自由時間や休み時間などで暇を持て余す

 

自由時間や休み時間などで暇を持て余す

自閉症や発達障害の人は、自分から物事を考えて行動をすることが難しい特徴を持つ事があり、時間を持て余してしまったり、空いた時間に何をして良いのかわからず、ぼーっとしてしまう事があります。

待ち時間などでも自分から時間をつぶすことが出来ず、手持ち無沙汰から手悪さをしたり、ふらふらと立ち歩いたり、常同行動を取って周囲から目立ってしまうことも。また、時間を持て余すあまり、イライラして不機嫌になったり、場合によってはパニックなどに繋がる恐れもあります。

大人になって社会に出てからも、平日は働いたり施設に通って時間を過ごすものの、休日には何もやることが無く、一日中家でテレビやアニメを眺めたりゲームをしているだけという事も多いようです。

自分からやりたい事が見つからないと、せっかくの休日も何もせずに終ってしまい、リフレッシュや気分転換もできなくなってしまいます。

これらのように、暇を持て余してしまう子どもにはどの様な対処法があるのか調べてみました。

暇を持て余す場合の対処方法

発達に遅れのある子どもはその特徴や特性から、様々な理由で時間を持て余してしまうことがあります。人によりパターンや条件が違うと思いますが、主な対応方法についてまとめてみます。

時間を明確にする

自閉症などの発達障害の人は目に見えない時間の概念の認識が難しく、時間の感覚や流れへの理解が乏しいということがあります。そのため、休み時間が10分あるとわかっていても10分とはどれ位なのか、10分間で何が出来るのかがわからないということがあります。

また時間の開始と終わりが明確でないと、何処から何処までの時間が自由に過ごしてよい時間かわからず、気が付いたら自由時間が終わってしまったということもあります。

時間の間隔や配分などが難しい子どもの場合には、自由時間の開始と終了を明確にすることで時間への理解に繋がります。

自由時間は開始の時間と終了の時間をタイマーや時計の針を具体的に示すことで理解できるようにしましょう。終了時間前には「あと何分で終わりだよ」と何度か声をかけたり、残り時間がわかりやすいようなタイマーを使用することで終わりの時間が意識しやすくなり、行動の切り替えもスムーズになります。

自由時間の前後だけでなく、1日の流れやスケジュールを説明する際にも、何時から何時までの何分間が自由時間かわかるようにしておくと、見通しを付けやすくスムーズに行動できるようになります。

やりたい事を事前に把握しておく

本人がやりたいことや好きな事を事前に把握しておくのも方法の一つです。

やりたい事を把握しておくことで、本人が時間を持て余している場合には、好きな事を提示してあげることが出来ます。

あらかじめ好きな事リストを作っておき、本人が暇そうにしていたらリストを見せて、自分でやりたいことを選んでもらうという方法も取ることができます。この方法を用いることで、自宅でも休日などの空いている時間を過ごす方法としても使うことが出来ます。

興味があるものを目に付く場所におく

子どもが好きな玩具や絵本など本人が興味を示すものを目に付く場所に置きましょう。
目に付く場所にある事で暇を持て余した際に、本人から気が付いて手にとって楽しむことが出来ます。

数種類の物を置いておくことで自分で選択して行動をするという、自主性を育むトレーニングにも繋がります。

課題を与える

やりたい事や好きな事の把握が難しい場合には、周囲の大人が本人の取り組める課題を与える方法もあります。時間を持て余してしまうと不安などからイライラするような子供でも、出来る範囲の課題を与えると集中して取り組める事が出来る事も多いです。

課題だけでなく本人の好きそうな活動を提示したり、お手伝いを頼んだりするのでも効果があります。

自分でやりたい事を選択できる場合には、いくつかの課題や活動内容を提示し、本人に選んでもらうのが良いでしょう。

暇だということを他人に伝える

時間を持て余している際には自分から親や先生などに「暇である」「やることが無い」という事を伝えられるようにするのも重要です。

発達に遅れのある子どもは自分の意見や気持ちを人に伝えるのが苦手であったり、伝え方自体が分からないという子供も多いです。そのため、暇で時間を持て余している際には、その事を他人に伝える事を教える方法を教えましょう。

「やることが無い」「何をして良いのか分からない」という事を他人に伝えて指示を受けることは、社会人として働きに出た際にも必要な報告と相談になるので、子供の頃からこれらの報告が出来ると社会に出てからも役に立つことでしょう。

お友達に声をかけてもらう

仲の良いお友達が居る場合には、そのお友達に声をかけてもらったり、一緒に遊べるよう促す方法もあります。

一人では何をして良いのかわからない場合でも、お友達から声をかけてもらうことで、お友達の輪の中に入り一緒に遊んだり活動できることもあります。

お友達と関わるのが苦手な子供の場合には、先生や周囲の大人が間に入り仲介してあげましょう。

興味の幅を広げる

余暇に自分から行動が出来ない子供だと、やりたい事が無かったり、物事への興味が乏しいということがあります。そのため、好きな活動を見つけるために様々な経験をさせたり、現状の好きな事を発展させて別の物事へと繋げることが必要になります。

休日などは家に居てもやることが限られてしまうので、外出を増やしたり、兄弟が居る場合には一緒に様々な経験や体験をさせると良いでしょう。また、様々な療育施設やサービスを利用したり、障害児向けの運動教室や創作活動やレクリエーションに参加するのも方法の一つです。

障害児向けの教室には水泳教室、トランポリン教室、運動教室、音楽教室、絵画教室、読み聞かせ、アニマルセラピーなどを利用している子供が多いようです。

既存の物事を発展させる方法としては、電車が好きな子供なら電車から駅名や路線などへ、アニメのキャラクターが好きならお絵かきや塗り絵などへと関連した事柄へ展開させるといった方法もあります。

時間をつぶせる物を持つ

お店や病院などの待ち時間や、車や電車に長時間乗る際など、待つ時間が事前にわかっている場合には、時間をつぶせる本や携帯ゲーム機などを持っておくのも方法の一つです。

発達障害でなくても子供はその場で静かに待つということはとても苦手です。特に病院や公共施設や乗り物では静かに待たなくてはならず、子供にとっては苦痛でストレスが溜まる場面でもあります。

そのような場合には無理に大人しく待たせるのではなく、本人が落ちついて時間を潰せる本やゲームやタブレットなどを持たせましょう。

突発的な待ち時間などが発生した場合には、しりとりゲームやなぞなぞ等の言葉遊びなどで楽しみながら時間を潰すと良いでしょう。

まとめ

発達に遅れのある子どもはその特性などから、暇を持て余した際に何をやれば良いのか分からないということがあります。自分で決めることが難しい場合には選択できる方法を取ったり、周囲の人が声をかけてあげましょう。

好きな事や興味の幅を広げるのも重要な事の一つです。新しい物事に取り組むのにも抵抗を示したり時間がかかったりする事がありますが、新しい物事に触れさせてみたり、色々な場所へ外出する機会を作ってあげましょう。

また、発達障害の人は様々な外部の刺激などから、疲れやすいという特徴もあります。時間を持て余している場合には活動を行わせるだけでなく、休息やリフレッシュなどを提案してあげることも重要です。

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