自閉症などの発達障害の子がトイレを怖がったり嫌がる理由
自閉症などの発達障害の子がトイレを怖がったり嫌がる理由
自閉症などの発達障害の子供は、トイレを怖がったり行くのを嫌がることがあります。自宅や学校のトイレは問題なくても、お店のトイレや公衆トイレなど外出先では行けないということを耳にする事が多いです。
自宅以外のトイレに行く事ができなくなると、外出を楽しむ余裕が無くなったり、場合によっては途中で我慢できずに漏らしてしまうといったことにも繋がりかねません。
ではなぜ自宅以外のトイレに行くのを嫌がるのか、その理由について調べてまとめてみした。
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外出先のトイレが苦手な理由
発達障害のある子供が店舗やショッピングモールなどのお店のトイレや、公共施設や公園などの公衆トイレに入るのを怖がったり嫌がる理由をしらべてみました。
トイレが苦手になる主な理由には発達障害に見られる、見通しの付かない不安や、音な臭いなどに関する感覚過敏などの問題が多い傾向にあります。
初めて利用するトイレで不安
発達に遅れのある子は、初めての場所や物事に対して見通しが付かないと、とても強い不安を抱きます。
トイレに関しても同じで、場所や作りが違うと、普段のトイレと勝手が違うため、「何をすればよいのか」「どのように使えばよいのか」と不安になってしまいます。
ジェットタオルの音が怖い
聴覚過敏を持つ発達障害の子供に多い特徴として、店舗内のトイレや新しい公衆トイレなどに設置してあるジェットタオル(エアータオルやハンドドライヤーとも)が怖いというものがあります。
ジェットタオルは一見何をする機械が見た目で分からず、不意に大きな音がするので音に敏感な子はとても怖く感じます。
ジェットタオルが嫌いな子だと、トイレに入る前にジェットタオルが有るかを確認したり、ジェットタオルがありそうなトイレだと入ること自体を嫌がるということもあります。
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換気扇や脱臭装置などの音が苦手
音に対して敏感な聴覚過敏の特徴を持つ子供の場合には、さまざまな音に対して苦手意識を持ったり怖いと感じる事があります。
トイレでは換気扇のファンの音や、脱臭装置のモーター音などの音に対して過剰に反応して不安を感じてしまうことがあります。
同様に音に敏感な女の子では、用を足している際の音を消す「音姫」の音が怖いと感じることもあります。このような子の場合には、自動で「音姫」の鳴るトイレには注意が必要となります。
聴覚過敏だと健常な人が気が付かない程度の音や聞き取れないような音を感じ取ってしまうこともありるので、聴覚過敏を持っている子がトイレに入るのを嫌がる場合は何か苦手な音が聞こえているという可能性があります。
ウォシュレットが怖い
ウォシュレットなどの装置も子供がトイレに不安を感じる要因の一つになります。
自宅や行きなれたトイレにウォシュレットが無い場合だと、単純に見慣れておらず何をする機械なのか怖いと思うことがあります。
また、たくさんのボタンやランプなどが付いていると、何かが起こるのではないかと不安に思う場合もあります。
過去に間違ってウォシュレットを操作してしまい、不意にノズルの動いたり、急にお尻に水やお湯がかかってビックリしたという経験があると、ウォシュレットを見た際に今回もいきなり水をかけられるのではと思ってしまい怖がることもあります。
自動洗浄が怖い
最近のトイレは人が便座から立ち上がると自動で水が流れる自動洗浄タイプのものがあります。これも発達障害の子にとっては、意図せずに水が流れるためビックリしたり不安を感じる事があります。
また、ごく稀に自動で便座の蓋が開閉するタイプのトイレもありますが、こちらも意図せずに便座の蓋が動くので怖いと思うこともあるようです。
臭いや香りが苦手
臭いや香りに対してとても敏感となる嗅覚過敏の特徴を持っている子供の場合には、トイレの臭いが苦手だということもあります。
基本的にトイレは排泄をする場所なので、ウンチやおしっこの臭いや、アンモニア臭などがします。一見綺麗なトイレで私たちが臭いなどを感じない場合でも、嗅覚過敏の子供には嫌な臭いを感じ取ることもあります。
また、嗅覚過敏の子には芳香剤や洗剤や消毒液の臭いに対しても、刺激を感じたり臭いと思うこともあるので注意が必要です。
トイレの狭い空間が苦手
狭い空間や圧迫感の有る場所が苦手だという子もいます。トイレ自体は基本的に狭い空間であり、個室ともなるとより狭く圧迫感があります。
狭い空間が苦手な場合は広いトイレを探して利用したり、個室の場合にはドアを開けて外で保護者が見守るという方法を取りましょう。
場合によっては比較的スペースの有る身体障害者用のトイレや多目的トイレ、オムツ交換台やベビーチェアのあるトイレなどを借りるという方法があります。
決まったトイレ以外ではやらないと決めている
自閉症などの発達障害の子供の場合、さまざまなこだわりを持っていたり、自分で作ったルールを頑なに守り続けるという特徴を持っている場合があります。
このような場合には自分で決めたトイレ以外では用を足さなかったり、決まった時間になるまでトイレに行きたがらないということがあります。
トイレが薄暗い
昔の造りのトイレや古い公衆トイレなどは、トイレ自体が薄暗いということがあります。
暗い場所に対して子供は基本的に怖いと感じるので、薄暗いトイレだと入るのを嫌がることがあります。
建物や施設内でもトイレは北側などに作られることが多く、日光が入りにくいことがあるので、薄暗い場所が苦手だと入りたがらないこともあります。
トイレが汚い
汚いトイレだと人は不快を感じるので、トイレに入るのを嫌がることに繋がります。
古いトイレだと壁や床などの汚れや染みに対して苦手意識を持ったり、便器や便座などが汚れていると嫌だと感じてしまいます。
また、汚いトイレだと薄暗かったり、臭いにおいがする事も多いので、これらの理由もトイレを避ける原因になります。
建物や入り口や場所に圧倒される
発達障害の子は建物の造りや構造に圧倒されてしまい、中に入ることができないという場合があります。
特に「威圧感のあるもの」「大きいもの」「暗いもの」「派手なもの」「細かいものがたくさんあるもの」「鬱蒼とした場所」「理解のできないもの」などは苦手な傾向にあり、博物館や美術館、神社やお寺などに入るのを嫌がる子が多いです。
このような特徴がある場合には、公衆トイレに入れなかったり、施設のトイレの入り口で嫌がるということがあります。
洋式便座がない
一般の家庭のトイレは洋式便座であることが多く、普段も洋式のトイレで排尿や排便をする事が多いと思います。
そのため、トイレは必ず洋式だと思っていたり、和式の便座はトイレだと認識していない場合や、単純に和式のトイレはやり方が分からないということもあります。
また、自閉症などの発達障害の子供は、体幹が弱かったり体の筋肉の発達が弱い特徴も見られます。和式の便座はしゃがみ込んで足で自分の体を支えなくてはいけないため、体の発達が弱いと使うことができないという場合もあります。
少し古い公衆トイレやお店の便所などでは、洋式便座が無く和式の便器しか無い場合もあるので、ここでは排尿や排便をする事ができないと嫌がることもあります。
和式便座の場合にはかぶせるだけで洋式便座の洋に使うことのできる商品もあるので、場合によっては使ってみるのも良いかと思います。
余談ですが、子供の中には和式便座スタイルでないと踏ん張ることができないので、洋式便座でも和式のように座ってする子も時折見られたりします。
便座や便器のサイズが合わない
便座や便器のサイズや形状が自分に合わないと、用を足すことができないという子供も居ます。
年齢の小さい子などの場合には便座が大きすぎて、お尻の位置が安定しない場合や、足が床に届かずぶらぶらしてしまい、力を入れて踏ん張ることができないという事があります。
トイレの便器が体のサイズに合わない場合には、補助便座を使用したり、足元に台を置いて足が付くようにしてあげましょう。また、何かに掴まないと安定がしない場合には、側面の壁などに手すりをつけたり、持ち手が付いた補助便座を使うと良いでしょう。
その他の理由
今まで経験した中では上記の内容以外のちょっとした理由でトイレが苦手になってしまった子供もいました。
正しい格好で排尿ができない
これは男の子の場合ですが、立ち便器でおしっこをする際にズボンのチャックだけを開けてするのが難しく、ズボンとパンツを全部下げてお尻を出して用を足す子でした。
年齢が小さいうちはそれでも良かったのですが、ある程度の年齢になるとお尻が出ているのを恥ずかしいと思うようになり、公衆トイレなど人に見られる場所ではトイレに行きたがらなくなってしまいました。
トイレで注意をされた
公衆トイレの洗面台で手を洗った際につい水で遊んでしまいそれを他の人に注意された経験を持つ子や、立ち便器で他の人の用を足す様子を覗き込んでしまい怒られた子などは、トイレで怒られてしまったことに対して恐怖感を持ってしまい、それ以降はそのときのトイレには行きたがらなくなってしまったことがあります。
まとめ
自閉症などの発達障害の子供がトイレを嫌がったり、行きたがらないのには何らかの理由があります。その理由の多くは、不安や恐怖などを感じていることが原因です。
嫌いなトイレに対し無理に行かせようとすると、余計に苦手意識を持ってしまうこともあります。
まずは本人の気持ちになり、不安に感じていることや、怖いと思っていることを理解してあげ、一緒にトイレに入ったり、補助をする道具を用意する、不安に感じていることを説明して理解を促すなど周囲の人がフォローをしてあげることが重要です。
まずは本人が行けるトイレやタイミングで用を足してもらい、経験を増やし自信をつけてあげましょう。