発達に遅れのある子どもが整列できない理由と対処法

 

発達に遅れのある子どもが整列できない理由と対処法

発達に遅れのある子どもはその特徴や特性などから、整列するのが難しい場合があります。

整列を促しても正しい位置が分からずウロウロしたり、位置が分かってもその場に留まることが出来ず移動してしまうということもあります。

このページではそんな整列が苦手で、並ぶ事が出来ない理由を調べてその対処法を紹介します。

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発達に遅れのある子どもが整列できない理由

発達に遅れのある子どもは、その特徴や特性、整列の意味の理解不足、ストレスや不安、体の発達の問題などから整列をするのが難しい事があります。

多動性や衝動性などの特性がある

発達障害の子供の中にはADHD(注意欠陥・多動性障害)の特徴を持つ場合があります。

この中でも多動性の特徴が強いと、一箇所に落ち着いて留まることが出来ずにウロウロと動いてしまったり、同じ姿勢で待つことが出来ずに体を動かしたり揺らしたりしてしまう事があります。

衝動性が強いと気になった事や興味を引くものが目に付くと突発的に動き出してしまうということがあります。

整列の意味がわからない


子供の中には整列の意味自体がわからないという事もあります。整列の意味がわからない場合には事前に何をするか説明をしたり、指導者が一緒についてお手本を見せるなどの必要があります。

学校では行事ごとに様々な整列があるので、そのつど並び方や位置などを教える必要があります。

興味を引く物や苦手な物がある

集中力が弱かったり注意力が乏しい子供の場合は、同じ位置に留まる整列を続けることが難しい事があります。また、周囲に興味を引くものがあると、そちらに注意が向いてしまったり、興味があるものの方へと近寄ってしまうということがあります。

逆に苦手なものが目に入ったり、嫌いな音などが聞こえるとそれから遠ざかろうと逃げてしまったり、不安になってしゃがみこんでしまうということもあります。大きな音が嫌いな子供ではマイクやスピーカーを怖がったり体育用の笛やピストルが苦手だということが多くみられます。

不安を感じている

何らかの原因で不安やストレスを感じている場合には整列をするのが難しい事があります。
例えば苦手な物や人が近くに居る場合、運動会、発表会、卒業式、避難訓練など普段と違う行事の際などは多くのストレスを感じているため落ち着いた行動が出来ないことがあります。

留まる位置がわからない

整列などで並ぼうとしても、校庭や体育館などでは留まる位置がわからずにフラフラと動いてしまったり、前後や左右の人に極端に近づいたり遠ざかったりしてしまう事があります。

また、方角や向きなどを言葉で言われても理解するのが難しい事があり、「前を向いて」などと指示をされても前がどちらの方向かわからないという事もあります。

同じ場所で待つのが難しい

体の問題から同じ位置や姿勢で待つのが難しいという場合もあります。発達に遅れのある子どもは身体的にも筋力や体幹能力の成長が遅いこともみられます。

骨格や筋力がしっかりと発達していないと、姿勢を保つのが難しくなってしまうので、すぐに座り込んでしまう、だらけた姿勢になる、位置を移動してしまうという行動が見られる場合があります。

また、適度に力を抜くことも難しい場合があるため、整列などで同じ位置や姿勢を意識すると、体が緊張してしまったり直ぐに疲れてしまうということもあります。

他人との適切な距離感がかわらない


他人との適切な距離感がわからないという事もあります。発達に遅れのある子供の場合には、コミュニケーションなどの対人関係や感覚の受け取り方の違いから、人に対して極端に接近しすぎたり、逆に距離を遠ざけたりする事があります。

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集団が苦手

発達障害の子供の中には人ごみや集団が苦手だという事もあります。人が多い場所では圧倒されてしまったり、感覚過敏の特徴があると人が多い場所自体が苦痛という場合があります。

人が多い場所であるとその人の数に驚いたり、圧倒されて緊張してしまうということがあります。

感覚過敏の特徴を持っている場合には、聴覚が敏感であると人の話し声やザワザワとした雰囲気をうるさいと感じ取ってしまいます。視覚が敏感であると、たくさんの人が居る様子や人が動いている姿が一気に目に入ってしまい混乱するといったことがあります。

苦手な子供が近くに居る

苦手な子供が近くにいたり、視界に入る位置に居る場合には落ち着かなくなり整列が出来なくなる事があります。

苦手な子には大きな声を出す子であったり、叩いたり蹴ったりと他害行為が有る子、急に泣き出したり怒り出したりする子、過去にトラブルが合った子などがあります。

整列が出来ない場合の対処方法

整列が出来ない場合には、並び方を教える、不安やストレスを軽減させる、並ぶ位置や距離などを配慮するといった方法が有ります。

整列の方法を教える

整列がわからない場合には整列する位置や方法を教えてあげましょう。教え方には事前に写真や動画などを見せて説明したり、実際に行う際に教えるといった方法があります。

説明などでの理解が難しい場合には指導者と一緒に行ったり、お手本となるお友達の様子などを見せて理解を促すと良いです。

また、整列はどのタイミングで行うのか、何のために行うのか、何分間ぐらい行うのか等も事前に説明すると見通しが付くので子供本人も行動が容易になります。

不安をなくす

何らかの理由で不安を感じている場合には、まずは不安を取り除いてあげる必要があります。不安を溜め込んだまま無理に整列を促すと、混乱やパニックなどに繋がる恐れもあります。

見通しが付かずに不安を感じている場合には事前に説明を行う、音や人ごみが苦手なら皆と離れた位置に並ばせる等のの対処を取りましょう。状況によっては別室などで落ち着くまで待ち、本人が参加できる状態になったら並ばせる方法を取りましょう。

目印や留まる位置を示す

整列する場所がわからない場合には、足元などに位置を示す目印を付けてあげることで、どの位置で整列すれば良いのかがわかりやすくなります。目印をつけるのが難しい場合には「○○君の後ろ」と言うように周囲のお友達との位置関係を教えましょう。

筋力の弱さでフラフラしてしまう場合や、多動などで動き回ってしまう場合には、ある程度の範囲の枠を示し、動いてもよいエリアを作ってあげましょう。

また並ぶ際には位置だけでなくどちらが前方であるかも教えてあげましょう。前方を教えるのも文字や矢印などの目印で教えたり、校庭なら「朝礼台がある方が前」、体育館なら「舞台側が前」など固定された物を目印に前だと伝えましょう。

「先生が居る方向が前」「喋っている人が居る側が前」などにしてしまうと、先生が移動した際に混乱したり、別の会話をしている人が居た際にそちらが前だと勘違いする事もあるので注意が必要です。

適切な距離感を教える


整列の際に極端に前後左右の人と近くなってしまったり、逆に離れすぎてしまう場合には適切な距離感を教えましょう。

基本的には前習えの格好人にで当たらない程度の距離にします。狭い範囲で整列する場合には小さい前習えや、座った際に周囲の人に体が当たらない程度の距離などその場にあった距離感にします。

体育などの授業の場合には手を振って周囲の人に当たらない距離であったり、「前の人から5歩離れる」など具体的な距離を示してあげましょう。

整列の順番や位置を考慮する

人の多いところなどで並ぶのが苦手な子の場合には、整列の位置や順番を考慮することも必要です。

人に挟まれるのが苦痛と感じる場合や建物の中で圧迫感を感じて不安という場合には、一番最後や一番端の位置にしたり、周囲のお友達と少し距離を取った場所に並んでもらいましょう。場合にっては体育館や校庭の端などにしたり、建物の窓際や出入り口付近などにする事も必要です。

まずは離れた位置から参加し、慣れてきたら徐々に距離を詰めてみんなと近い位置で参加できるように促してあげましょう。

まとめ

発達に遅れのある子が整列ができないのは、整列の方法が分からない場合や、感覚過敏などから強い刺激を受けていたり、多くの人で不安やストレスを感じているということが殆どです。

学校などでは様々な行事ごとに整列をする事があり、集団行動を行っていくうえで整列は必要な行動でもあります。

まずは、子供本人が整列に関して困っている事やわからない事、感じている不暗やストレスなどを理解し、周囲の人が適切に対処をしていくことが重要になります。

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