自閉症や発達障害の偏食 食べ物へのこだわりと好き嫌いが多い
自閉症や発達障害の偏食 食べ物へのこだわりと好き嫌いが多い
発達障害の子供は偏食(食べ物の好き嫌い)が多いことがあります。
偏食が多い理由には、食べ物へのこだわり、味覚・嗅覚・触覚が敏感であるため食べ物の好き嫌いが偏ってしまうことがあります。
偏食には単純に「野菜が嫌い」「肉が嫌い」と言ったものから、「同じ食べ物でも特定の店やメーカーの商品しか食べない」「特定の色の食べ物しか食べない」等が見られます。
偏食の理由
偏食や食べ物へのこだわりには様々な理由が考えられますが、代表的なものをしらべてまとめてみました。
偏食も極度なものになってしまうと、やせたり肥満になってしまう原因でもあるので注意が必要になります。
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味が嫌い
これはどんな人でも共通ですが、好きな味でないものは食べたくありません。
発達障害の子供は味覚の幅や感じ方が健常者と違う場合があるので、私たちが美味しいと思うものでも不味いと思ったり苦手な味と感じている場合もあります。
触覚や嗅覚が理由の偏食
発達障害の子供は感覚や嗅覚が健常者よりも敏感で有ったり、別の感じ方をしている場合があります。
私たちが柔らかく炊けたご飯を食べていても、発達障害の子供達は砂利を食べているような感覚かも知れません。
臭いに関しても私たちが良い臭いと思っていても、発達障害の子供達は苦手な臭いである場合があります。
これは納豆やキムチやくさやの臭いが好きという人もいれば、臭くて嫌いという人がいるのと同じものです。
温度が理由の偏食
発達障害の子供は温度に過敏で有る場合があります。
その為、食べ物が少しでも熱かったり冷たかったりすると口にするのを嫌がる場合があります。
温度に関してですが、こだわりの一つとして「この食べ物は温かくなくてはいけない」「この食べ物は冷たくなくてはいけない」と思っている場合があります。
ご飯やお味噌汁などが温かいうちは食べることが出来ても、冷めてしまうと食べることが出来なくなる場合はこのパターンのこだわりかも知れません。
温度にかんしてこだわっている場合には、温度が変わってしまったら暖めなおしたり冷やしなおしたりすることで食べられるようになる場合もあります。
視覚が理由の偏食
見た目が苦手であることで偏食をしたり特定の食べ物を口にすることが出来ない子供もいます。
そのような場合は1つのお皿にたくさんの食べ物を乗せず1品ずつにする、細かく切ったりして形状を変える、ケチャップやマヨネーズなど色の付いた調味料をかけないなどで改善する場合があります。
時折耳にする偏食としては自閉症の子供は「白い食べ物を好む」というものがあり、白米、シチュー、食パンの耳以外、お豆腐などが大好きという場合も多く見られます。
お菓子やパンなどパッケージに入っている場合に、パッケージの見た目が嫌で食べないという事や、お店でパッケージを見て買ったものの中身が思っていたのと違うため食べることが出来ないという場合も有ります。
イメージが理由の偏食
発達障害の子供はイメージや記憶力が優れている場合も多く、食べ物としては苦手ではないのですがイメージとして苦手になっている場合があります。
例えば「魚を食べた際に骨が刺さって痛い思いをした」「お味噌汁を飲んだときにやけどをした」「レストランで食べている際にお皿の割れる大きな音がした」等があります。
食べ物に対して本人が怖かったり嫌だったというイメージが付いてしまうと、その際に食べていた物自体も苦手になってしまうことがあります。
こだわりによる偏食
発達障害の大きな特徴としてこだわりが強いというものがあります。
食べ物に関しても「この食べ物はこうであるべきだ」という思いやこだわりから偏食に繋がる場合もあります。
例としては「カレーはおじいちゃんの家で食べるもの」「月曜日の晩御飯はカレーでなければならない」「お味噌汁は温かいものだから冷めたら飲まない」「牛乳は学校の給食だけで飲むもの」などです。
食べず嫌い
今までに食べたことがない物だと「これは食べるものでは無い」と思い込んだり、単純に「食べたことが無いので嫌だ」という場合も有ります。
この場合一度口にすると好みの味で食べ始める事もあるので、最初に小さくちぎったりひとかけらだけを食べる練習をすることで食べず嫌いを克服できる事もあります。
安心して食べられる
同じ食べ物を好んで食べる場合は味が好きなこと以外にも、安心して食べることが出来ると思っている場合も有ります。
安心の理由にはいくつか考えられますが、「いつでも食べることが出来る」「食べなれている」「適量である」などです。
また、自分でお箸やフォークを使って食べることが出来る食品であると、自分のペースで食事を行えるというのも理由の一つになる事も有ります。
薬の影響
薬を服用している場合には薬の影響で食欲が増えたり、逆に食べることが出来なくなる事も有ります。
薬を飲んだ際には薬の効果や副作用なども頭に入れておく必要があります。
給食について
偏食やこだわりが強い子どもであると、給食の時間も大きな負担になる事も考えられます。学校によっても教室で食べたり食堂で食べたりと違いが有り、先生やお友達と食べることなど食事環境が家とは大きく変わります。量や味付けや食器なども家庭の料理とは違って戸惑ってしまう事も有ります。
先生によって給食の指導も「必ず食べなくてはいけない」「嫌いなら残しても良い」など人によって様々です。食事に関する問題がある場合には予め先生に相談や連絡を行い、子供の特徴をしっかりと理解してもらういましょう。
どうしても全く食べられないメニューの場合には、別のメニューを用意してもらったり持参した食べ物を食べることの出来るような配慮も必要となります。
逆に環境が変わることで、食べられないものでも食べることが出来るようになる場合も有ります。お母さんたちからは「家では絶対食べないのに学校では食べることが出来てビックリしている」という話も良く聞きます。これは「給食は食べるものだ」と思い込んだり、「お友達が食べてるから食べてみるか」と挑戦できているのだと思います。
まとめ
偏食や食べ物の好き嫌いには様々な理由があります。
そのため、偏食や食べ物が嫌いな理由をその子の気持ちにや状況に当てはめて考えてみるのも大切です。
偏食が有る場合に苦手な食べ物への挑戦は必要ですが、極端に太ってしまったり痩せてしまったりしていなければ、無理に食べさせる必要はありません。苦手なことを無理やり行ってしまうと、食事自体が嫌いになってしまうこともあります。
一生ひとつの食べ物しか食べられないという発達障害や自閉症の人はおらず、時間が立つにつれこだわりが変わっていくように、食べ物へのこだわりも徐々に変化していきます。成長していくなかで食べられるものが増えたり、逆に食べられたものを食べなくなったりしていきます。
家では食べなくても学校の給食や調理方法を変えれば食べられるという事もあるので、学校との連携や様々な調理方法で試すなどを行い、本人が受け入れられる食べ物を少しずつ増やすことが重要となります。