自閉症のドアへのこだわりや扉の開け閉めが好きな理由

   2018/03/21

自閉症のドアへのこだわりや扉の開け閉めが好きな理由

自閉症の子供の特徴の一つとして、ドアや扉の開け閉めに興味を示したり強くこだわったりするというのを耳にします。もちろん、ドアや扉の開け閉めに強い興味を示すから自閉症や発達障害であるという事は有りませんし、逆に自閉症でもドアや扉には全く興味を示さない子も多くいます。また、ドアや扉の開け閉めを好むという行動は、3歳程度までの子供だと誰でも見られるとも言われています。

しかし、実際の経験として確かにドアや扉に興味を示す子を見たことが有ります。では、そんな自閉症の子供の場合なぜドアの開け閉めに興味を示すのか調べてまとめてみました。

子供が好きなドアの種類

ドアには場所や用途によって様々な種類が有ります。
家では一般的なドアである「開き戸」、扉が中折れする「折れ戸」、レール上を左右に動く「引き戸」等があると思います。

車では一般的な「ドア」のほかに、「スライドドア」や、電動で動く「パワースライドドア」等が有ります。

そのほかにも私が見かけた中で自閉症の子供が興味を持ったドアには「棚やクローゼットの扉」「押入れなどのふすま」「電子レンジの扉」「冷蔵庫の扉」「電車の扉」「エレベーターのドア」「お店の自動ドア」「防火扉」「ガラス戸」「電話ボックスのドア」などが有ります。

また、ドアだけでなく付随のドアノブや鍵、ドアの開閉ボタンなどにも興味を持つ事も有ります。

自閉症の子供がドアや扉の開け閉めにこだわったり好んだりする理由

では実際にどのような理由から、自閉症の子供がドアや扉の開け閉めにこだわったり好んだりするのでしょうか。実際に経験したことや感じたことなどを元に、自閉症の特徴などから考えてまとめてみました。

常同行動から

自閉症の人の大きな特徴に『常同行動』と言うものが有ります。常同行動とは同じ動作や行動を何度も繰り返すことです。自閉症の人は『何かを訴える』『刺激を得る』『気持ちを落ち着かせる』『楽しい気持ち・不安な気持ちになっている』などの理由から常同行動を行っていると考えられています。

代表的な常同行動には「頭や体を揺らす」「手をひらひらする」「手を叩く」「同じ言葉を何度も繰り返す」「同じ場所を行ったり来たりする」等が有ります。

この常同行動としてドアを開け閉めしている場合も考えられます。常同行動は気持ちを落ち着かせる、何かを訴える、刺激を得ているの理由から行われます。何かを訴えていたり、不安な気持ちなどになっている場合は前後にあった出来事や表情などから読み取ってあげる必要が有ります。

刺激を得る目的の常同行動で行っている場合も考えられます。ドアは自分で開け閉めできるだけでなく、ドアの機構により前後や左右に動く様子を眺めたり、閉まる音やレール上を動く音を刺激として楽しむことが出来ます。また、ドアが閉まることで人が出入りできなくなって困る様子を楽しんでいる事も有ります。

常同行動は成長したり時間が立つにつれて見られなくなったり、別の行動に移っていきます。また、常同行動を取る原因が分かる場合には、その原因となる物事を解決してあげる事も重要です。

関連ページ
自閉症の常同行動とは | 発達障害-自閉症.net

ドアや扉の開閉のこだわり

自閉症の人の中には『ドアや扉は開いているもの』または『ドアや扉は閉まっているもの』だと思い込んでいる事もあります。

この特徴に当てはまる場合はドアや扉が中途半端に開いていたり閉まっている場合、『開けなければいけない』『閉めなければいけない』という思いから、ドアの開け閉めの行動に動く場合が有ります。

私が経験した中にもこのような特徴を持つ自閉症の子供は何人もおり、入り口のドアが開いているのを見かけると走っていって閉じたり、車のドアが開いていると凄い勢いで閉めに行ったりすることなどを見たことがあります。

中にはドアの鍵まできっちりしまっていないと気がすまなかったり、家や車の窓が開いているとパニックになったり、怒り出してしまう事も有ります。

関連ページ
自閉症のこだわり| 発達障害-自閉症.net

ドアや扉の動きが好き

ドアや扉には様々な種類があり、色々な動きをするものが有ります。

ドアの動き自体が好きな子には、ドアの動かす速度を調整して楽しんだり、閉まるギリギリで止めてみたりと、ドアを色々な動かし方で楽しんでいる事がみられます。中にはふすまのドアを電車のドアに見立てて「ドアが閉まります。ご注意ください!」と電車ごっこをしている子もいました。

また、実際の電車やエレベーターのドアの開閉を楽しそうに眺めたり、介護用の自動車の電動ドアやパワースライドドアを操作する様子に興味を示す子も居ました。

自分で操作ができる

ドアは自宅や車、学校やお店など、何処にでも有る設備で、目にしたり実際に使用する機会が多いものです。自閉症などの子供は自分で何かを動かしたりする事が難しかったり、そのような機会が少なかったりします。

そんな中で日常生活でも行えるドアの開閉という、ちょっとした操作を楽しんだり興味を示したりする事も有ります。

なお、このように自分で開け閉めを楽しんでいる場合、他人に邪魔をされたり、親などが開け閉めをしてしまうと怒ったりパニックになったりする事もあります。

ドアの開閉に納得できない

自閉症の人には行った動作や動きが納得できないと、納得できるまで何度もやり直してしまうという行動をとる事が有ります。

これにはドアの開け閉めも当てはまることがあり、周囲の人から見ても何が違うか分からないのですが、本人の中では「ドアの開閉する速度」「動き」「音」「自分の立ち位置」「前後の動作のタイミング」など様々な要因が気持ちよくドアが閉まらないと納得できないようです。

車のドアへの興味

車のドアの開け閉めが好きな子も多く見られます。車のドアが好きな場合はドア自体が好きな場合と、車が好きな場合に分けることが出来ると思います。なお、車のドアや電車のドアに興味を示すのはやはり機械や乗り物が好きな男の子に多い傾向が有ります。

一般的な車には通常のドアの他に、スライドドアを持つ車も有ります。通常のドアですと、閉めたときの「バタン!」という重い音に興味を示し、何度も開け閉めすることが有ります。また、最近のファミリーカーにはパワースライドドアが搭載されている車が多く、ドアノブを軽く触るだけで自動で開閉するという動作に興味を持つ事も多いです。

車のドアを開け閉めする際には物や手足を挟んでしまったり、隣の車や塀などにドアをぶつけてしまう事もあるので注意が必要になります。

その他の理由

その他の理由として、ドアや扉が開いていると部屋や空間の境界が分からなく不安となる事からドアや扉を閉めて1つの部屋や空間として安定させているという考えもあるようです。

ドアの開け閉めの対応方法

勝手にドアを開け閉めしてしまうと、怪我や事故だけでなく防犯的にも好ましく有りません。ドアを勝手に開け閉めしてしまう場合には、子供の届かない高い位置に鍵などを設置したり、ダイヤル式の鍵などで勝手に開けられないようにする必要が有ります。

指や体を挟んでしまう危険が有る場合には、市販されているドアストッパーや挟んでも痛くないようなクッションなどを利用する方法が有ります。

車などの場合は走行中に開けてしまうと危険なため、チャイルドロックを利用するほか、子供の乗る席や位置などにも考慮する必要が有ります。

また、室内の開け閉めしてもいいドアを決め、このドアや扉なら自由に開け閉めしてもいいというルールを作るのも効果的です。

まとめ

ドアの開け閉め自体は悪いことではありませんが、こだわってしまうと何十分も開け閉めを続けたり、街中や公共の場所などで行ってしまい困ってしまう事もあります。

しかし、自閉症の子供が行うドアの開け閉めにも様々理由があります。まずは子供の気持ちになり、ドアの開け閉めを行う理由を考えたりする必要が有ります。

表情やその時の状況などからドアの開け閉めをしている理由を理解することができれば、子供の要求に対して答えてあげたり、他の代替や対応する状況などを用意することなども出来ると思います。

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