自閉症のコミュニケーションや意思表示方法

 

自閉症のコミュニケーションや意思表示方法

自閉症の子供は相手とコミュニケーションを取ったり、意思や思いを伝えるのが非常に困難です。

自閉症の大きな特徴の一つに、「コミュニケーションや意思伝達の障害」と言うものが有ります。これは自閉症の人が言葉を話すことが出来なかったり、話せてもオウム返しや単語での会話しか出来ない場合が多く見られるためです。

お母さんやお父さんなど家族は子供が言葉を話さなくても、表情や態度で意思や要望を汲み取ることが出来てしまいます。しかし、家族が居ない場合や社会に出た際などに意思の疎通が出来ないと非常に辛い思いをしてしまいます。

また、自閉症の子供に多いパニックも、自分の意思を相手に伝えられないことから発生してしまう事も多く見られます。

このページでは自閉症の人が行うコミュニケーション方法、意思の表示と伝達に使える便利な道具などをまとめています。

自閉症のコミュニケーション方法の種類

自閉症の人がよく利用しているコミュニケーション方法や便利な道具・ツール類を調べてまとめてみました。


言葉

人間が行うコミュニケーション方法で最も一般的なのが言葉による会話です。
会話により自分の意思や要望を伝えるほか、相手との話題を共有する目的が有ります。

自閉症の子供の場合は「声が出ない」「言葉や単語が話せない」「単語しか話せない」「文章が話せない」「相手との会話のキャッチボールが難しい」など人により様々です。

本人に声が出る場合や声を出そうとしている様子が見られる場合、その子供に有った発声練習を行うことで声や言葉を獲得できることが有ります。また言語や音声を専門に扱う言語聴覚士(ST)のリハビリを受けるのも効果が有ります。

文字

言葉が無い場合でも文字を理解していたり、文字を書くことが出来る自閉症者も多く見られます。
その場合には紙とペンを使った筆談や、専用の筆談ボードやアプリケーションを使用することで文字によりスムーズなコミュニケーションをとる事ができます。

筆談に関しては聴覚障害の分野から調べると、多くの情報や便利な道具を見つけることが出来ます。

表情

言葉などが無い子供の場合でも、表情などから意思や様子や気持ちなどを読み取る方法も有ります。
基本的に、人間の「喜び」「怒り」「驚き」「感動」「恐怖」などの表情はどのような人でも共通しています。

自閉症者との表情によるコミュニケーションではこちらが表情を見て一方的に受け取るだけですが、表情から受け取った様子や要望にこたえてあげることで、表情により相手とコミュニケーションが取れるということを理解するのも意思疎通の第一歩です。

なお、顔色、顔の表情、視線などから様子を伺うことは「非言語コミュニケーション」と呼ばれるコミュニケーション方法に分類されます。。

クレーン現象

自閉症の代表的な特徴の一つに「クレーン現象」「クレーン行動」と言うものが有ります。
これは欲しい物ややりたい行動などの要求があるときに、相手の手を持ってクレーンを操作するかの様に動かし相手に行ってもらおうとする動きです。

クレーン現象で要求が現れた場合には言葉で「○○が欲しいの?」「○○がやりたいの?」など言葉をかけてあげることでコミュニケーションの練習にもなります。

成長し目的の物や行動の名称が理解できるようになるとクレーン行動はなくなり、言葉やクレーン現象以外の方法で要求できるようになります。

身振り手振り

手や体を使った身振り手振りで相手に意思を伝える方法も有り、身振り手振りも「非言語コミュニケーション」の一つになります。

一般的な方法には、手を横に振った「嫌・嫌い・やりたくない」などの否定の表示方法、手でマルやバツを作っての意思の表示などです。

ジェスチャーなどが出来るようになると、この後に記載している手話やマカトンサインの理解も容易になります。
指差しが出来る場合には、実際の物や場所などを指し示してもらう方法も有ります。

手話

手話は主に聴覚障害者が行う手や腕の動きで会話を表現する方法で、言葉が無くても手話を使うことで相手との意思表示や情報のやり取りを行うことが出来ます。
手話は非常に多くの単語や文字がありますが、基本的な意思表示方法や日常的な動詞や名詞を覚えて使えるようになるだけでも役に立つでしょう。

マカトンサイン

マカトンサイン(マカトン法)とは、聴覚障害者と知的障害を持つ人を対象に作られた動作によるコミュニケーション方法です。現在では知的障害者や自閉症者にも多く利用されています。

手話のように手の動作でコミュニケーションを取りますが手の動きが手話ほど複雑ではなく、ジェスチャーのように実際の動作に似た動きで表すため、子供や知能の低い人でも視覚的に理解しやすくなっています。

なお、マカトンサインは指導者や使用する人により動作や表現方法が若干違うことが有るので注意が必要です。

関連ページ
マカトン法とマカトンサインとは | 発達障害-自閉症.net

文字ボード

文字を理解し指差しが出来る場合には、ひらがなの50音が書かれた文字ボードを利用する方法が有ります。文字ボードに書かれた文字を指差して単語や文章を作ることで、相手とのコミュニケーションをとる事が出来ます。

文字ボードには文字を印刷しただけのものではなく、押すと実際に音声を発したり、録音再生が出来て押した文字を文章として再生してくれる機能を持ったものも有ります。

文字ボードは「文字盤」「ひらがなボード」「文字カード」など色々な呼び名が有り、文字以外にも「はい」「いいえ」、「いやだ」「といれ」「ごはん」「ねむい」など、日常的に使う意思疎通方法や名詞や動詞なども表示しておくと便利です。

表情カード・気持ちカード

様々な表情を書かれたカードやボードを使用し、現在の気持ちを相手に伝える方法も有ります。
自閉症の子供は他人の表情を読み取れない事も多く、表情カードで意思の疎通をすることで相手の表情から気持ちを読み取る練習にも役立ちます。

挨拶カード

表情カードのように、様々な状況に応じた挨拶が印刷されたカードを使用することで、相手への挨拶を中心としたコミュニケーションを図ることが出来ます。

名詞カード・動詞カード

様々な名称が書かれたカードや、動詞が書かれたカードを使用することで相手に具体的な意思を伝えることが出来るようになります。

名詞カードには好きな食べ物、ゲームやテレビなどやりたいこと、行きたい場所、トイレ、学校、お風呂、家など日常的に使用する名前を用意します。動詞カードには「やりたい」「やりたくない」「食べたい」「行きたい」「遊びたい」「やすみたい」など生活のなかで必要な動作を用意します。

カードには文字だけでなく絵や実際の写真なども表示させるとより分かりやすくなり、種類や状況ごとに色分けなどをすると効果が有ります。

携帯電話やスマートフォン

現在は携帯電話やスマートフォンの普及で、子供にも持たせている人も多く居ると思います。
携帯電話ではメールにより情報のやり取りを行ったり、スマートフォンではLINEなどのインスタントメッセージアプリや、合成音声作成アプリ、コミュニケーション支援アプリなど様々なものが利用できます。

GPS機能がついている機種もあるため、迷子になった際の位置の確認をする事もできます。

タブレット

Ipadを代表としたタブレットには多くのコミュニケーション支援アプリが有ります。
画面もスマートフォンに比べて大きく、インターフェースも視覚的にも分かりやすいので自閉症や発達障害の子供には使いやすいと思います。

パソコン

自閉症の人で文字を書いたり会話をするのが難しい人でも、パソコンを使うことで意思を示したり文章で物事を表現できる人も居ます。

代表的な人には「自閉症の僕が跳びはねる理由」の作者である東田直樹さんがいます。彼は会話は出来ませんがパソコンや文字盤では意思表示が出来、パソコンを利用して数々の本を出版したりブログを書いたりしています。

専用グッズ

その他専用のグッズとして、様々な発達障害者や自閉症者用のツール、老人福祉用のツール、聴覚障害者用のツールなどが有ります。

例としては会話の補助具、簡易の筆談器具、単語や文章などを録音再生できる器具など様々なものが市販されています。

まとめ

自閉症の人はコミュニケーションが苦手です。
しかし、様々な方法や道具を使うことでコミュニケーションを取れる事も有ります。

相手との意思疎通を行えるようになる事で、不安やストレスなどのイライラを解消させ、希望や要望を伝えることが出来るようになります。

コミュニケーション能力も最初は低いですが、本人に合った訓練を取り入れたり、日常生活の中でコミュニケーションの練習を行うことで、少しずつですがコミュニケーションの上手な取り方や適切な意思の疎通方法を学んで聞く事が出来ます。

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