クレーン行動・クレーン現象 – 自閉症と発達障害の特徴・特性

   2017/06/03

クレーン行動・クレーン現象

自閉症や発達障害の大きな特徴の一つでもある「クレーン行動」「クレーン現象」。
よく耳にする事も多いかと思いますが、実際にどのような行為なのでしょうか?

クレーン現象とは

「クレーン行動」「クレーン現象」とは、発達障害や自閉症の子供が何かを要求するときに、親や周りの大人の手を取ったり、手を引っ張って物事を要求する意思表示の行動です。

自分自身の手を使わず他人の手を持ってクレーンのアームのように動かすことから「クレーン行動」「クレーン現象」と呼ばれています。

クレーン現象は自閉症児の行動の大きな特徴と一つとなっていますが、言葉が未発達な1~2歳の健常児でも行うことがあるため、クレーン現象を行うからといって自閉症であるとは限りません。

クレーン現象の目的と意味

発達障害の子供は発語などの意思表示に乏しいため、「何かが欲しい」「何かをして欲しい」という場合に、周囲の大人の手を直接引っ張って物事を伝えようとします。

健常児だと、何かが欲しい場合に物の名前がわからなくても、指差しをして意思を伝えようとします。
しかし、自閉症や発達障害の子供の場合、指差し行為自体が物を指し示す意味だということを理解していないため、指差しを行わない場合があります。

自閉症などの発達障害の子供の場合は、相手の気持ちよりも興味のある物や行動にしか興味を示さないため、クレーンとなる人の気持ちや状態にかまわず手を取ってクレーン現象を行います。
また、相手の気持ちが分からないため、自分の要求や取りたい物はこの人(クレーンの人)も当然知っているだろうという考えになっている場合も有ります。

クレーン現象の例

クレーン行動の具体的な例だと「高いところのものを取って欲しい」「テレビをつけて欲しい」「食べ物を出して欲しい」などが有ります。
クレーン行動に近い行動としては「リモコンを操作して欲しい」「スマートフォンを使いたい」時などに、親の手にリモコンやスマートフォンを手渡すなどがあります。

言葉が発達すると言葉による要求が行えるようになるため、クレーン行動を行うことが徐々に無くなっていきます。
言葉を持たない場合でも、徐々に指差しを覚えたり、要求のある物や行動が描かれた絵カードを利用することで、絵カードによる意思表示が出来るようになる場合もあります。

クレーン行動を取る場合の多くは相手に何かを要求する場合が大半ですが、中には自分では難しいことを行う際に『代りにやってもらおう』という様子や、何かをお願いした際などに『お前がやれよ』と言う様子で手を取る事も見られます。

まとめ

クレーン行動・クレーン現象は自閉症の子供の数少ない意思表示の手段であるため、クレーン現象が有っても止めさせる必要はありません。

むしろクレーン行動を行う中で、「おもちゃが欲しかったんだね」「リモコンのボタンを押したかったんだね」など、積極的に物の名前や動詞を話しかけることでコミュニケーションや言葉の発達へと繋げていくことが重要です。

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