他害・他傷・暴力行為の原因と対処法 – 自閉症と発達障害の特徴・特性
他害・他傷・暴力行為の原因と対処法
自閉症などの発達障害を持った子供は時として他人を叩いたり、噛んでしまったりと他害行動を取ってしまうことがあります。
保護者としてはお友達を叩いて欲しくは無いですし、他害の特性を持つ保護者としては他人やお友達を怪我させてしまうのが一番の心配事だと思います。
一言に他害と言っても様々な理由や原因が有ります。では、実際にどの様な理由や状況から他人に手が出てしまうのか調べてみました。
他害・他傷行為の原因
他人を攻撃してしまう他害・他傷行為には、子どもの特性や、感じたストレスなどその場面場面により様々なものが考えられます。
イライラしたりストレスがたまっている場合。
イライラしたりストレスのたまっている場合は、他人に危害を与える前にストレスを解消させましょう。ストレスが溜まっている様子が見られ他人に手が出てしまいそうな場合には、人から遠ざけるなどの対処が必要となります。
イライラやストレスを溜まり手が出てしまう場合には、イライラやストレスの原因を見つけて解決していくことが必要です。
他人に何かを伝えたい場合
発達障害を持った子供は言葉を発する事ができなかったり、上手く物事を伝えられない場合があります。
その為に他人に何かを伝えたい場合に強く叩いたり、クレーン行動のように手を強く引っ張ったりすることがあります。
何かを伝えたがっている場合には伝えたがっている内容を理解する事と、強く叩いたりするのではなく「トントン」とやさしく叩くように促します。
他人を注意しようとした場合
発達障害を持った子供同士で見られることが多いですが、お友達を注意する場合に適切な言葉が出せず、叩いたり髪の毛を引っ張ってしまうことがあります。
特に髪の毛はつかみ易い様で強く引っ張ってしまう事が多く見られます。
他人を注意したい場合には叩いたり引っ張ったりするのではなく、「トントン」と優しく叩くように促したり、お友達の前で手や指で×(バツ)のサインを出すように促すと効果的です。
お友達や母親の反応を見たい場合
叩くことで叩かれた人がビックリしたり、怒ったりした反応を見るのが楽しくて叩いてしまう場合も有ります。
その場合には優しく叩くように促したり、叩かれても無視をしたり無反応で対処することで、叩いても面白くないんだと思わせることが必要です。
叩かれたことで反応してしまうとその行為が楽しくなりどんどんテンションが上がってしまうだけでなく、間違ったコミュニケーション方法として学んでしまう事もあるので注意が必要になります。
感覚として叩いてしまう場合
発達障害の子供は感覚遊びのひとつとして他人を叩いてしまう場合があります。感覚遊びになると叩くことで発生するや、叩いた衝撃自体を感じて楽しんでしまうことがあります。
感覚遊びの場合は人だけではなく、壁や棚や窓ガラスなどを叩くことが有り、叩くことで物が割れたり壊れたりと怪我をしたり危険な場合があります。
感覚遊びで行っている場合には叩いても安全な物を手渡したり、代替となる感覚遊びができる物に切り替えることが必要です。
いやな記憶がよみがえって突発的に叩いてしまう場合
発達に遅れのある子どもはフラッシュバックやタイムスリップ現象などで、過去の嫌な記憶を急に思い出してしまう事があります。
この場合は突発的なため対処が難しいですが、過去にトラブルの有ったお友達と離れた場所で活動をしてもらうなどの対処行いましょう。
また、叩く以外の代替手段を見つけてあげる事も必要です。
関連ページ
フラッシュバックやタイムスリップ現象 – 自閉症と発達障害の特徴・特性
関連ページ
過去の出来事でパニックを起こす
特定のお友達のみを叩いてしまう
特定のお友達のみを叩いてしまう場合には、「そのお友達が嫌い」または逆に「そのお友達が大好き」の2種類だと思います
特定のお友達が嫌いな場合にはお友達と離れた場所で活動をするか、間に大人がが入り直接手を出せないようにすることが必要です。
逆に特定のお友達が好きで叩いてしまう場合には、本人はスキンシップとして触っているつもりですが力の加減が分からず叩いてしまう事が有ります。
「強く叩くと痛いことと嫌われてしまうこと」を説明し、「挨拶をする」「握手をする」「頭をなでてあげる」などに切り替えてあげることが重要です。
力加減が難しいため
発達に遅れのある子どもの場合、体を上手に動かすことが出来なかったり、本人の感覚の受け取り方の違いが見られることがあります。
このような場合、子ども本人は軽くトントンと叩いているつもりであっても、実際にはバシバシと強く叩いていたり、軽く手を繋いだつもりでもギュッと強く握ってしまっていると言う事があります。
力加減が難しいのは感覚過敏や感覚鈍磨などによる感覚の受け取り方の違い、体の筋肉などの発達の遅れ、体を動かす固有感覚の問題などがあります。
力加減が難しい場合には、体全体を動かす運動を行ったり、手先や足だけなどその部位の巧緻性(器用さ)を高める運動を行うと良いでしょう。
虐待を受けていたため
その他としては自宅でお父さんやお母さんに日常的に叩かれていたため、ストレスを感じると他人を叩くようになったという事例もあります。
この場合、保護者に自宅での様子を聞くことは難しいですが、「他害がある事」と、「自宅で何か心当たりが無いか?」をそれとなく伝えることで解消できたことも有ります。
まとめ
発達に遅れのある子どもが他人に攻撃をしてしまうには、その特性などから様々な理由が考えられます。
また、他害行為をするには必ず何かの原因があります。まずは本人の置かれている状況を考えたり、気持ちを汲み取ることで原因を見つけることが必要になります。
すべての原因を取り除くのは難しいですが、少しずつでも原因を取り除いたり、不安やストレスを回避する方法を教えることで、他人を攻撃する事も少なくなっていくでしょう。