自閉症と多動症 – 自閉症と発達障害の特徴・特性

   2016/09/21

自閉症と多動症

自閉症や発達障害で見られる特徴の一つに多動症というものが有り、発達障害では注意欠陥多動性障害(ADHD)の特徴としても知られています。

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小さいうちは落ち着きが無い子供として見られてしまう事も有りますが、年齢が上がるにしたがって動きが激しくなり、多動またはそれに伴う障害として診断されることが多くなります。

多動とは

多動とは落ち着いていることができず、常に動き回っている状態です。
椅子に座って集中することや、一定の場所に留まることが難しく、直ぐに何処かへ走り出してしまいます。その為、待ったり並んだりするのが非常に難しいという特徴も見られます。

動き回るだけでなく、体をくねくねしていたり、手や足をばたばたと振ったりする事も有ります。大きな体の動きだけでなく、貧乏揺すりやソワソワ・モジモジと言った動き、場合によっては喋り出すと止まらないという行動も見られます。

多動となる理由

多動の行動をとる理由はまだ不明な点も多いですが、「感覚や刺激を得ている」「エネルギーやストレスを発散している」「気が散ってしまう」「落ち着けない」「動いて気持ちを落ち着けようとしている」などが考えられます。

また、体の筋肉や神経の発達にバラつきがある為、同じ姿勢を保ったり、真っ直ぐな姿勢でいるのが難しく直ぐに動いてしまうというものも有ります。

様々なことに過敏で有ったり苦手なものや状況が多い子供の場合には、不安やパニックや苦手な物事から逃げる為に走り回ってしまう事も有ります。

「感覚や刺激を得るため「エネルギーやストレスを発散している」」に多動となっている場合、「気持ちを落ち着けようとしている」「苦手や不安から逃げている」場合など、同じように走り回っているように見えますが、全く別の理由から多動となっています。このように多動の原因には様々な理由があるため、なぜ多動になっているかを見極める事が重要となります。

多動の特徴

多動には「走り回る」以外にも、「高い場所へ登る」「跳びはねる」「飛び出す」「物などを投げる」「モジモジした動きをする」「大きな声を出す」「話し出す」などが有ります。

走り回る

一番多いの特徴がこの常に走り回っているというものが有ります。
走り回っている間は夢中になっていることが多く、親が「止まって」「待って」と声をかけても反応せずに動き回ってしまいます。さらに危険への認識も低いため、年齢が小さいことは目が離せず大変だという話をよく聞きます。

また、公園やデパートなどに出かけた際も何処かへ走り出してしまい、迷子になってしまう事や車道に飛び出してしまう事も多いので注意が必要です。

高いところへ登る

多動児の場合高い場所へ登る行動も良く見られます。
室内だと押入れやタンス、階段の手すり、テーブルや椅子などに登ることが多いです。場合によってはベランダの手すりに登ったり、クーラーの室外機に登ったりしてしまうことがあるので注意が必要です。

高いところへ登った後はそこで周りの様子などを見たり、高い場所の感覚を楽しんだりする事も有りますが、降りる際はそのまま飛び降りてしまうことが殆どです。高い場所に登ってしまった際には大人が安全に降ろしたり、飛び降りても怪我の無いようにマットや布団を敷いておくのも効果的です。

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高い場所に登る- 自閉症と発達障害の特徴・特性 | 発達障害-自閉症.net

跳びはねる

跳びはねる場合は床などでジャンプをしたり、布団やベッドの上で跳びはねたりします。また、トランポリンやバランスボールなどの遊具が有る場合はそこれを使って跳びはねたりして楽しむ事も見られます。

飛び出す

何かの目的や気になるものが有った場合には突発的に走ってしまうことが有ります。その際には危険の認識は無く、まず周囲の様子が見えていません。
その為に急に車道に飛び出したり、人や自転車の進行方向に飛び出てぶつかってしまう事が有るので注意が必要になります。

物などを投げる

多動の場合には物などを投げてしまう事も有ります。
投げてしまうものは様々で、小さいものは玩具や靴や本、大きな物では椅子や三輪車などが有ります。

投げてしまう理由も投げる行為自体が面白いためや、何かをきっかけに衝動的に投げてしまうことがあります。

貧乏揺すりやモジモジした動きをする

多動でも軽度の場合には走り回ったりすることは有りませんが、椅子に座っているときなどに小さな動きをすることが有ります。

よく見られる動きには「ソワソワした動き」「モジモジした動き」「貧乏揺すり」「体や首を必要以上に動かす」などが有ります。

大きな声を出す

多動症の場合は体の動きだけでなく、大きな声を何度も出したりする事も有ります。出す声は何かの言葉であったり、雄叫びや叫び声のような声を場合も有ります。

話し出す

話し出すと止まらなくなってしまう事も時折見られます。話す際も思いついたようにいきなり話し出したり、その場の雰囲気や状況とは全く関係の無いことを話します。

その他の動き

上記に記載した代表的な動き以外にも「スライディング」「ゴロゴロと転げまわる」「ブランコをおもいっきり漕ぐ」「寝転んでジタバタする」「壁や床などを叩き回る」などの行動を見せる多動児を見たことが有ります。

多動児の対応方法

多動をとめる為の効果的な方法は無く、子供の症状や特徴や発達の段階などから少しずつ対応をしていく必要が有ります。単純に多動を抑えようとするだけでは多動を抑えることはできません。逆に子供にストレスや不安を与えてしまうことになります。

ここでは現在行われている多動に対する主な対処法を紹介していきます。

薬物療法

多動や衝動性を抑えるための医療的な方法には医薬品を使用するというものも有ります。代表的な薬にはコンサータ、リタリン、ストラテラなどが有ります。

コンサータとリタリンはメチルフェニデートと呼ばれる中枢神経刺激薬を含んだ医薬品です。中枢神経を直接刺激させるため即効性が高いですが、覚せい剤に近い成分のため依存性が有ります。

ストラテラはアトモキセチンと呼ばれるノルアドレナリン再取り込み阻害剤を含んだ医薬品です。依存性はほぼ無いものの即効性は低く、効果が出るまでに数週間から2ヶ月ほどかかります。

医薬品を使用する場合には効果の有無や思わぬ副作用などもあるため、使用の前や使用後に変化が見られた場合にはお医者さんなど専門化との相談や連携が必要となります。

集中して行えることを与える

多動の激しい子供でも好きな事にはとても集中する場合が有ります。
例えばお絵かきが好きな子なら紙とペンを用意したり、本が好きな子なら本などです。比較的年齢が高い子の場合は何らかの作業などでも良いと思います。

集中して行える時間も最初は短いと思いますが、少しずつ落ちついていられる時間の延ばしたり、座っている感覚などに慣れさせていくと良いとでしょう。

落ち着けるものを与える

落ち着ける物や気持ちの安定する物を与えると、落ち着いて特定の場所にとどまることができる場合も有ります。

自閉症の子供の場合だと、手触りの良い布や綿、ひらひらと遊べる紙や紐、指先で遊べる粘土、チャラチャラとした感覚が楽しめるビーズや細かいものなどです。また、大好きなぬいぐるみや玩具、見て楽しめる絵本や興味のある物の図鑑やカタログなども効果的です。

環境を整える

興味がある物が見えたり、気が散ってしまうことで集中できず動き回ってしまう事も有ります。その場合には視界に入る物を極力少なくしたり、静かな場所などを用意し気が散らずに落ち着いて物事に集中できる環境を作るのも効果が有ります。

条件をつける

比較的知能が高い子供の場合には、一定の条件を与えてあげるのも効果が有ります。例えば「何分勉強をしたら好きに遊んでいいよ」「何個終わったら遊んで良いよ」などです。この条件を徐々に伸ばしていく事で、落ち着いて物事に取り組んだり、一定の場所で留まっていられるようになる事も有ります。

多動症の収まる時期

多動症の収まる時期は子供によってまちまちですが、通常は小学校高学年から中学校にかけての年齢になると徐々に落ち着いてきて収まります。

多動症が収まる原因として考えられるのは「危険の認識がや周囲の状況を判断できるようになる」「走り回る以外の刺激の得方やストレスの発散方法を覚える」「脳や中枢神経が発達する」「情緒や精神の面で成長する」「成長したことで体が重くなり素早く動くことが難しくなる」などが考えられます。

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