物を規則的に並べる – 自閉症と発達障害の特徴・特性
物を規則的に並べる
自閉症の子供の大きな特徴に、物を集めたり規則的に並べる行動というものがあります。通常ミニカーなどのおもちゃの場合は走らせたり、運転手ごっこ遊びなどで遊びますが、自閉症の場合はおもちゃとして遊ぶのではなく、並べることを目的として遊ぶ様子が見られます。
なお、物を並べるという行為は健常の子供でも行うため、物を並べるのが好きというだけで自閉症と判断する事はできませんし、逆に自閉症の子供でも物を並べることに全く興味が無い場合も多く有ります。
並べるもの
自閉症の子供が並べるものには主に以下のものがあります。
- おもちゃ・ぬいぐるみ
- 小石
- 色鉛筆・クレヨン
- ミニカー
- レゴなどのブロック
- 積み木
- ひらがなカード
- 絵本
- ビデオ・DVD
物の並べかた
並べ方は本人の中で定められた順番が有る場合があり、その順番を崩すと怒ったりパニックになったりする事もあります。物を並べる行為とはちょっと違いますが、一見乱雑に置かれたものでも本人の中では意味の有る順番や位置で置かれている場合もあったりします。
並べ方も「一直線」「斜め」「裏表交互」「ジグザグ」などがあり、並べる以外にも縦に積んだりすることもあります。
私が見たことある子の場合は、クレヨンをカラフルに様々な順で並べたり、数色ある積み木から赤色だけを選んで並べたりするのを見たことがあります。中には沢山のぬいぐるみを壁に沿って並べあたかも集合写真のようにして楽しんでいた女の子を見た事も有ります。
数字が書かれたカードではCMでよく聞く電話番号と同じく「0120444444」と並べたり、ひらがなカードではお友達の名前や物の名前と同じ様に並べたりする事もあります。
物を並べるのが好きな理由
自閉症の子供が物を並べるという行動をする理由ははっきりわかっていませんが、自閉症の人は『順番や規則的なものを好む』『物を置く位置や順番などにこだわりを持っている』『線や面』が好きという特徴を持っているからだと考えられます。
自閉症などの発達障害の人は急な予定の変更など、予期しない出来事への対応が不得意であり、予定に無い出来事に対応できず不安になったり、パニックになったりする事が有ります。
物を並べる行為のように自分で決めた順番や決めた位置に、自分の意思で物を置いていく事で予定を決定させることが出来ます。そのため、物を並べる事で不安をなくして安心を得ているとも考えられます。
なお、発達障害や自閉症の人が電車を好むという話をよく耳にすることがありますが、電車を好む理由として、『列車は規則的に並んでいる』『規則正しく運行している』『始発駅から終点まで駅が順番になっている』『レール(線)の上を正しく走る』という自閉症の好む特徴が有るからだとも言われています。
関連ページ
自閉症者や知的障害者が電車や鉄道を好きな理由| 発達障害-自閉症.net
物を並べる目的
物を並べる行動が好きな子供には「物を並べる事自体が好き」「並んだものを眺めるのが好き」「物を並べた後にバラバラにするのが好き」という3つの目的に分かれているように思われます。
物を並べる事自体が好きな場合は、不安定であった物を自分の意図した順番に並べることで、物の位置や順序が決定して安心を得ているのだと思います。
並んだものを眺めるのが好きな場合には、自分の思い通りの順番になったものを見て満足したり、こだわりから「こうでなければならない」という順番や位置になった事で安心を得ている事もあると思います。
物を並べた後にバラバラにするのが好きという行動は自閉症に限らないと思いますが、綺麗に並べ終わったものを壊すことに興味や快感を持っている場合があります。なお、健常な子供でも綺麗に積んだ積み木やブロックをバラバラにして楽しんだり、お友達が作った砂山を壊してしまう子供も多く見られます。
物を並べる行動を発展させる
物を並べる行動が好きな子供の場合、その行動を遊びや学習に発展させる事も出来ます。簡単な遊びには「ドミノ倒し」「お手本どおりに並べる練習」などが有ります。
並べる順番にこだわりが無い場合には、並べる順番や番号を決めてその順に並べたり、色や形順に並べるなどの学習方法につなげる事が出来ます。
もう少しレベルが上がれば「ビーズ通しや紐通し」「パズル」「プラレールの線路作り」「ビー玉落としのコース作り」などにも発展できると思います。
また、ただ単にものを並べるだけでも指先の巧緻性の練習にもなります。最初は大きいものや並べやすいものから始めて、徐々に小さいものや不安定で並べにくいものなどにしていくと、指先の器用さの練習や物を「つまむ」「つかむ」等の練習にも繋がります。
まとめ
物を並べる行為が好きな場合は無理に止めさせる必要はありません。物を並べることで楽しんだり、場合によっては不安になった気持ちを落ち着かせている事もあります。
物を並べる行為自体も時間や年令が上がるとともに無くなる場合もあるので、その行為やさしく見守ってあげたり、並べる行為を次のステップへ繋げてあげる事も重要です。