自閉症や発達障害の人の世界の見え方や感じ方

 

自閉症や発達障害の人の世界の見え方や感じ方

自閉症の人達は、健常者と風景の見え方や感じ方や聞こえ方が違うといいます。そのために同じ風景を見ていても感じ方が健常者と違う為、同じように理解ができないばかりか、不安になったり混乱してパニックなどに繋がってしまう事も有ります。

また、健常者は視覚や聴覚から入り込む「音」「声」「光」「動き」など様々な情報を無意識のうちに取捨選択しています。しかし、自閉症の人達の多くは、これらの情報にフィルターをかけて取捨選択することが難しく、全ての情報が同時に入ってくるために処理が追いつかず混乱してしまいます。

では、実際に自閉症の人達が感じる世界はどの様な様子なのでしょうか?
様々な情報を調べてまとめてみました。

自閉症の人がどのように感じているか

自閉症や発達障害がどの様に周囲の様子を感じているかを理解するには難しいと思います。


アスペルガー症候群や注意欠陥・多動性障害の感じ方

アスペルガー症候群や注意欠陥・多動性障害(ADHD)の人は「周囲が二次元的に見える」「自分が居るのに客観的に見える」「テレビの番組を見ているように感じる」などと話すことが有ります。

これはその場には居るのだけれども、「思っていることが伝わらない」「見えているけど理解できない」「会話が聞こえるけど理解できない」といった様子で感じているようで、アスペルガー症候群の特徴である場の空気が理解できない事や適切なコミュニケーションが苦手であるといった事に繋がっているのが良くわかります。

自閉症の感じ方

自閉症の人は感覚が敏感になる「感覚過敏」や、逆に感覚が鈍くなってしまう「感覚鈍麻」という特徴が有ります。その特徴から「様々な音や声がうるさく聞こえる」「光をまぶしく感じる」「色が不鮮明やモノクロに見える」「全体を見渡すのが難しい」「1つの物しか見えない」「動きが早く見えたり遅く見えたりする」といった様子で周囲の状況を見たり感じていると言われます。

情報の取捨選択やその処理を行うことが難しく、感じた情報が全て飛び込んでくるように感じる人も居るようです。そのような特徴の人の場合は街中などに行くと人の話し声、店舗のBGM、車の音、太陽の光、信号の点滅、ディスプレイの展示物、看板や店名の文字が同時に飛び込んできて混乱してしまう事も有ります。

2015年10月20日にカリフォルニア工科大学が自閉症の人の見え方の研究結果を発表しました。
Atypical Visual Saliency in Autism Spectrum Disorder Quantified through Model-Based Eye Tracking

研究結果の途中に実際に見ていた部位をサーモグラフィのように分布で表示した画像が有ります。この画像で健常の人は画像の中から意味の有る部分を見ています。しかし、自閉症の人は画像内の意味のある部分が分からず、人の顔や画像の中心付近を見ているのが分かります。
つまり、ある場面において何処に注意を向けていいかわからず、状況判断に苦労をするというものです。

自閉症の人の世界を体験できる動画

Youtubeなどの動画サイトには、多くの自閉症のシュミレーション動画が有ります。その中でも有名なものをいくつか紹介します。

1つ目は自閉症の子供が感じている世界を体感できるゲームのプレイ動画です。
Auti-Sim: A playable simulation of sensory hypersensitivity

子供達が遊んでいる公園の様子を見ることが出来ますが、子供の話し声や遊んでいる喚声などが同時に聞こえとても落ち着いていられる状況ではありません。また、視覚的にもワザとぼやかせており、視覚の間隔のズレなども表現しています。

こちらは車の走る通りを歩いている様子を健常者が感じる映像と、自閉症の人が感じる映像の2パターンで紹介しています。
What it’s like to walk down a street when you have autism or an ASD

自閉症の人が感じる動画では、車道を走る車の音が大きく聞えるほか、光を強く感じて白く見えてしまい真っ直ぐ歩くのも難しい様子がわかります。さらには排水溝の蓋や落ちているゴミなど周囲の物に気を取られる場面も多く見られます。

これらの動画を見るだけでも、自閉症の人が多くの情報を取り入れてしまい、大変な思いをしているのが理解できると思います。しかも、私達はこの動画を見ている間だけ大変な思いをしますが、自閉症の人は常にこの状況を感じており、かなりのストレスや不安を抱えていることが分かると思います。

また、東京大学と大阪大学の共同で開発している、自閉症の人が感じている世界を再現できる『ヘッドマウントディスプレイ型知覚体験シミュレータ』というものも有ります。
自閉スペクトラム症の知覚世界の理解へ―ヘッドマウントディスプレイ型知覚体験シミュレータを開発―

これは自閉症の人が感じている視覚信号や聴覚信号を解析し、自閉症の人が感じている世界を体験できるというものです。これを使用することで、感覚から得た情報によりどの様な社会性の問題を抱えているのかを理解し、より良い支援方法を提案することが出来るようになります。

自閉症の人が書いた本

近年ではパソコンやタブレットなどの意思の疎通を助けるツールが増えてきていることで、自閉症の人でもブログや本などで自分の思いや感じている世界をを表現している人もいます。

有名な人には『自閉症だったわたしへ』を書いたドナ・ウィリアムズさん、『自閉症の僕が跳びはねる理由』などを書いた東田直樹さんなどがいます。

自閉症だったわたしへ

ドナ・ウィリアムズさんの『自閉症だったわたしへ』は1992年に出版された本で、自閉症の人が初めて自分自身の内面を具体的に書いた本として、世界各国でベストセラーとなりました。

自閉症の僕が跳びはねる理由

東田直樹さんは会話の出来ない重度の自閉症の人ですが、パソコンなどを利用し13歳の頃に自分の思っていることか考えていることを『自閉症の僕が跳びはねる理由』として本にして出版したことで日本やイギリスを始め世界各国でベストセラーとなりました。また、続編の本を出版したりブログを更新しているほか、講演会や絵本の作成なども行っています。

発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由

モデルやタレントとしても活躍している栗原類さんは発達障害の注意欠陥障害(ADD)で有ることを公表し、『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』という本を出版しています。

 
 
このように実際に自閉症や発達障害である人が書いた本などもいくつか出版されているので、これらの本を読むことでも自閉症や発達障害での人が感じていることや思っていることを理解する手助けになります。

まとめ

自閉症の人は感覚、理解、情報の取得などから、私達健常者と違う感じ方や見方をしています。自閉症の人の感じ方を完全に理解するのは無理ですが、少しでも困難をしている場面や状況を把握し、より良い対処法を取っていくのが必要になります。

また、世界の感じ方が私達と違っていて、その感じ方も人それぞれであるとい事を認識して、そのことを尊重してあげるのも重要です。

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