自閉症と動きが止まる・遅くなる症状のカタトニア(緊張病)

   2016/01/17

自閉症とカタトニア(緊張病)

カタトニアとは

カタトニア(緊張病:Catatonia)とは、「動きが止まってしまう」「長時間動けなくなってしまう」「動作が遅くなってしまう」「自発的な動きが出来なくなる」など動きが低下する症状や、逆に「突然急激に動き出す」「指先などをくねらせる」などの動きも見られます。

カタトニアは、統合失調症の一種の緊張型として、ICD-10(国際疾病分類第10版)や、DSM-IV(アメリカ精神医学会精神障害の診断と統計マニュアル)に分類されている症状です。

本来は統合失調症の一種として分類されている症状ですが、2000年にイギリスの精神科医であるローナ・ウィング(Lorna Wing)が自閉症との関連を報告してから、自閉症や発達障害の面からも注目されるようになりました。

自閉症者や発達障害者のカタトニアは、10代中頃の少年期から20代前半の青年期にも見られることが有ります。

カタトニアの症状

カタトニアの症状には以下の分類があり、そのうち3つ以上が当てはまるとカタトニアと定義されます。

  • カタレプシー
  • 蝋屈症
  • 昏迷
  • 焦燥
  • 無言症
  • 拒絶症
  • 不自然な姿勢
  • 衒奇症
  • 常同症
  • しかめ面
  • 反響言語
  • 反響動作

カタレプシー

カタレプシーとは誰かに受動的に取らされた姿勢のまま、抵抗したり姿勢を変えたりせずその状態を保持したままとなる症状です。

蝋屈症

蝋屈症とは一定の姿勢にされた際、自分の意思で動かせず蝋人形のように固まったままとなる症状です。カタレプシーと同意とされる場合も有ります。
また、蝋で固まってしまったかの様に他人が体を動かそうとしても、動かない状態を蝋屈症と表す場合もあるようです。

昏迷

昏迷とは身動きせず、周りが話しかけても反応が無い状態です。
通常の昏迷の場合意識は有るため、昏迷をしている最中でも周りがどのような状況かは理解しています。
なお、意識が無くなってしまう状態を状態を昏蒙・昏濛(こんもう)と言います。

焦燥

焦燥とは理由もなく苛立ったり焦ったりすることです。

無言症

無言症とは言語障害が無いにもかかわらず、発語などの言語反応が無かったり、ごく僅かしか発声が見られない状態です。

拒絶症

拒絶症とは外部からの支持や促しや刺激に対して理由も無く拒絶などの反対をしたり、または逆の行動を取ったりする症状です。

不自然な姿勢

不自然な姿勢とは重力に反して手や足を上げ続けたり体が辛いであろう姿勢を自発的または受動的に保持し続ける状態です。

衒奇症

衒奇症とは不自然だったりわざとらしい表情や動作などを取る状態です。
オーバーアクションや芝居がかった話し方や身振り手振りをする事も有ります。

常同症

常同症とは特定の行動や発生を何度も長時間にわたって繰り返して行う症状です。同じ動作を繰り返す「常同運動」、同じ姿勢をとり続ける「常同姿勢」、同じ言葉を繰り返す「音誦症」、同じ場所から離れようとしない症状などが見られます。

しかめ面

しかめ面とは特に理由も無くしかめ面を取ってしまう症状です。

反響言語

反響言語とは他人が話した言葉を繰り返して発声することです。「エコラリア」「鸚鵡返し」と表現されることも有ります。

反響動作

反響動作とは他人の動作や動きや表情や仕草を真似る症状です。

自閉症や発達障害の子供に見られるカタトニア

自閉症者にカタトニアの症状が出るのは、10代中盤の中学生ぐらいから20代前半ごろと言われており、
期間も数ヶ月程度のものから数年間にわたる物まで幅広くなっています。中にはカタトニアにが発祥してから現在も直っていないという場合もあるようです。

筆者が実際に目にしたこととのあるカタトニアと思われる症状には、動作の停止、動作の遅れ、行動のやり直しなどが有ります。例を以下に記載してみます。

飲食時の動作

食事や飲み物を飲む際に自分から動き出せずに止まってしまったり、摂取する動作が非常に遅く定められた時間内に食べることが出来ない。

本人のお腹の調子が悪かったり食べたくないのかと思い、飲食の時間後に片付けようとしましたが、本人は食べたかったようで「食べる」と訴えて来たことがありゆっくりながらも最後まで食べた事が有ります。
場合によっては自分ではお皿から口まで食べ物を運べなくなってしまい、周りの大人が介助をして食べさせた事もありました。

飲食の遅れがあると時間内に食べ切れず、体重が減って痩せたり栄養不足となってしまう事があるので注意が必要です。

移動時

室内の移動や野外への移動、車に乗り込む際などに動けなくなったり、移動がとても遅い。

動けなくなってしまったときにカウントダウンや様々な声かけで促したりもしましたが動くのが難しく、移動するのにとても時間がかかってしまいました。
自宅でもこのような症状は見られるようで、外出時には1時間ぐらい前から移動を促したりもしているようですが、学校のスクールバスなどに間に合わない事もあるようです。

また、移動の際に部屋の敷居や段差などがあると、そこをまたごうとする行為で止まったり、何度もまたぐ動作をやり直したりする行動が見られる事も有ります。

トイレでの停止

トイレで排尿の際に便器まで行きズボンとパンツを下ろしますが、そこで止まってしまい排尿をする事もトイレを止めてパンツやズボンをあげる事もできなくなってしまう。

この際は何度か声をかけたりお腹をさすって排尿を促すなどを行いましたが、便器の前で10分以上立ち尽くしている様子が見られかなり時間が立った後に排尿を行いました。

動作の支持待ち

本人は既に何度も行って理解している作業や動作にもかかわらず途中で止まってしまい、周りからの支持や促し、場合によっては体を押して前に進ませたりさせないと次の動作が行えなくなってしまう事もよく見られます。

この状態の場合支持を入れても抵抗して嫌がったり反抗する場合もあるので注意が必要となります。

その他

非常に興味深かったものにはラジオ体操やダンスなどをみんなで行っている際に、音楽がかかっている間は動作が遅かったり動けなかったりしていましたが、音楽が終わりそうになったり終わったと同時にみんなに追いつこうと凄いスピードで体操やダンスを行いだしたというものが有ります。

なお、自閉症や発達障害の子供の動作が遅くなる事についてはこちらのページにも記載して有ります。

関連ページ
思春期に動作や行動が遅くなる- 自閉症と発達障害の特徴・特性 | 発達障害-自閉症.net

カタトニアの治療方法

治療方法には薬による治療方法と電気けいれん両方が知られています。
カタトニアの原因や症状により治療方法や投与する薬品が変わってくるため、専門の医療機関での診断が必要となります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket