猫鳴き症候群(5pモノソミー、5p-症候群)とは
猫鳴き症候群とは
猫鳴き症候群(Cri-Du-Chat Syndrome)とは、5番染色体短腕の一部が欠損したり、5番染色体短腕が本来の場所ではない部分に移動することで発生する先天性の遺伝子疾患です。
「5pモノソミー」「5p-症候群」や、幼児期に猫のような甲高い声で泣くことから「猫鳴き症候群」とも呼ばれます。
猫鳴き症候群の原因
猫鳴き症候群の原因は、5番染色体短腕の一部が欠損したり、転座(染色体が何らかの影響により切断され、同じ染色体や他の染色体に結合している状態)することで発生します。
5番染色体短腕が欠損する原因は現在のところ特定はされていませんが、受精をした時点で既に欠損が発生しています。
また、猫鳴き症候群の患者の8割近くが父親の精子に由来している染色体が欠損しており、親族に猫鳴き症候群を発症した者が居る場合には発症率が若干高くなります。
猫鳴き症候群の約90%は5番染色体の散発的またはランダムに発生する欠損で、残りの10%程度が染色体の転座(染色体が何らかの影響により切断され、同じ染色体や他の染色体に結合している状態)によるものです。
猫鳴き症候群の発生率
猫鳴き症候群の発生率は資料により多少のずれは有りますが、おおよそ50000人に一人程度で発生するとされています。
男女差は3対4で若干女性の方が多いとの報告も有ります。
猫鳴き症候群の特徴
猫鳴き症候群の特徴には主に以下の物が見られます。
- 幼児期の猫のような泣き声
- 独特の顔つき
- 心疾患
- 低体重や成長不良
- 嚥下機能の低下
- 指先の奇形
- 重度の知的障害
- 多動性・攻撃性
幼児期の猫のような泣き声
猫鳴き症候群の一番の特徴としては名称にもなっている「幼児期の猫のような泣き声」が有ります。この泣き声は有る程度成長をすると見られなくなります。
独特の顔つき
独特の顔つきには頭が丸く小さい、眼の形がアーモンド状で両目の間隔が離れている、耳の位置が低い、斜視、アゴが小さいなどが有ります。
心疾患
心疾患には心室中隔欠損、心房中隔欠損、動脈管開存、ファロー四徴症などの症状を持っている場合が多く見られます。
低体重や成長不良
出生時から低体重で成長の不良が見られ、一般的な子供よりも遅れたりする場合が有ります。また、筋力の緊張や筋力の低下などが見られる事も有ります。
場合によっては身体的な面での障害を持つ事も有ります。
嚥下機能の低下
筋力の弱さなどから嚥下機能が弱く吸引力が無かったり、よだれが垂れてしまう事が有ります。
嚥下機能が弱いことから摂食に介助が必要であったり、胃食道逆流症(逆流性食道炎)の症状が見られる事も有ります。
指先の奇形
指先の奇形には指が他の指とくっ付いてしまう合指症や、指と指の間のひれ部分が大きいなどが有ります。
重度の知的障害
猫鳴き症候群の多くは中度から重度の精神地帯(知的障害)となり、精神や知的レベルの発達も遅れます
しかし、半数近くは成長につれて日常のコミュニケーション程度の会話を行う程度の言語を取得できるようになります。
多動性・攻撃性
猫鳴き症候群の多くは多動性や攻撃性が強い傾向が有ります。
多動性には激しい動きや長時間動き続ける事などが見られます。
攻撃性には人を叩いたり引っ張ったりする事や、物を乱暴に扱って壊したり、物を投げたりする事が有ります。
その他の特徴
その他の特長には「癲癇や痙攣」「脊柱の湾曲などの骨格障害」「手のひらに筋が1本ある」「鼠径ヘルニア」「聴覚障害」「視覚障害」などが有ります。
猫鳴き症候群の寿命
猫鳴き症候群の場合は生まれつき重度の合併症を持つことがあり、その場合には1歳までに亡くなってしまいます。
しかし1歳を越えた場合、合併症となる心疾患や重度の身体障害などが見られないと、殆どの人が平均的な寿命まで生きることができます。