作業が雑で正確さに欠いてしまう
作業が雑で正確さに欠いてしまう
自閉症などの発達障害の子供は、時に作業が雑になったり正確さを欠いてしまうことがあります。これは本人の正確や器用不器用にもよるので、全ての子どもに見られる特徴ではありませんが、発達障害の特徴の一つでもあります。
作業が雑になったり正確さに欠いてしまうと、作業内容や成果物の見た目が悪いだけでなく、作業自体のミスにも繋がるので注意が必要になります。
実際に発達に遅れの有る子供が正確性を欠いたり作業が雑になってしまうのには以下の理由が考えられます。
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作業が雑になったり正確性に欠いてしまう理由
発達に遅れの有る子供が、作業の内容や結果が雑になったり正確性に欠いてしまう理由と対処方法には以下の項目があります。
最低限のルールを作る
作業全体を通して正確に行う事が難しい場合には、まずはどれか一つを守ってもらう最低限のルールを作るという方法があります。
例えば文字を書く際に雑になってしまう場合には、「線を止める部分を意識する」「マスや枠からはみ出さない」「お手本を良く見る」など、子供が比較的簡単に守ることが出来る内容をルールとして課します。
ルールも本人のが無理なく守れるレベルにしないと、ルールを守ること自体が難しくて嫌になってしまったり、本来の正確さを求めるよりもルールを守る方が優先されてしまうということにもなりかねないので注意が必要です。
逆に少し意識すれば守れる程度のルールにすることで、本人もルールを確認しながら行えた事に達成感や満足感を得ることが出来ます。
1つのルールを意識して行い自然に守れるようになったら、次は新たなルールを追加してレベルアップしていきましょう。ルールは1つでなくても良いですが、複数のことを意識して行動するのが苦手である子供のいるので、本人が混乱しない程度のルール量にするのが重要です。
課題や作業の量を少なくする
課題や作業量や数が多いと、普段なら出来るようなことでもその数に圧倒されてしまい、やる前から嫌になったり混乱してパニックや癇癪を起こしてしまうこともあります。量や数が多いと感じたら子供が無理なく行える個数に調整する事も必要です。
個数や量が多いと「早く終わりにしないと」と焦っしまい、正確性を欠いて雑になってしまう原因に繋がります。
子供が量が多いと感じている場合には複数回に分けて行ったり、1度に視界に入る量を少なくするなどの方法を取りましょう。
課題の難易度を調節する
課題が難しすぎるのも、正確性を欠いて雑になってしまう大きな理由の一つです。
難易度が高すぎると気持ちの面で嫌になってしまうほか、子供自身のレベルより高すぎてそもそもその課題自体が達成できない事もあります。
子供が課題を難しいと感じている場合には、その難易度を下げたり、大人がフォローなどをして手助けしてあげましょう。
また、簡単なものから行っていくことで、作業に対する基礎的なベースアップが見込めるほか、簡単なものでも丁寧に行うということを経験する事で、子供本人が達成感を得てやる気を促すという効果もあります。
時間を意識させない
時間を意識する余り、急いで作業を行おうとして雑になるという事も有ります。
時間を必要以上に意識してしまう場合には、作業する時間を区切ったりせず、時間がかかっても最後まで丁寧に行う方法を取りましょう。
なお、長時間行いすぎても疲れや集中力の途切れなどで、正確性がかけて雑になってしまうので、休憩を入れるほか、子供の集中力が切れているようなら途中で区切るといった方法も取りましょう。
時間を区切る
上記の項目とは全く逆の内容になりますが、次の作業や活動が気になり急いでしまう場合には、時間を区切りその時間内は次の行動には移れないことを伝えましょう。
時間を区切る際には子供が焦らずに余裕を持って行える時間を設定し、焦らず確実に行うように声をかけましょう。早く終ってしまった際には確認や見直しを行わせたり、グループで活動する際にはお友達と確認し合うなども良いでしょう。
また、作業をクラスやグループで行う際には、皆が終ったら次の作業や工程に進むという方法も良いでしょう。自分ひとりが終っても先には進めないため、見直しや確認を行う時間が出来るだけでなく、グループとして集団を意識するのにも役立ちます。
お手本を見せる
「丁寧に」「正確に」「正しく」と言われても、どのような状態が丁寧だったり正確なのかがわからない事があります。このような場合には正確な状態の実物を見せたり、写真などで見て視覚的に意識してもらうとよいでしょう。
手順が雑になる場合は大人がお手本となるやり方を見せたり、丁寧に行う事の出来るお友達ペアやグループになってやり方真似させるという方法もあります。
作業の手順書やチェック表を使う
工作や製作などの作業を行う際には、作業の流れが分かる手順書や、行う項目を確認できるチェック表を用いる事も役立ちます。
作業などでは口頭で説明を受けても理解が難しかったり、途中の工程を忘れて抜けたりする事があります。
手順書やチェック表を用いると、手順を忘れた際に見直が出来るほか、実際に作業を行いながらの確認ができるので正確で正しいものを作る手助けになります。
手順書やチェック表は文字だけでなく、実際の作業内容の写真やイラストを表示したり、ミスをしやすい部分を子供が注意して確認できるよう強調すると良いでしょう。
丁寧さや正確さを評価する
計算問題や文字の書き取り、たくさんの物を作る作業などの場合は、出来た個数や量よりも、正確にできた個数を評価するという方法もあります。
正確・丁寧に出来た個数を評価することで正しく行う事への意識が高まるほか、どの部分が雑であったかなども確認できるとおもいます。
また、早くたくさん出来たことよりも、正確に行えたことを褒めることで、時間をかけてでも丁寧に行うということへの意識と本人の自信にも繋がります。
見直しを行う
素早く終った際には見直しを行うように意識させるようにしましょう。見直しを行う際には雑になりやすいポイントなども教え、具体的にどの部分に注意して確認すればよいかを伝えましょう。
見直しを行う事を意識させれば正確な成果物が出来るだけでなく、テストなどの学習面でもちょっとしたミスや抜けなどを確認できるようになります。
見直しをする際には正確な完成品と見比べて、雑になっている部分や抜けている部分などを確認すると、具体的に違いなどがわかるので理解がしやすくなります。
不注意の特徴がある
不注意の特徴が強いと、細かい注意が出来ずミスが増える、他のことが気になりやすい、一つのことに集中するのが難しくなる事があります。
特にADHD(注意欠陥・多動性障害)の場合には、不注意の特性が強いことがあります。
まとめ
発達に遅れの有る子供はその特徴や特性などから、作業内容や成果物が雑になったり正確性に欠く事があります。
このような特徴が見られる場合には、子供がどの部分に困難を感じているか、どの部分が苦手かを確認し、子供が理解しやすい対処方法を取るようにしましょう。
大切なのは本人が正確に行おうとする意識を高めることと、見直しや確認などで雑になっている部分を後からでも気付くことが出来るようにする事です。
また、何が雑なのかが分からない場合には、具体的に正確なものを見てもらい比べる事で、本人に確認して意識してもらうようにすると良いでしょう。