自閉症児が息を吹くことの難しさと、息吹きの練習方法

   2017/08/05

自閉症児が息を吹くことの難しさと、息吹きの練習方法

自閉症などの発達障害の子供は、息を吹いたりすることが苦手な場合が多く見られます。

息を吹くのができないと言葉を話すことが困難になる他、「うがい」「食べ物を冷ます」など、日常生活に必要な行動に支障を来たす事も有ります。

息を吹くのが難しい理由

息を吹くのが難しい理由には子供によって様々ですが、いくつかの理由が考えられます。

口や呼吸器の障害や機能の低下

口や呼吸器官の機能が低下していたり、形成異常などの障害を持っていると息を正しく吐き出すのが難しい場合が有ります。

発達障害の子供に見られやすい口腔内の形成異常には「口唇裂」や「口蓋裂」や「唇顎口蓋裂」等があります。

口唇裂

口唇裂(こうしんれつ)とは、胎児としてお母さんのお腹の中で成長をする際に、顔面の左右から発達した唇が上手く繋がらず裂け目として残ってしまう障害です。

口蓋裂

口蓋裂(こうがいれつ)とは、胎児の成長過程で口の中の天井に当たる部分の口蓋がうまく繋がらず裂け目として残ってしまう障害です。また、見た目では裂け目が無い様でも内部の筋肉や組織が裂けてしまっている粘膜下口蓋裂と言うものも有ります。

顎裂

顎裂(がくれつ)とは、胎児の成長過程であごの骨が上手く繋がらず裂け目になってしまう障害です。

その他の理由

ダウン症などのように筋肉の発達が遅い場合や、顔面の麻痺などが有る場合は、口や喉のを動かすのが出来なかったりするため、息を吹くのが難しい場合が有ります。
その場合には口の中の感覚を訓練したり、舌の動き口の動きの練習、頬などをマッサージするのも効果が有ります。

息を吹く口の形が難しい

口の形を自由に動かすのが難しい場合、息が上手に吹けない事も有ります。
息を吹く場合には口をすぼめた状態で唇を突き出して行うのが一般的ですが、発達障害の子供の場合この様な口の形を作るのが困難である場合が有ります。

また、親などが息を吹くお手本を示しても、人の表情を見ることや口の形をマネする事も不得意である為に練習も難しくなります。

息を吹く事を理解するのが難しい

人間は幼児の頃から無意識に口からミルクを飲んだり食べ物を食べたりするため、口から吸ったり物を取り込んだりするのは自然な動きであるので得意です。

しかし、口から息を吐き出すという行為は無意識に行われないため、発達障害の場合理解をするのが難しい場合が有ります。

呼吸として考えても通常は鼻呼吸をしているため、あえて口から息を吐いたり吹いたりするということは意識をさせるとなるととても難しい場合が有ります。

息を吹く練習

息を吹く練習にはその子供に応じて沢山の方法が考えられますが、一般的に行いやすい練習方法をいくつか紹介してみます。

楽器を吹く

楽器には息を吹き込む事で音がなるものが沢山有ります。息を吹くことで音のなる楽器には、笛、ホイッスル、ハーモニカ、ラッパ、ピアニカなどです。

単純に息を吹くという事が理解しにくい場合でも、楽器を使うことで音が鳴るため息を吹く事を理解しやすくなります。

最初は口から呼吸をする行為を意識させるためにも、ハーモニカのように吸っても吹いても音の鳴る楽器を使うと良いと思います。

ティッシュやビニール紐などを吹く

ティッシュやビニール紐を吹く練習は単純ですが、いつでも行いやすい簡単な練習方法です。息を吹いた際にティッシュや紐が動く様子を意識させると、息を吹くという行動のイメージを持たせやすいと思います。

ストローを吹く

ストローで吸ったり吹いたりするのも一般的な練習方法です。ストローを咥えると自然と口をすぼめた形になるため、口の形を意識させるのにも効果が有ります。

息を吐くのが難しい子供は、ストローで水分を吸うのも余り得意ではありません。
その為、食事の際やおやつの際に水分をストローで取るのも口での呼吸の練習になります。

ストローを使って練習する際にはコップに水を入れてブクブクと息を吐く練習を行うと、水の中の泡が見えるため息を吐く行為を意識しやすくなります。

遊びを通して吹く練習を行う

息を吹く練習も単純に訓練として行うと面白くないですし、子供も飽きてしまいます。そこで、遊びを通して息を吹く練習を行うと良いと思います。

遊びの中で行える息を吹く練習には「シャボン玉」「風車」「ふきもどし(ぴろぴろ笛などとも呼ばれる縁日や駄菓子屋などで売っている吹くと伸びる笛)」など単純に吹くだけのものから、ピンポン玉を吹いて的に当てたり、紙相撲のように紙を切ったものを吹き倒すゲームなども効果的です。

ピンポン玉や紙相撲を吹き倒すゲームでは、息を吹くだけでなく強さや方向を意識し調整する必要がある為、より効果的に息を吹く練習が行えます。

また、息を吹いてまわすルーレットの様なツールや、ピンポン玉の迷路など専用の療育道具も市販品で販売されています。

お手本を見せ一緒に行う

息を吐く練習を行う際に親がやり方を見せたり、顔などに息を吹きかけてあげるのも良いでしょう。人の模倣をするのが難しい子供も多いですが、やはりお手本が有った方がやりやすいと思います。

その他の練習方法

その他の練習方法として唾を吐く、くすぐるなどが有ります。
唾吐きは息を吐くよりも難しい動作ですが、口の中に唾という意識しやすいものがある為子供によっては覚えやすい場合が有ります。ただし、悪ふざけや癖になってしまう事もあるので注意が必要です。

くすぐる行為はくすぐることによって、無意識に口から息が出たり笑い声となります。無意識に息を吐くという行動を起こさせるには、くすぐって笑わせるのも効果が有ります。

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