んでしまったり、こだわりの状況になるまでひたすら行い続ける事もあります。
早く終ることが良いと思っている
子供の中には早く終わりにする事が良い事だと思っている場合もあります。特に1番が好きな子供や、勝負事で勝ちなどにこだわる子の場合にこの傾向が見られることがあります。
速さにこだわってしまうと作業内容が雑になってしまったり、抜けやミスなどが多発する事に繋がります。
次のことが気になってしまう
作業の次に好きな事が待っている場合には、好きな事を早くやりたいがために気が焦ってしまい、早く終らせようとする事もあります。
例えば給食の前の授業だと次の給食が気になってしまい早く終らせようとしたり、家での宿題などでは早く遊びたいがために適当に行ってしまうということがあります。
焦ってしまう
集団で作業を行っている場合や時間や個数を気にしながら行う場合、焦ってしまうために今の作業が終わらなくても次の行動に移ってしまう場合があります。
集団で行っている場合、周囲のお友達が次々と工程を終わりにしていると、それをみて「自分も早く終わりにしなくては」と思い焦ってしまうことがあります。発達に遅れのある子供の場合、作業の理解や進め方などで健常児よりもペースがゆっくりなことが多く、結果として遅れてしまい焦りに繋がることがあります。
周囲と比べて焦ってしまう場合には、一人で落ち着けるスペースで行ったり、同じペースで作業を行える人と一緒に行うと良いでしょう。
作業時間や個数決められてる場合などもその時間内に間に合わせようと、作業内容が雑になってしまったり、完成しなくても時間内に終わりにしてしまうと言う事もあります。
時間や個数を気にしてしまうばあいには、本人が余裕を持って取り組める時間や個数などに調整しましょう。
対処方法
作業が終っていないのに次の工程に進んでしまう場合には、時間や回数で区切る、見通しをつける、お手本を見せるなど、その子の特性や理解度などから適した対処や指導を行うと良いでしょう。
見通しをつけ作業を理解してもらう
作業を行う前に内容や工程などを説明し、作業の終了や完成条件を理解し見通しを付けることが重要になります。見通しが付くことで何をやれば良いのか理解ができますし、終了や完成条件を把握する事が出来ます。
作業の時間や個数や回数などが決まっている場合には、それらの内容も具体敵意教えてあげましょう。
作業の内容だけでなく、準備や後片付け、色を塗ったり糊を貼ったりした場合は乾燥の為に待つ時間なども含めて伝え全体の流れとして理解をしてもらう必要があります。
時間などで区切る
時間を意識できる子供の場合には、具体的に時間で作業を区切る方法もあります。時間には時計を用意したり、カウントダウンのタイマーなどを用いて視覚的に、残り時間がどれ位有るか分かりやすくしましょう。
時間で区切った場合には自分の分が早く終ってしまっても、指定した時間が終るまでその場から移動させずに残っている部分を補ったり、より丁寧に仕上げるように促しましょう。
工程ごとに場所をわける
工程の内容ごとに作業場所を変えることで、1つ1つの作業内容が明確になり理解もしやすくなります。
作業場所の構造化にも繋がりますが、場所を分けたり、テーブルの色を変えるなど視覚的に場所の違いを作ることで、作業も1つ1つが別の工程だとわかりやすくなります。
集中できる環境を作る
何らかの理由で作業に集中が出来ない場合には、集中できる環境を作ることも重要です。
気になる物が目に入ってしまう場合には対象物を隠したり、座る位置などを変えて視界に入らないようにしましょう。
感覚過敏で音や光などが苦手な場合には、静かな環境で行ったり、耳栓やイヤーマフをつける、カーテンを閉める、ライトの光量を落とすなど対処をしましょう。
周囲の人が気になる場合には少人数や個別に行ったり、パーティションなどで周りが気にならない環境を作りましょう。
椅子や机が合っていない場合には、本人の座りやすい高さや素材の椅子や机に変更したり、クッションを使うなど、落ち着いて作業の姿勢が取れるようにします。
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お手本を見せる
行う作業の内容が分からなかったり、完成や終了の状態が想像できない子供の場合には、お手本を見せて作業のイメージを持たせるようにしましょう。
お手本には実際に作業の工程や行う様子を見せたり、完成したものを見てもらうようにしましょう。場合にっては上手に行う事が出来るお友達の様子を見てもらったり、お手本を見ながら一緒に行ってみるのも良いです。
その場でお手本を見せることが出来ない場合には、実際に行った様子の絵や写真などを見せて作業内容をイメージしてもらうのも良いでしょう。絵や写真だと分からなくなった場合に何度も見返せるというメリットもあります。また、写真や絵を用いたマニュアルや手順書などを作っておき、そのつど見てもらうという方法もあります。
順番のチェック表などを作る
作業を行う際には工程の順番や作業内容のチェック表を用いる方法も良いでしょう。
チェック表を見ることで作業内容の確認を行い見通しが付くだけでなく、作業の途中でやることが分からなくなってしまっても自分で確認ができます。
また、チェックをつけながら行う事で、間違いも少なくなり丁寧な作業を行う事が出来るでしょう。早く終ってしまった場合には、再度自分でチェックをさせ、間違いが無いかを見直し再確認する事も出来ます。
細かく指示を出す
発達に遅れのある子供は、一度に多くの内容を聞いても、全部を理解するのが難しかったり、途中で忘れてしまうことがあります。1つの工程や作業内容ごとに指示を出すことで、そのつど理解が出来るほか、細かい部分まで確認することに繋がります。
例えば塗り絵などでは全体を一色で数色でガーッと塗って終わりにしてしまうような子供でも、「まずは顔を塗ろうね」「次は洋服を塗ろうね」といった細かい指示を出すことで、1つ1つの内容を理解でき作業も丁寧になります。
スモールステップによる支援にも似ていますが、1つのことを細かく区切ることでその子がどの部分を苦手としたり理解が難しいかの把握に繋がるほか、1つ1つの項目をクリアする事で達成感や満足感を多く得ることが出来ます。
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終わった際に報告や次の作業の確認を行う
作業が終わった際にはその報告や、次の作業の確認を行わせるのも良いでしょう。報告を行う事で一つの作業の区切りをつける事が出来ますし、作業の間違い、抜けや終わっていない部分、丁寧さなども確認する事ができます。
次の作業を行う際には確認を行う事で見通しをつけるだけでなく、作業のペース、内容、完成や終了の条件なども再度細かく確認ができます。
報告・連絡・相談は社会にて出てから必要なコミュニケーションの一つとなります。
支援学校卒業後の進路のため、企業や作業所に実習に行く際にも「作業の出来具合や障害の程度よりも『報告・連絡・相談』が出来る人が好ましい」と言われる事が多いです。そのため、普段から「終わりました」「次は何をすれば良いですか?」など『報告・連絡・相談』が行えるように練習すると子供の将来にも繋がるでしょう。
集団で行動をする
グループやペアなどを作り、集団を意識して活動するのも効果があります。集団活動として行う事で、自分が終っても同じグループの人を待つ練習になります。
集団で行動をする事で、早く終わった場合にはペースの遅いお友達を手伝ってあげたり、逆に苦手な部分をお友達から手伝って貰うなど、良好な対人関係を育むことにも繋がります。
人数が多いことで圧倒されてしまったり、気が散って作業に集中が出来ない場合には、少人数のグループにしたり、仲の良いお友達やお手本となるようなお友達とのペアにしましょう。
まとめ
終わってないのに次の作業を行ってしまうのには、子供の特性やその特徴などから様々な理由が考えられます。
素早く終らせることは良い事でもあるので、その部分を生かしながらも、しっかりと決められた作業や工程を確認できるように教えてあげましょう。