発達障害とは? 定義・種類・特徴などをまとめています。

   2018/03/18

発達障害とは? 定義・種類・特徴などをまとめています。

発達障害とは生まれつきの脳機能の影響により、様々な面において不得意なことや苦手な面が見られる障害です。

自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害、学習障害などが発達障害に含まれ、近年では大人の発達障害など耳にする事も多くなりました。

では実際に発達障害とはどの様なものなのでしょうか。その定義や種類、発達障害の特徴、受けることの出来る福祉サービスなどをしらべてまとめてみました。

発達障害の定義

発達障害は日本においては発達障害者支援法により以下のように定められています。

『この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。』

発達障害者についても『この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。』と定められています。

厚生労働省は疾病として『ICD-10(国際疾病分類第10版)』の「心理的発達の障害」「小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害に含まれるもの」および、『DSM-IV(アメリカ精神医学会 精神障害の診断と統計マニュアル)による「通常、幼児期、小児期または青年期に初めて診断される障害」を発達障害として定義しています。

厚生労働省の定義に含まれる発達障害には「自閉症」「アスペルガー症候群」「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」「会話は言語の障害」「読字・書字障害」「算数能力の特異的障害」「運動機能の特異的発達障害」「多動性障害」「行為障害(反抗的・挑戦的な行為)」「情緒の障害」「社会的機能の障害」「チック障害」「吃音症」「摂食障害」「排泄障害」などがあります。

厚生労働省:発達障害の定義について

発達障害の原因

発達障害の原因は生まれつきの脳機能の障害であるとされています。脳機能の障害の原因は現在も不明ですが、いくつかの遺伝子が影響していると考えられており、現在も研究が進められております

過去には発達障害の原因は母親の愛情不足や、教育の問題だと言われることもありましたが、母親の接し方で発達障害になるという事はありません。

なお、未熟児での出産や出生直後の病気などで脳機能に障害が残り、発達障害と同様な特徴が見られる場合には、広義の発達障害として扱われる事もあります。

発達障害の子供の人数

発達障害の子供の人数知るために参考となる資料として、文部科学省が公表している『特別支援教育資料』と『通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について』というものがあります。

特別支援教育資料

平成28年度の『特別支援教育資料』において、自閉症や情緒障害で特別支援学校に在籍している子供は、小学校で72,032人、中学校で27,939人の合計99,971人となっています。

同じく通級によって指導を受けている小学生は言語障害で36,413人、自閉症で13,551人、情緒障害で9,783人、学習障害で11,636人、注意欠陥・多動性障害で14,625人となっており、中学生では言語障害が380人、自閉症が2,325人、情緒障害が2,041人、学習障害が2,907人、注意欠陥・多動性障害が2,261人となっています。

文部科学省:特別支援教育について

教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果

『通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について』の資料では、知的発達に遅れはないが学習面又は行動面で著しい困難を示す子供は全体の6.5%の割合と回答しています。

6.5%という数字は15人に一人と見ることもでき、一クラス35人から40人(この人数は学年等により違います)の中に2人は発達に遅れのある子どもが居ることになります。

日本全体の発達障害を持つ子供の総数としては、平成28年度の全国の小学生の人数が6,483,515人、中学生の人数が3,406,029人であるため、発達に何らかの障害があるとおもられる子供は、約642,820人にも上ると考えられます。

なお、この資料は全国約5万4千人の小中学生を対象にして調査で、障害も現場の教職員が何らかの障害ではと感じた子供を回答したものであるため、、正式な医師の判定や診断を受けた子供ではないので注意する必要があります。

文部科学省:通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について

また、発達障害は複数の障害が重複していたり、知的の遅れが大きいと知的障害として分類されていることもあるので、上記の人数は参考程度となります。

主な発達障害

発達障害に含まれる主な障害には自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害などがあります。

なお、発達障害は個人やその特徴などにより様々な部分の得意・不得意が見られ、症状的に複数の障害の特徴が見られることがあります。発達障害は診断名よりも子供の特徴や特性を重視したほうが良い場合もあります。

自閉症

自閉症とは『コミュニケーションの困難』『社会性獲得の困難』『興味と活動の幅が狭く特定のものにこだわる』という3つの特徴を持ちます。

アスペルガー症候群

アスペルガー症候群とは知的障害を伴わないものの『コミュニケーション能力の困難』や『興味の幅がせまく、特定のものにこだわる』という特徴が見られます。

現在アスペルガー症候群は自閉スペクトラム症(ASD)の一つとして分類されており、自閉症、レット症候群、小児期崩壊性障害、などと共にICD-10では『広汎性発達障害』の一種とされています。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)

発達年齢に見合わない多動性・衝動性・不注意が見られる障害です。人により特徴は様々ですが、「大人しくとどまることが難しい」「突発的に行動してしまう」「ミスや物忘れが多い」「物事に集中できない」などの症状がみられます。

学習障害(LD)

学習障害とは知的な発達には問題がないものの、話を聞く、文字を書く、読む・話す、数字を計算するなどの分野で困難が見られる障害です。
日常生活に問題が見られることが無いため、勉強嫌いと見られてしまうことがあります。

発達障害の子供の特徴や苦手な事

発達障害の子供は定型発達の子供に比べて苦手な事や獲得するのに時間がかかることが多く見られます。また、発達障害児独特の特徴や特性などを持つこともあります。
そんな中でも代表的で多くの子供に見られる特徴には次の項目があります。

視覚優位

発達障害の子どもは、言葉や文章よりも目で見て感じる視覚からの情報を優先する傾向が多く見られます。これは視覚優位と呼ばれています。

発達障害子どもが言葉で意思表示を行うのが難しい事や、言葉での指示に対して理解が難しいのも、言葉は目に見えないというのが理由の一つになります

発達障害の子供への指示の入れ方に関しても言葉で理解させるより、実際に物や行動を見せて教えるほうが理解しやすく効果があります。

言葉を上手に話し会話でのやり取りが出来る子どもであっても、視覚優位であることが多く、視覚からの情報のほうが理解が容易である場合もあります。

知的障害のないアスペルガー症候群やADHD(注意欠陥・多動性障害)などの場合は自分からたくさんのおしゃべりをすることが出来ますが、視覚優位のために気になった物が目に入ってしまうと、意識がそちらに向いてしまい、言葉での理解が抜けてしまったりしてしまい、結果として『落ち着きが無い』『集中力が無い』と見られてしまうこともあります。

また、目が良いことや、見たものを細かく記憶できる特徴を持つ場合もあります。視覚からの記憶力が良いと、一度目にしたものを寸分違わず記憶して絵などに描きだす事ができる特徴を持つ人もいます。

逆に目が良いと事で、ちょっとした細かいものに気が向いてしまい、結果として落ち着きがなくなることがあります。

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自閉症や発達障害と視覚優位と聴覚優位 | 発達障害-自閉症.net

言葉の遅れ

言葉の遅れも自閉症や発達障害の特徴のひとつです。小さいころに言葉を話さないことで障害を発見される子供もいます。

言葉の遅れも全く話さない場合、わずかな言葉を話せるようになったもののそれ以上増えないということもあります。また、何らかのタイミングで急に言葉を話しだすといったことも見られます。

中には通常の子どものように年齢に応じて言葉を獲得し話せる子どももいますが、自閉症や発達障害を持っていると何らかの形で言葉や会話に影響が出てくることが多いです。

言葉は目に見えないため、視覚優位の特徴をもっていると理解が非常に困難となります。さらに言葉は聞こえていても人が話している声だということや、言葉自体の意味の理解も難しいものになります。

聴覚過敏や聴覚鈍磨などで音の感じ方や受け取った情報の処理方法によっては、同じ言葉でも大きい声や小さい声、高い声や低い声など聞こえ方の違いで別の言葉だと感じ取ってしまうこともあります。

さらに、細かい点を捉えてしまうという特長から「晩御飯はカレーにします」という言葉でも「カレー」という単語しか聞き取れないということもあります。

また、言葉は決まったパターンで話すと言うことが少ないです。例えば「お腹がすいた」というのを伝えるのにも、「何か食べ物無いですか」「お腹がすきました」「何か食べたいです」など、場所・相手・状況などで話し方が変わってきます。パターン化したものを理解しやすい特徴を持つ発達障害の子供だと、同じ意味でも毎回言い回しがちがうと、それが全く別の意味をもつ言葉だと思ってしまいます。

言葉を話すのが難しい子どもでも、CMやアニメの台詞などを直ぐに覚えてしまうのは、言葉やリズムが毎回同じであることでパターン化されているためでもあります。

感覚過敏や感覚鈍磨

感覚過敏とは感覚が過剰に敏感になってしまう状態で、感覚鈍磨とは感覚が鈍くなってしまう状態をいいます。これらの特徴を持ってしまうと五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)と、体の筋肉や関節の動作に関わる固有感覚の情報の受け取り方に不具合が生じてしまいます。

感覚過敏になると、「音に敏感になる」「手を繋ぐのを嫌がる」「触られるのを嫌う」「偏食や好き嫌いが増える」などの症状がみられます。感覚鈍磨になると、「痛みが感じない」「暑さや寒さがわからない」などの症状がみられるようになります。

また、健常者との感覚の感じ方が違ってしまうため、人ごみなどでは多くの情報を取り入れて過ぎて処理が出来ず疲れたり、ストレスを感じてしまうこともあります。

感覚過敏や感覚鈍磨は本人からしてみればこれが普通の感覚であるため、不都合を自分から訴えることは無く、周囲の人がとても理解しにくいという問題もあります。

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自閉症や発達障害の感覚過敏とは | 発達障害-自閉症.net

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自閉症や発達障害の感覚鈍麻とは | 発達障害-自閉症.net

2つ同時の行動が難しい

自閉症や発達障害の子どもは2つ以上の行動や複数の情報を処理することが苦手です。
複数の行動には食事時の「お皿を抑えながら食べなさい」という動作や、「黒板の文字をノートに書きなさい」という行動になります。

「お皿を抑えながら食べなさい」という動作には左手でお皿を押さえながら、右手で食べ物を食べるという2つの行動になります。「黒板の文字をノートに書きなさい」という行動には、黒板を見て理解しそれをノートに書くという2つの処理が必要になるためです。

また、「何々をしてから何々をしなさい」というような指示も2つの行動が1つの言葉の中に入っているため理解と行動をするのが難しくなってしまいます。

複数の情報を与えてしまう際には、それぞれを個々にわけて1つずつの指示にすると子供たちも理解が容易になります。

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発達障害は複数の事や動作を同時に行う事ができない | 発達障害-自閉症.net

変化を嫌いパターン化を好む

変化を嫌いパターン化した行動を好むという特徴もあります。これは突然の変更や意図していない出来事に対応することが困難で、気持ちをうまくコントロールできなくなってしまうからです。

気持ちをうまくコントロールできず混乱してしまう状態が『パニック』になります。逆にパターン化した行動に固執するのが『こだわり』となります。

パターン化した行動は「いつもと同じ」「前回と同じ」ということで、予定に変更が無いため安心して行動を取ることが出来ます。しかし、不意な出来事や普段と違う行動を取らざるを得なくなってしまった場合に、何をすればよいのかわからず気持ちが不安定となってしまい、気持ちの安定を求めて今までと同じ行動に固執しようとすることがあります。

また、普段と同じ行動でも、「位置」「場所」「見え方」「時間」「タイミング」「順序」などちょっとした違いにも違和感を覚えたり不安を感じたりすることもあります。

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自閉症は状況の変化や変更が苦手で嫌う | 発達障害-自閉症.net

パニック

『混乱した場合』『気持ちが不安定になった場合』『ストレスを感じた場合』『いやな思いをした場合』などに、自分自身で気持ちを落ち着けることが出来ずパニックになることがあります。

健常者であればパニックになる前に様々な対処法を考え自分の気持ちを落ち着けることが出来ます。しかし、自閉症や発達障害の人は自分の気持ちを落ち着かせるのが苦手であったり、その方法がわからない場合があります。

パニックになってしまうと、自分の気持ちの処理が出来ないため、無意識に体が動いて暴れてしまったり、叫び声や奇声など大きな声を出してしまうことがあります。また、パニックの際には周囲からの情報も入りにくいため、周りの人の指示や声かけも伝わらなくなってしまいます。

パニックには『暴れる』『泣く』『自分を叩いたり、頭などを壁や床に打ち付ける(自傷行為)』『大きな声を出す』『動けなくなってしまう』など人により様々な様子が見られます。

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自閉症や発達障害のパニックの理由や対処方法 | 発達障害-自閉症.net

相手の表情や感情が理解できない

人の表情や感情を読み取ることが難しく、相手の気持ちを逆撫でするような発言をしたり、場の空気を乱したりすることも多いです。

これは相手の顔を見ても表情を理解するのが困難であったり、言葉遣いや言い回しから相手の気持ちをはかるのが苦手であるからです。

自閉症や発達障害の人は細かい点に注意が向いてしまうという特徴から、相手の顔を見ても顔全体を捕らえるのが難しく、目や鼻などの顔の細かいパーツに視点が向いてしまいます。そのため、顔全体を見渡して表情を捉えるということが困難となります。

人を見分ける場合でもその人の特徴的な細かい点で理解をしているため、同じ人物でもそのときの服装や髪型、化粧やアクセサリーの有無が変わってしまうと、同じ人だと認識できない事もあります。

言葉の理解が難しいということも、相手の感情を読み取れない理由のひとつになります。発達障害の人は言葉を理解することや話す事が困難な場合があります。そのため、正しい言葉の意味や、そのときの状況の意味する言葉遣いが理解できず、話し言葉から相手の気持ちを察するのが難しくなります。

また、相手の状況を理解できないということもあります。前回Aさんに「可愛いね」と話しかけたら喜んでくれたので、これを成功体験として毎回「可愛いね」と話しかけてしまう事があります。Aさんの機嫌が良いときならこの話しかけ方で喜んでもらえると思いますが、Aさんが先生に怒られた直後や悲しいことが有って落ち込んでいるときなどに「可愛いね」と話しかけてもAさんは良い反応をしないでしょう。

このようにその場の状況に合わせた言葉遣いをするのも難しい行動になります。

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自閉症や発達障害は表情や感情を読み取れない | 発達障害-自閉症.net

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自閉症や発達障害は視線や目が合わない | 発達障害-自閉症.net

細かい点でとらえる

自閉症や発達障害の子どもは視覚優位であることが多く、目からの情報に強いという特性があります。しかし、全体を見ると言う事が苦手で、細かい点に着目してしまうという特徴もあります。

体育などで先生がこれから行う運動の動作のお手本を見せても、先生の体の一点ばかりを見ていて、どのような運動をすればよいのかわからなかったということもあります。

言葉に対しても細かい点を捉えることが多く、「今日は校外学習のためバスに乗って工場へ見学に行きます」というような言葉でも「バスに乗る」という単語しか理解していないと言う事もあります。
「お菓子を勝手に食べてはいけません」と注意をされた場合でも「お菓子」という言葉だけに反応し、「お菓子」→「お菓子があるんだ」→「お菓子を食べよう」と思い込んだり理解してしてしまうことも有るので注意が必要となります。

おもちゃなどでは、車のおもちゃのタイヤだけを回して楽しんでいるという行動も見られます。これは自閉症などの子どもが回転動作を好むという特徴が理由の場合もありますが、車のおもちゃという全体を理解するのが難しく大好きな回転部分だけを理解して、タイヤを回して楽しんでいるという事もあります。

記憶力が優れている

自閉症や発達障害の人に中にはとても記憶力が優れている人がいます。これは情報の受け取り方と処理のしかたが健常者と違うためとも言われています。

見たものを寸分違わず記憶をしていたり、一度聞いた音楽を覚えていたり、会話や台詞などを1文字も違わず話せる人などもいます。しかし、これらの情報は覚えていても理解をしているかは別問題となります。

テレビアニメの台詞やCMのフレーズなど長い言葉を話せても、丸暗記や音としての記憶をしているだけのことも多く、言葉の意味を理解していないことも多く見られます。

逆にこれらの記憶が優れているため、自分の覚えていることと状態が少しでも違うと、気になったり不安になったりし、こだわりやパニックに繋がるといったこともあります。

悪い記憶も鮮明に覚えてしまうというデメリットもあります。特に怖かった記憶やいやな思い出などはいつまでも残ってしまうようで、その記憶が唐突に思い出されたりしてしまうとフラッシュバックに繋がることもあります。

特殊な能力としては一度聞いた音楽を耳コピーしてピアノや音楽アプリで再現して弾くことができたり、一度見た景色を写真のように絵として書き出せる能力を持っている人もいます。これらのように優れた記憶力を持つ人は『サヴァン症候群』と呼ばれることもあります。

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サヴァン症候群とは | 発達障害-自閉症.net

体の動きがぎこちなかったり不器用である

体を動かすことが下手だったり不器用だということもあります。体の動作には細かい手先の作業が苦手でだったり、ダンスなど体全体を動かす動作がぎこちない、体の複数の部分を同時に動かすのが難しいといったことが見られます。

発達障害の子供は感覚過敏・感覚鈍磨などの特徴から体の感覚に乏しく、自分の手足がどの位置にあるか、どのように動いているか、力がどれぐらい入っているかを感じ取ることが出来ない事があります。実際に見えないものを想像するのも難しく、自分がどのように動いているかイメージできていないといったこともあります。

体の複数の部分を同時に動かす協調運動が極端に困難な場合には『発達性協調運動障害』と診断されることもあります。

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自閉症が不器用であったり体を動かす運動が苦手な理由 | 発達障害-自閉症.net

体が曲がったり姿勢の保持が出来ない

正しい姿勢を保持できない事も発達障害の人に見られることがあります。正しい姿勢を保持できない理由には体の作りや筋力の発達の遅れ、感覚過敏により座る椅子や背もたれの不快感などがあります。

体の作りや体幹や筋力の発達が弱いと「体が傾く」「歩く際にクネクネする」「頬杖を付く」「猫背」「左右の肩の位置がちがう」など正しい姿勢を取るのが難しくだらしないと思われてしまう事もあります。

座る際も姿勢の保持が出来ずに、直ぐに横になったり、地面との接地面を増やすために胡坐(あぐら)をかくことも見られます。

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自閉症や発達障害の姿勢保持と姿勢の悪さ | 発達障害-自閉症.net

大人の発達障害

近年大人の発達障害が増えているということを耳にすることも多くなっています。

発達障害は先天性の障害なので大人になってから発症したというわけではなく、子供の頃に発見されることの無かった発達障害者という事になります。

子供の頃は勉強が出来ていればよほど目立った行動が無ければ問題視されなかったものの、社会に出て一人で考えて行動をする事が多くなった際に、間違いや失敗などが目立ち気付く事が多いようです。

また、近年大人の発達障害者が増えた理由として検査方法が発達し様々な医療機関で気軽に検査が出来るようになったことと、高度に進化し複雑化した社会の影響とも言われています。

社会が国際化や高度情報化、様々なサービスなどにより複雑になると、労働者に求められる能力や業務内容も多くなります。その際に、適応が出来なかったり問題を多発してしまったひとが相談や医療機関への受診により発覚するということが多いようです。

大人の発達障害としては「片づけが出来ない」「物をよくなくす」「順序良く行動ができない」「計画性がない」「同じミスを何度も繰り返す」「締め切りや約束を守れない」「物忘れが多い」「お金の管理ができない」といった特徴が見られます。

発達障害と診断されたら

発達障害と診断されたら「治す事が出来るのか」「一生このままなのか」「将来的にどうなるのか」など様々な不安が出ると思います。

発達障害の子供は様々な特徴や困難を持っている事が多いですが、施設での療育や、幼稚園・保育園や学校での指導や教育により多くのことを学んで成長します。兄弟や定型発達の子供と比べてしまうと育ちが遅かったり、なかなか物事を習得することが難しい事もありますたが、少しずつ成長して理解力や出来る事も増えてきます。

大事なのは発達障害だと分かったら、次に繋げることです。人は誰しも得意不得意があります。発達障害だと診断されることは苦手な事や不得意なことを専門家から指摘してもらえ、その部分を強化するチャンスでもあります。

発達障害と認定された場合には、各種障害者手帳の交付を受けたり、福祉サービスを利用するための障害福祉サービス受給者証の交付を受けましょう。

発達障害者への福祉や補助

発達障害であると様々な福祉制度や補助制度を利用することができるようになります。これらを利用するには障害者手帳や障害福祉サービス受給者証の交付を受ける必要があります。

障害者手帳

障害者手帳とは様々な障害を持つ人が取得することの出来る手帳で、手帳を持つことにより様々な福祉サービスや施設の利用のほか、交通機関の運賃、税金の免除、福祉への補助、施設利用料金の割引などを受けることが出来ます。

障害者手帳には「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。身体的な重複障害が無い場合に、発達障害者が取得できる手帳には「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」になります。

療育手帳

療育手帳とは知的障害者や知的障害児に対し、都道府県知事または政令指定都市の長から発行される手帳です。知的障害児から障害者にかけて、一貫した指導・相談・療育・支援を受けられることを目的にしています。

交付の対象者は18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談で知的障害であると診断された人に交付されます。

療育手帳の区分は重度のAとそれ以外のBに区分されており、交付する自治体によって「1、2、3、4」「A1、A2、B1、B2」「○A、A、B1、B2」など区分の表記方式が異なりますが、基本的には最重度、重度、中度、軽度の4段階となっています。また、認定基準や目安も自治体によって異なる場合があります。

名称は地域によって「愛の手帳」「みどりの手帳」などとされる場合があります。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳とは精神障害を持つ人に対して、都道府県知事または政令指定都市の長から発行される手帳です。精神障害者にたいして各種支援や、社会復帰および社会参加の促進を目的としています。

精神障害者保健福祉手帳では等級を1級(精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの)、2級(精神障害であって、日常生活が著しく制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの)、3級精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの)の3等級となっています。

精神障害者保健福祉手帳は2年に1度の更新があり、2年ごとに医師の診断を受け診断書を元に更新を行います。精神状態が回復した場合や諸事情で更新を行わなかった場合には、手帳を自治体へと返却し、精神障害者保健福祉手帳交付台帳から個人記録が抹消されるため、障害者という公式な記録もなくなります。

障害福祉サービス受給者証

障害福祉サービス受給者証(受給者証とも表記される場合もあります)は、障害者総合支援法や児童福祉法に基づいて運営されている障害福祉サービスを受けるためのものです。

対象者は各種障害手帳の保持者、特定の難病患者、医療機関や専門機関で障害や障害福祉サービスの利用が望ましいと判断された人が対象になります。必ずしも障害としての診断が必要ではないため、学習障害児や情緒障害児も医師の診断等により障害福祉サービス受給者証を取得できます。

申請方法は基本的に各市町村の障害福祉や児童福祉窓口で支給申請を行い、認定調査員のヒアリングや確認調査を行い区分を判定して交付となります。

自治体によっては利用する施設やサービス事業所から利用内定を受けてからでないと、申請を受け付けない場合もあるので、まずは自治体の窓口へ連絡する必要があります。

障害福祉サービス受給者証を持つことで目的や年齢に合わせて以下のサービスを利用することができるようになります。

  • 介護給付:「居宅介護(ホームヘルプ)」「重度訪問介護」「同行援護」「行動援護」「重度障害者等包括支援」「短期入所(ショートステイ)」「療養介護」「生活介護」「施設入所支援」
  • 訓練等給付:「自立訓練(機能訓練・生活訓練)」「就労移行支援」「就労継続支援A型」
    「就労継続支援B型」「共同生活援助」
  • 地域生活支援事業:「移動支援」「地域活動支援センター」「福祉ホーム」
  • 相談支援事業:「地域移行支援」「地域定着支援」「計画相談支援」「障害児相談支援」
  • 指定通所支援:「児童発達支援」「医療型児童発達支援」「放課後等デイサービス」「保育所等訪問支援」
  • 指定入所支援:「福祉型障害児入所施設」「医療型障害児入所施設」

まとめ

発達障害には様々な種類や特徴が見られ、多くのことで本人は苦労や困難を抱えています。

発達障害は今現在原因が解明されていないので、治るということはありません。しかし、学習と訓練を重ねることで、少しずつではありますが学んで成長していくことができます。

大切なのは本人の発達障害を理解し、本人の気持ちになり必要とされることや困っていることをフォローする必要があります。

このページが発達障害に悩む人への何らかの参考になったら幸いです。

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