自閉症は水濡れを嫌ったり衣服が濡れると着替えてしまう
自閉症は水濡れを嫌ったり衣服が濡れると着替えてしまう
自閉症は水に濡れるのを嫌る・濡れると衣服を着替えたがる
自閉症の人は水に触れたり眺めたりするのが好きな人が多い特徴があります。
しかし、逆に自閉症の人でも水に濡れるのを嫌がったり、体や衣服が濡れてしまうとパニックになって服を脱いでしまうという行動をとる人もいます。
では、なぜ自閉症の一部の人は水に濡れるのを嫌がる事が有るのでしょうか。様々な理由を調べてまとめてみました。
自閉症の人が水を好む理由
自閉症の人は水を触るのが好きであったり、水の流れる様子を見て楽しむといった行動をとる人が多く見られます。もちろん全ての自閉症の人に有る特徴ではありませんが、水を好む自閉症の人は多いです。
自閉症の人が水を好む理由は『触った感覚』『流れる動き』『光や景色が反射する様子』などに強い興味を示すためだと言われています。
また水遊びやプールが大好きであったり、場合によっては流しやトイレで遊んで周囲をビショビショに濡らしてしまったという話も多く耳にします。
自閉症の人が水に濡れるのを嫌がる理由
上記の項目では自閉症の人が水を好む傾向が多いとかきましたが、逆に体に水が付くことを嫌がったり、服が濡れると服を脱いでしまう人もいます。中には水遊びやプールが大好きな子でも顔に水が跳びはねると怒ったり、服が濡れるとパニックになってしまう子どもも見られます。
では、なぜ水が大好きな子供でも、体が濡れたり衣服が濡れる事を嫌がるのでしょうか?
濡れた感覚が不快
自閉症の人は感覚が非常に敏感となる『感覚過敏』や、逆に感覚が鈍くなる『感覚鈍麻』という特徴を持っている場合があります。感覚が過敏になるとちょっとした刺激でも強く感じたり、温度などに対しても実際の温度よりも冷たく感じたり熱く感じたりすることが有ります。
このため、感覚が敏感な場所に水が触れたために不快や苦痛を感じたり、濡れた水がとても冷たく感じたなどの場合が考えられます。感覚が過敏で有るとシャワーの水の刺激でも痛いと感じる事もあるようです。
また衣服が濡れてしまうと私達でも不快感を覚えると思います。自閉症の子供達は感覚が過敏なため、衣服が少し濡れただけでもかなりの不快を感じ、その嫌な感覚から逃れようと服を脱ぎ出してしまうのだと思います。
関連ページ
自閉症や発達障害の感覚過敏とは| 発達障害-自閉症.net
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自閉症や発達障害の感覚鈍麻とは| 発達障害-自閉症.net
自分の意思ではなく水に濡れたため
自分の意思で水に触ろうと思ったタイミングではない状態の時に濡れてしまったことで、不快感を感じたり嫌な思いをしたという事も考えられます。
私達も自分から顔を洗ったりシャワーを浴びたりすることは自分の意思で行っているので不快ではありませんが、街中などでいきなり水をかけられたりしたらとても気分が悪くなると思います。
とくに自閉症の人は、その時の状況やこれから起こりうるで有ろう状態を考えたり予想することがとても困難です。健常者であればプールサイドや波打ち際など居ると、プールからの水しぶきがかかったり、波が来て濡れてしまうという事を考慮することは出来ますが、自閉症の人にはそのような事を考えるのも難しいということがあります。
そのため、自閉症の人達は洗面台などで手を洗っていても「もしかしたら服に水しぶきがかかるかも」という事を考慮していないため、手を洗った際などに衣服が濡れるとパニックになったり怒ったりする事があるのです。
水が嫌い
自閉症の人の特徴に水が大好きという事がありますが、必ずしも全ての人が水が好きと言うわけではありません。中には水が大嫌いな人もいます。
水が嫌いな理由には様々あると思いますが、「水自体が怖い」「水で嫌な思いをした」などの理由が考えられます。
健常な人でも泳ぐことが出来ないので水が怖い人も多くいます。また、感覚過敏からシャワーなどの感覚が痛く感じたり、水の感触が不愉快だと感じている場合もあります。水自体が嫌いでなくても、以前に水に関して嫌な思いをしたという事で、水から嫌いなことを連想して苦手であるという事もあります。
服が濡れたら着替えると思っている理由
衣服が濡れると直ぐに脱いでしまうという特徴も耳にします。これは先に書いた『服の濡れた感覚が不快であるから』という理由と、『衣服が濡れたり汚れたら着替えるもの』だと思い込んでいる可能性があります。
発達段階の子供は食事時や遊びの中で衣服を汚してしまうことが多くあると思います。食事後はご飯粒や食べかすなどが付いてしまったり、遊んで泥だらけになったり、トイレの失敗や、場合によってはヨダレや拭った鼻水などで襟元や袖元がカピカピになっている事もあるでしょう。
基本的にお母さんたちは、衣服が濡れていたり汚れていたりしたら、衣服の着替えを行ったり促すと思います。そのため、子供達も衣服が濡れたら着替えるものだと理解をしますが、その程度がわからないため、ちょっと濡れただけでも着替えようとするのだと思います。
余談ですが、手を洗った際に自分の服で拭いて濡れてしまったことで、怒り出して衣服を脱いでしまったという子供も見たことが有ります。
濡れてしまうことへの対処法
水に濡れてしまうことへの対処法には、濡れる可能性がある事を予め知らせる方法や、濡れてしまったあとに拭いたりする方法があります。また、対処法は子供の状況や特徴などによっても変わるので注意が必要です。
濡れる可能性がある事を伝える
自閉症の子供は水が有る場所としては理解は出来るものの、その場所では不意に濡れることがあるという理解をするのが難しい場合があります。
洗面台やキッチンやトイレなどでは水に濡れる可能性があるという事を伝えて理解してもらうと効果があります。言葉がけで難しい場合には濡れる可能性のある場所に、水や濡れることを表記した絵カードやマークを付けておくのも良いでしょう。
濡れたら拭く事を教える
濡れた状態や感覚が嫌いな場合などは、濡れてしまっても拭けば済むという事を理解してもらう方法があります。
ズボンのポケットにハンカチやハンドタオルなどを持たせて、濡れてしまったら拭くように教えると濡れたら自分で拭けるという理解と安心感に繋がります。また、ハンカチやハンドタオルを持つことで生活マナーや清潔面での向上にも繋がります。
水周りや濡れる可能性がある洗面台や流し台などには予め、タオルやティッシュを常備しておくという方法もあります。
着替えられる回数を決める
衣服が濡れた際に何度でも直ぐに着替えてしまう場合には、着替えられる回数を予め決めておくという方法もあります。
言葉などでは理解が難しい場合には、予め着替えのセットを見える場所に用意しており、ここに見える分しか無い事を伝える方法があります。
着替えの回数を決めて上限となってしまっても、濡れの程度や子供の状態などで着替えさせる必要もあります。
着替えられるだけ着替えさせる
上記の『着替えられる回数を決める』という方法とは全く逆になりますが、子供の中には気が済むまで着替えさせる方が良い場合もあります。
衣服が濡れた際に着替えたいという行動が一時的なこだわりの場合、本人の気が済むまで行わせることで納得や安心につながり、暫くするとこのようなこだわりが消える場合もみられます。
逆に中途半端な回数だけしか着替える事が出来ないと、いつまでも不満が残ってしまいこだわり続けることになる事もあります。
まとめ
水が大好きな自閉症の子供でも、様々な理由から濡れるのを嫌がったり、濡れた服を脱いでしまうことがあります。
水に濡れてしまった際にはふき取ることを教え、着替えにこだわってしまう場合には、着替える回数などを調整してあげましょう。
水が苦手な子供に対しては、予め水に濡れる可能性がある事を伝えるなどの対応方法も良いでしょう。
人間の生活と水との関係は切っても切れないものとなっています。自閉症の子供に対する水への対応方法はその子の特徴や状況によって変わりますので、子供が理解をしやすい適切な対応策をとるのが重要となります。