脱力したり、寝転んで動かなくなる
脱力したり、寝転んで動かなくなる
発達に遅れの有る子供は時折、脱力してしまったり、寝転んで固まり動かなくなる事があります。
原因には体調不良や病気ということも多いですが、気持ちの落ち込み、ストレスや不安、コミュニケーションなど、子供の特徴や特性などから様々なものが原因となっている事があります。
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脱力をしたり寝転んでしまう理由
自閉症などの発達障害の子供は、その特徴や特性などから、脱力をしたり寝転んで固まり動かなくなってしまう事があります。原因は本人の状況や気持ちなどにより様々ですが、良く見られる主な理由についてまとめてみます。
体調不良や癲癇発作
子供が脱力してしまったり、動けなくなってしまう場合の大きな原因としては体調不良があります。子供の様子がおかしいと思った場合には、体温や血圧を測定する、顔色を見る、問いかけへの反応など体調の変化を確認しましょう。
自閉症などの子供の場合、癲癇発作の症状が見られることがあります。癲癇発作には痙攣や体の硬直など目に見える大きな発作から、体の一部の硬直や脱力、目が上向くなど非常に分かりにくい発作の場合があります。
癲癇発作を持っている子供が脱力したり動けなくなってしまった場合には、癲癇発作であるかの確認も必要になります。
不安やストレス
大きな不安やストレスを感じると、気持ちの面などから脱力してしまったり、しゃがみこんで動けなくなってしまうと言うことがあります。
不安やストレスの原因はその子供や状態により様々で、直前の行動が原因であったり、何日も前の出来事に対して不安やストレスを感じているということもあります。
不安やストレスが溜まった状態だと、パニックの原因になるほか、自傷行為や他害行為、物品の破壊など、問題行動へと繋がる事もあります。
子供がストレスを感じている場合、その原因がわかれば排除し、原因がわからない場合には場所や雰囲気などを変えたり、好きな事をさせるなどしてストレスを軽減させてあげましょう。
エネルギー切れ
元気に動き回っていた子供でも、急なタイミングで動かなくなったり、座り込んだり寝そべってしまうということもあります。
そのような場合、体力やエネルギーが切れ疲れてしまい動けなくなっている場合があります。
子供は遊んでいるときや好きな事を行っている時は、疲れなど感じず夢中で動き回っていますが、遊び終わった際やふとしたタイミングで疲れや疲労に気が付いてしまうことがあります。
また発達障害の特徴として感覚が鈍くなる感覚鈍磨という特徴や、過集中という特徴を持つ場合があります。感覚鈍磨だと様々な感覚が鈍くなるため、疲れを感じにくくなり疲労が非常に溜まった時点で初めて疲れたと理解する事などがあります。
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過集中は特定のことにのめり込んだり集中しすぎてしまうといった状態で、興味の有る事や好きな事に数時間から場合によっては丸一日など取り組んでしまい、気が付くと疲れが溜まってしまうという場合があります。
このエネルギー切れの状態は普段元気が良かったり多動の傾向がある子供に見られることが多く、走り回っていたのが急に止まって動かなくなったり、プールで楽しそうに遊んでいたのにプールから出て着替えたらグッタリしてしまったというのを見たことがあります。
エネルギー切れになって動けなくなってしまった場合には、子供の様子を見ながら休憩させるほか、場合によっては水分や食事などを取るようにしましょう。
周囲のを引こうとして
言葉での会話や適切なコミュニケーションを取るのが難しいのも、発達障害の特徴の一つでもあります。そのため、言葉やサインなどで周囲の人に気持ちなどを伝えることが出来ない場合、様々な行動で周囲の人の気を引こうとする場合があります。
比較的多い動作としては、他人を叩く、服や腕や髪の毛を引っ張る、壁や窓ガラスなどを叩く、物を投げるなどで、人の注意を引きやすい「危険なこと」「やってはいけないこと」などの行動を取ることが見られます。
動かなくなったり、倒れこむといった行動も周囲の人からすれば、「病気なのでは?」「体調が悪いのでは?」と注意を引く行動になるので、コミュニケーション方法の一環として使用していることもあります。
周囲の気を引こうとして倒れこんだり動かなくなっている場合には、気にしたり声をかけたりするとコミュニケーションが成功したと思い、余計に動かなくなったりする事があります。このような場合には少し距離を取って子ども本人から別のコンタクトを取ってくるのを待ったり、別のコミュニケーション方法を教えてあげると良いです。
周囲を意識してしまう
上記の周囲の気を引こうとする行動と逆になりますが、人が多いところが好きでは無い子供や、人の視線が苦手な子供は、人がたくさん居る場所や他人の視線が集まるとストレスや緊張などから動けなくなってしまう事があります。
また、失敗ごとをした、怒られた、注意を受けた後なども、周囲の人に自分の恥ずかしい様子を見られたくないと固まったり動けなくなってしまう事もあります。
予期せぬ出来事に遭遇したため
発達に遅れの有る子供は、突発的に発生した出来事や、予期していない事に対応するのが難しい場合があります。そのため、予期せぬ出来事が発生すると混乱してしまったり、どの様な対処をすれば良いのかが分からずに固まってしまうことがあります。
子供が固まってしまう予期せぬ出来事には、苦手な人や物を急に見かけた場合、ここに居るはずが無い人が居た場合、音などが苦手な子は急に大きな音がした場合などです。
学校の先生が放課後等デイサービスの施設見学に来た際には、「学校に居るはずの先生がなぜここに?」と感じたようで固まってしまう子が何人か見られた経験がありす。
対応方法が分からない
物事に関して適切な対応方法が分からないと、どのように行動してよいのか分からずに、頭の中が混乱してしまったり、思考がストップしてしまうといった事もあります。
通常の人でしたが対応方法が分からない場合には「分かりません」「出来ません」などと答えたり、今まで経験した出来事から対応する事が可能ですが、発達に遅れのある人の場合にはそれらの行動を取ることがとても難しい事になります。
また、対応方法が分からないと、混乱からパニックに繋がる事も有るので注意が必要です。
対応方法が分からずに固まってしまった場合には、周囲の人が適切な対処方法を教えたり、お手本となるような行動を見せて、経験として対応方法への理解へ繋げてあげましょう。
意思表示として
言葉などでのコミュニケーションが難しい子供の場合、意思表示として脱力したりしゃがみこんだりしてしまう事もあり、特にやりたくないことや移動を促された場合、それを拒否する目的で行う事が見られます。
これは発達に遅れの有る子供だけでなく、健常児でも年齢の小さいうちは見られることがあります。
良くある事例としては、スーパーでお菓子を買ってもらいたい子供が床に寝転んでしまう『駄々をこねる』といった行動です。
意思表示でこのような行動が見られる場合、最初は座り込んだり寝転んだりする事が多いですが、それを大人が力ずくで持ち上げて移動していると、子供の学習し持ち上げられないように体を突っ張ったり、逆に脱力して体を持てない様にと対応してしまう事があります。
嫌な事や苦手な事を感じた
苦手な事や嫌いなことから逃げようとして、動かなくなったり脱力してしまうということも有ります。学校に行くのが嫌な子が朝自宅で固まってしまったり、苦手な授業の前にぐでぐでと脱力してしまう事などが見られます。
また、注意を受けたり自分の考えなどを否定されてしまうと、気持ちが落ち込んでしまい脱力などに繋がる事もあります。
まとめ
発達に遅れの有る子供が脱力してしまったり、固まって動けなくなってしまうのには様々な理由が有るとともに、子供からの何らかのメッセージでもあります。
まずは体調不良から来るものなのか、コミュニケーションや気持ちの面が原因なのかを確認しましょう。体調不良であればその対処を適切に行う事が重要です。
コミュニケーションや気持ちの部分の問題であれば、本人の立場や気持ちを汲み取り、ストレスや不安の原因を取り除いてあげたり、固まりや脱力とは違う対処方法を教えてあげることが必要になります。