発達に遅れの有る子供が興奮した場合の対処方法
発達に遅れの有る子供が興奮した場合の対処方法
発達に遅れの有る子供の場合、時に自分の気持ちを抑えきれずに興奮してしまう事があります。
興奮にも様々あり、パニックのように爆発的に感情が高まる、泣いたり大きな声を出してしまうなどがあります。人に対して興奮した場合には叩く蹴るなどの攻撃的な行動や、抱きついたり飛び乗ったりする事も見られます。
好きな物ごとに対して興奮してしまう場合には、好きな事への話が止まらなくなったりする事もあります。
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興奮とは
興奮とは気分が極端に高揚してしまう事で、行動だけでなく、考えの飛躍、気持ちが焦ってしまう焦燥感、多弁などが見られます。
子供が興奮する場面には『好きな事に対して』『注意や指摘を受けた』『思い通りに行かない』『とても良いことがあった』『異性に対しての性的興奮』『嫌な事や悔しいことに対して』など様々な事が考えられます。
また発達に遅れのある子供の場合、『フラッシュバック』や『タイムスリップ現象』などで、今現在の事ではなく、過去に起きたことを思い出したり今現在の事と思い込んで興奮する事もあります。
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興奮してしまった場合の対処法
発達に遅れの有る子供はその障害や特徴などから、様々な面で興奮してしまう事があります。そんな興奮に対して効果的と思われる対処法をまとめてみました。
クールダウンをさせる
極端に興奮してパニックのような状態になると、周囲の状況が全く見えなくなったり、人の声や注意も耳に届かなくなってしまいます。そのような場合にはその場を離れて落ち着けるスペースに移動してクールダウンをさせましょう。
興奮した場所では近くに興奮した原因があるので、子供本人もなかなか落ち着くことが出来ないとおもいます。また、近くにお友達などが居ると危害を受けてしまったり、何か物があると物に当たって怪我をしたり壊したりしてしまう事にも繋がるので、出来るだけ安全で落ち着けるスペースや別室に移動しましょう。
極度の興奮やパニック状態の場合には本人を移動する事が難しいので、周囲の人に別の場所へ移ってもらったり、危険と思われる物を移動させましょう。また、毛布などをかぶって落ち着ける場合には、毛布やタオルケットなどを手渡して本人に使ってもらうようにしましょう。
落ち着けるグッズを用意する
子供が気持ちを落ち着けるためのグッズを持っている場合には、そのグッズを用意しておく方法もあります。
興奮しそうなときにはあらかじめそのグッズを手に持たせたり、興奮してしまった際に手渡すようにしましょう。
興奮を落ち着かせるためのものとしては好きな物意外にも、自分が包まることの出来る毛布やタオルケット、口にする事で落ち着ける飴やガム、刺激を得ることで落ち着けるグッズ、気分を変えるための携帯ゲーム機やタブレット等、その子に応じたものを用意しましょう。
安全を確保する
パニック状態の興奮の場合まずは本人と周囲の人の安全を確保しましょう。
パニックになると興奮の原因となった物に手を出したり、周囲に居る人に対して蹴ったり叩いたり噛み付いたりと攻撃をする事もあります。物などがあるとそれにぶつかって怪我をしたりすることもあります。
物が原因で興奮した場合には、その物を壊そうとしたり、どこかへ遠ざけようと投げたりする事もあるので、危険と思われる物品は見えない場所に移動させましょう。
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あらかじめ対処をする
発達に遅れの有る子供の場合見通しが付かなかったり、不意に予期せぬことが起こると対処が出来ずに混乱してパニックになったりする事があります。子供が興奮する原因が分かっている場合や、興奮するであろうと予想が出来る場合には、事前に対処をする事も必要です。
人や物が原因の場合にはその人に合わせないようにしたり、原因となるものを隠したり使えないようにしましょう。
原因を対処できない場合には、本人対して「このような物や人がいる」「このような事が起こる」などあらかじめ説明をして見通しをつけ納得をしてもらいましょう。
事前にエネルギーやストレスを発散させる
エネルギーが有り余っていて興奮する場合や、ストレスが溜まっていて興奮に繋がる場合には事前にそれらを発散させる方法もあります。
エネルギーが有り余っている場合には事前に運動をして発散させましょう。関わっている子供の中に、授業中に興奮してバタバタと暴れてしまうという子が居るのですが、この子は学校に登校するとまず最初に先生と一緒にグラウンドを何週か走ってエネルギーを発散させる指導を受けています。
この子は授業前のジョギングを行ったことでエネルギーを発散することができ、授業中に暴れることも徐々に減ってきています。
ストレスも同様に溜まりすぎると興奮だけでなく、爆発してパニックになったり、気持ちが落ち込んだり、場合によっては体の調子も悪くなる事があります。子供にストレスが溜まっている様子が見られたら、気分転換や子供が好きな事を利用してストレスの発散を行ってあげましょう。
興奮した理由を聞く
子供が興奮してしまった際には、子供本人にその理由を聞いて気持ちを汲み取ってあげる事も重要です。
話をしっかりと聞いてあげることで、子供も安心して気持ちを落ち着かせる事が出来るでしょう。理由を聞くことで子供本人と興奮しないためにはどうすればよかったのかや、興奮してしまった際の対処法を考えてあげましょう。
なお、興奮している最中は話しかけても耳に入らなかったり、話す言葉も本来の気持ちではなかったりする事もあるので、本人が落ち着いてから話を聞いてあげましょう。
別の行動に切り替える
何かを行っていた際に興奮してしまった場合には、別の行動に切り替える方法もあります。
別の行動には子供本人の好きな事や、興奮してしまった物事と全く別のものに誘導し、意識や気持ちを別の方向に向けましょう。
また、行動だけでなく場所を変えたり、対応する人をお母さんからお父さんに代えたり、男の先生から女の先生に変更など関係する人を変更するのも効果があります。
部屋を暗くする
室内などで興奮してしまった場合には、部屋を暗くする事で落ち着けることもあります。野外であったり部屋を暗くするのが難しい場合には、毛布などを手渡してそれに包まってもらう方法も有ります。
発達に遅れの有る子の多くは視覚優位とされ、目から情報を多く取り入れています。部屋を暗くする事で視界からの影響も少なくなり、気持ちを落ち着かせる効果があります。
また、暗い部屋で光や音を使って様々な感覚を得てリラックスをする『スヌーズレン』と呼ばれるものもあります。『スヌーズレン』は自閉症などの発達障害や比較的重い知的障害の人などが情緒を安定させる目的もあり、実際に興奮した自閉症の子供をスヌーズレンの部屋に移動させたところすぐに落ち着けたこともあります。
見守りをして落ち着くのを待つ
極度に興奮している場合には、上記に示した対応を取るのが難しいと思います。そのような場合には子供本人の安全を確保して落ち着けるまで見守ってあげましょう。
まとめ
発達に遅れの有る子供が興奮してしまうのには、その特徴や障害などから様々な理由があります。
年齢が小さいうちは興奮してしまう事が多く見られると思いますが、成長するにつれ様々な経験から学び、自分で気持ちの折り合いをつける事が出来るようになります。
子供が興奮してしまうのには必ず理由があります。まずは子供に寄り添い、興奮してしまう原因を見つけて一緒に対応していくことが重要になります。