自閉症の常同行動とは

   2017/04/23

自閉症の常同行動とは

自閉症の子供には同じ行動を繰り返す「常同行動(じょうどうこうどう)」という動作がよく見られます。
代表的な常同行動には「手をひらひらと振る」「手を叩く」「体を前後に動かす」「同じ言葉を喋り続ける」「同じ場所を行ったり来たりする」「クルクルとその場で回る」「頭を叩く」「跳びはねる」などで、人により見られる動作は様々です。場合によってはこだわりの一つとして見られている事も有ります。

では自閉症の常同行動とはどの様な理由で行っているのでしょうか?
様々な理由を調べてまとめてみました。

常同行動とは

常同行動とは「常同症」とも呼ばれ、同じ行動や動作など一見意味の無いような動作を何度も繰り返すことです。中には同じ言葉を喋り続けたり、手を叩いてから足を触るなど複雑な動作を繰り返すしたり、同じ場所に居続けるなどの行動が見られる事が有ります。

常同行動やそれと同様の行動が見られる障害や病気には『自閉症』『知的障害』『常同運動障害』『一部の統合失調症』『一部の認知症』『強迫性障害』『薬物中毒』『ジスキネジア(不随意運動の障害)』などが有ります。

自閉症の大きな特徴に『興味の範囲が狭く同じ事を繰り返す(活動と興味の範囲の著しい限局性、同一性の保持)』というものがあり、常同行動はこれに当てはまるものになります。

常同行動を行う理由

自閉症の人が常同行動を行う理由として考えられているのは『刺激を得ている』『気持ちを落ち着かせている』『要求を訴えている』という3つの項目が一般的ですが。それ以外の常同行動を行う理由となりそうな事も含めてまとめてみました。


刺激を得ている

自閉症の子供は外部から刺激を得る事が少なく、刺激を得たい場合に感覚遊びや自己刺激行動として常同行動を行っていると考えられています。

私達は刺激が欲しい場合には、ゲームを行ったりテレビを見たり、スポーツで体を動かすなど自分から行動して刺激を得る事が出来ます。また、今まで行った事が無い物事への挑戦や、初めての場所へ行くなど、新たな刺激を得る事も出来ます。

しかし、自閉症の子供達は自分がどのような刺激が欲しいのか、その刺激はどのようにして得ればよいのかが分かりません。そのため今まで自分が行った事ある行動の中から刺激を得ようとする為、同じ行動を繰り返して行うことになります。

「手を叩く」「頭を叩く」などの行動は感覚刺激、「体を揺らす」「クルクル回る」などは視覚からの刺激、「同じ言葉を繰り返す」「壁などを叩く」は聴覚からの音の刺激を得て楽しんでいると思われます。

気持ちを落ち着かせている

緊張や不安やストレスを感じている場合、気持ちを落ち着かせる為に常同行動を取る事が有ります。

今後の見通しが付かずこれから何を行ってよいのかわからない場合には、やり慣れた行動をすることで気持ちを安定させます。嫌な音や不快な感覚などを受けた場合には、自分で声を出したり、手や頭を叩いたりして、嫌な感覚を打ち消すという事も有ります。

やり慣れた行動や以前に得たことの有る感覚だと、自分の中の経験から対処をする事ができるので、気持ちを落ち着かせる為に同じ行動や感覚(常同行動)を繰り返します。

要求を訴えている

自閉症の子供は他人に何かを伝えたくても言葉でのコミュニケーションを取るのが出来なかったり困難である場合が有ります。物を取って欲しい場合などはクレーン行動や手を引っ張って伝えることが出来ますが、それ以外の要求だとどのように表現していいのか分かりません。

そのため、イライラしたりパニックになってしまい、動きやすい行動として常同行動に繋がるのではないかと思います。

行動に納得がいかない

自閉症の人の場合、1つの行動でも納得が行かないと何度もやり直してしまう事が有ります。納得行かない理由は人によりそれぞれですが、「動作の速度」「動作の前後のタイミング」「音の大きさ」「自分の立ち位置」などです。これらの動作の感覚が自分の理想とピッタリ一致できないと、納得がいくまで何度も同じ行動を繰り返してしまうことが有ります。

楽しいから

ふとした瞬間に行った行動が『楽しく感じたり』『気持ちよく感じたり』したことで、その行動を繰り返してしまうという事も有ります。自閉症では無い子供でもクルクル回ってその景色を楽しんだり、目が回る様子を楽しむ事も良く有る行動で、遊びとしても行っています。楽しいから行うという事は、常同行動から刺激を得ていることと同様とも考えることができます。

テレビやアニメで好きなシーンが流れたり、褒められて嬉しくなったりするときに体を揺さぶったり手を叩いたりする常同行動を取る子供もいます。気分の高揚やテンション上がった際も常同行動を取るきっかけの一つになります。

暇であったり手持ち無沙汰である

自閉症や発達障害の子供は、暇であったり手持ち無沙汰な時間をどのようにすごせばよいのか分からないという事があります。また、時間の間隔や概念の理解も難しく、どのくらい空き時間が有るのか?次の行動は何時から行えばよいのか?という把握も困難な事な場合があります。

通常の人でしたら、「30分の休憩時間だから携帯やスマートフォンでも見てよう」とは「1時間後から予定があるから、それまで本やテレビでも見ようか」と考えて時間をつぶすことが出来ます。

しかし、自閉症や発達障害の子供はそれらを理解したり自分で考えるのが難しく、結果としてやり慣れた行動で暇を潰しているとも考えられます。

癖である

最初は何らかの理由により常同行動を行っていたが、次第にその行動自体が癖や習慣になってしまい、特に理由も無く無意識に行ってしまうという事も有ります。

通常の人でも椅子に座ると貧乏揺すりをしてしまったり、筆記用具を持つとついペン回しをしてしまったりなどと同じです。

常同行動とこだわり

常同行動は『手を叩く』『手を振る」などの単純行動だけでなく『毎回同じコースで散歩をする』『毎日決まった時刻で行動をする』『室内の部屋の電気を同じ順で消す』など複雑な常同行動行う事も有ります。

複雑な常同行動は一見こだわりとの見分けが付かないものも有ります。常同行動とこだわりは同じ理由から行っていると考える事も出来ると思います。

関連ページ
自閉症のこだわり| 発達障害-自閉症.net

常同行動の対応方法

常同行動が本人や周囲に対し危険や影響が発生しない場合や、本人がそれで落ち着いている場合には無理に止めさせる必要もありません。無理に止めるとパニックになったり、別の行動として表れてしまう事も有ります。

成長すると様々な方法で気持ちを安定させたり刺激を得る方法を学ぶので、人によっては年齢と共に常同行動が見られなくなったり、別の行動へと移り変わる事も多く見られます。

大事なのは本人がどのような理由で常同行動を行っているかを理解してあげることです。本人の気持ちを理解することで、不安やストレスの原因を取り除いたり、新たな刺激を与えるなど対応を行う必要が有ります。

何かが分からず不安になり常同行動を取ってしまう場合には行動を止めさせるのではなく、分かりやすい指示や説明をしてあげる必要があります。大きな音や不快な感覚を感じている場合には音や感覚から遠ざけたり、安心できる感覚を与えてあげると効果的です。

また日ごろから様々な感覚を得る訓練を行ったり、おもちゃやツールを使用することで日常生活の中で様々な刺激や心地よい感覚を得るようにするとストレスが減るだけでなく、困った際には自分からその感覚を求めに行き、自分の中で気持ちの折り合いをつけて落ち着けるようになります。

常同行動が顕著となると二次障害へと繋がってしまう事も有ります。常同行動が問題となる場合は、地域の発達障害者支援センター、子育て支援センター、児童相談所、市区町村の保健センターなどへ相談すると良いでしょう。

関連ページ
自閉症スペクトラムや発達障害と二次障害 | 発達障害-自閉症.net

まとめ

常同行動は様々な理由から行っていると思われます。そのため、常同行動を取っている際は子供からの何かのサインであるとも考えられます。子供が不安やストレスを感じている場合には、その原因を解決してあげる必要があります。

また、自閉症の子供は自分から様々な物事に挑戦するのが難しく、新たな刺激を得る事が困難でもあります。日常生活の中でちょっとした事でも良いので、色々なことを経験したりチャレンジする機会を増やしてあげると良いでしょう。

常同行動が問題となってしまう場合には、市町村の窓口や専門機関に相談し専門家と共に解決しましょう。

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