発達に遅れのある子どもが指示に従えない理由と対処法

 

発達に遅れのある子どもが指示に従えない理由と対処法

自閉症などの発達障害を持つ子供の中には、親や先生から受けた指示に従うことが出来ない事があります。これは反発したり反抗しているのではなく、発達の遅れに伴う特徴から指示に従うのが難しいという理由があります。

指示に従えないと「わがまま」「反抗的」「自分勝手」などと思われてしまいますが、指示を受けた子供も指示の意味が理解できなかったり、何をして良いのか分からず困ってい事があります。

では実際に発達に遅れの有る子供の場合、どの様な理由から指示に従うことが難しいのか調べてまとめてみました。

指示に従うことが出来ない理由

発達に遅れの有る子供はその特徴や特性により、記憶の問題、指示の理解、行動のタイミングなど様々な理由から、指示に従うことが難しくなります。

指示をすぐに忘れてしまう

発達に遅れの有る子供は指示された内容を忘れてしまうため、結果として指示に従えないということがあります。

指示を忘れてしまう理由にはその子供により様々ですが、発達に遅れの有る子供は一時的な記憶領域である『ワーキングメモリ』が弱い傾向にあります。ワーキングメモリとは「作業記憶」「作動記憶」とも呼ばれるもので、動作や作業などをする際にに一時的に記憶される情報です。

会話をしている際に相手の言ったことを記憶し理解して的確な返答をするといった行動の際に、相手の言ったことを一時的に記憶するといった働きをするのがワーキングメモリです。ワーキングメモリの記憶は一連の行動や動作に伴う処理が終ると消えてしまいます。

また、複数のことを実行するのが苦手であるため、指示された内容が複数のことであると忘れてしまうことがあります。また、指示された内容を実行している際などに別のことを思いついたり、気になるものが目に入ったりしてしまうとそちらが優先となって記憶を上書きされてしまうので結果として指示された内容を忘れてしまうという事があります。

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指示の内容が理解できない

指示された内容が長かったり複雑であった場合に正しく理解できず、結果として指示に従うことが出来ないこともあります。

指示の内容が長い場合や複雑な場合には、理解が出来ない、途中で内容を忘れてしまう、指示の順序をバラバラに理解してしまうといったことで、指示への対応が難しくなります。

一度に複数の指示を受けた場合には、どちらかを忘れてしまう、内容がごちゃ混ぜになってしまう、どちらを優先していいかわからないといった理由から指示に従えなくなるといったことが考えられます。

どのように行えば良いのか分からない

指示を受けて内容を理解しても、どのように行動をして良いのかわからないという事も有ります。また、同じ内容の指示でも自宅では出来ても学校では行えないといったように、場所などの環境が違うと行動に移せない場合もあるので注意が必要です。

行動をするまでに時間がかかる

指示を受けてもボーッとしていたり、動きが止まってしまうということも見られます。

これは指示が理解できていない場合もありますが、子供本人が頭の中で内容を整理していたり、どのように行動を取ればよいか一生懸命考えている事もあります。

このような場合は、急かしてしまうと焦って指示内容を忘れてしまったり、混乱してパニックになったりするので注意が必要です。

普段の様子でも行動までに時間がかかる子供の場合、無理に急がせたりせず、本人の意思の元で動けるように周囲の人もやさしく見守ってあげる必要があります。

指示に従うことが難しい場合の対処方法

様々な理由から子供が指示に従うのが難しい場合には、指示の内容を分かりやすくする、指示内容が理解できたか確認する、視覚から理解を促す、指示内容の行動のお手本を見せるといった対応があり、具体的には以下の対処方法があります。

一回の指示は少なくする

複雑な内容を理解するのが難しい場合や、複数のことを同時に覚えたり行動するのが苦手な子供には、一回に伝える指示内容は少なくしましょう。基本的には1度の指示は1つにし、それが終ったら次の指示を与えるようにします。

指示を一つ一つこなすことで確認を行う機会も多くなりますし、もしミスや失敗をしてしまっても、1つの指示を再確認してやり直すだけで済むといったメリットもあります。

1度に1つの指示にする事で子供も混乱する事が少なく、指示内容の理解と行動がスムーズに行いやすくなります。また、指示をこなしていく経験を増やすことにも繋がり、本人に自信と達成感をつける事にもなります。

簡単な内容で曖昧な表現を使わない指示にする

指示の内容は簡単なものにする事も重要です。簡単な指示には単純な言葉を用いるだけでなく、表現方法や曖昧な言い方をせず具体的な内容で示す事も必要になります。

発達に遅れの有る子供は抽象的や曖昧な表現の理解が難しく、指示の意図とは違う解釈をしてしまう事もあります。

極端な例ではありますが、「部屋が汚いから早くきれいにして」という指示だと、どの部屋を何時までにどのように綺麗にすればよいのかわかりません。「自分の部屋のおもちゃを10分以内におもちゃ箱に入れて」というような内容だと、具体的に示されているので理解もしやすいでしょう。

指示がわかったか再確認をする

指示をした際には、子供が内容が理解できたかを再確認する事も重要です。再確認の方法には復唱をしてもらったり、具体的に何を行うかを説明してもらうという方法があります。

なお、指示された言葉自体をわかっていても、実際に何を行うかという段階になると理解ができていなかったり、どのように実行すればよいのかがわからないという事もあるので注意が必要です。

文字や画像などで伝える

発達に遅れの有る子供は言葉での指示の理解が難しく、指示を覚えても行動に移しているうちに忘れてしまうという事があります。

言葉は目に見えるものではないので、指示を聞いた時に理解が出来ないと、何を言われたのかわからず再度確認する事ができません。また、複数のことを同時に行うのが難しいという特徴を持つこともあり、指示された内容の行動を行っているうちに指示自体を忘れてしまう場合もあります。

言葉での指示だけでは困難な場合には、指示を書いたメモを手渡したり、目に付く場所に掲示しておくことで、指示内容を忘れてしまっても再度確認する事ができます。指示の内容も文字だけでは理解が難しい際にはイラストや写真などを使って、具体的な内容がわかるようにするのも効果があります。

お手本を見せる

指示の内容を聞いてもどのように行動を取って良いのかがわからなかったり、具体的に何を行えばよいのかわからないという事もあります。このような場合には、お手本を見せることで実際に行うべき行動や順序を確認してもらうという方法を取ると良いでしょう。

指示を出した大人が実際に行動してお手本を見せたり、模範的な行動が取れるお友達の行う様子を見て貰うという方法があります。また、お友達とグループを作ったり、お手本をとなるお友達とペアで行うのも良いでしょう。

お手本だけでなく、子供本人が困っている場合には、その都度フォローをして行動を導くことも必要です。

内容や手順も教える

指示だけでなく、実際に行う内容を具体的に教えたり、実行する手順などを教えることも必要です。

内容や手順を教える際には口頭だけでなく、実際にお手本を見せて理解をしてもらったり、チェックリストや手順書などを作り視覚からも確認してもらいましょう。

また、指示された内容を行うタイミングがわからないという場合には、その都度必要な声かけをしてあげましょう。

指示系統を統一する

A先生からは「○○をやりなさい」と指示を受けたのに、B先生からは「△△をやって」というように、複数の人から別々の指示を受けてしまうと混乱してしまいます。

別々に指示を受けることで、2つの指示内容がごちゃ混ぜになってしまったり、どちらを優先したらよいのか分からないばかりか、一つの指示内容を行っている最中にもう一方の指示を忘れてしまうということもあります。

指示を行う際には指示系統を統一し、一人の人から指示を出すようにするもの必要な事項になります。

行動に移すタイミングを教える

指示を受けてもどのタイミングで動き出せばよいのか分からず、困ってしまったりボーッとしてしまう場合があります。このような場合には指示を出した後に、動き出すタイミングを教えてあげましょう。

受けた指示を頭の中で整理している場合や、自分で行動の手順などを考えている場合には、無理に行動を促さず見守ってあげましょう。

まとめ

発達に遅れの有る子供はその特徴や特性などから、指示を理解したり実行したりするのが難しい場合があります。

指示に従うことが出来ないときには、どの部分が原因でつまづいているのかを子供の気持ちになって確認し、子供本人が理解しやすい対処方法を取ってあげましょう。

指示への行動が難しい場合には、周囲の人が寄り添い適切にフォローをし、子供本人の理解につなげていくことが重要になります。

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