行動の切り替えが苦手 – 自閉症と発達障害の特徴・特性
行動の切り替えが苦手
発達障害や自閉症の子供には行動の切り替えが苦手という特徴を持つ場合があります。
遊びに夢中になって中々終わりにする事が出来なかったり、次の行動を行うのに時間がかかったりするのがそれにあたります。
勉強や宿題をなかなか始められなかったり、お風呂に入るのが遅いなども「行動の切り替えが難しい」ために起こっているとも考えられます。
行動の切り替えが難しい理由
行動の切り替えが難しい理由には様々な事が考えられられますが、代表的なものを調べてまとめてみました。
次に行うことの予測や理解できていない
次に行うことの予測や理解できていない場合には予定表やスケジュール表などで行動の流れを事前に意識させると良いでしょう。
予定表やスケジュール表も文字だけではなく、行く場所や行うことの絵や写真をつけたり、時計を読める場合には時間も書いてあげると効果的です。
また予定を教えるのは直前ではなく、その日の朝や場合によっては前日などの方が効果がある事もあります。
次に行うことを忘れてしまう
次に行うことを忘れてしまう場合にはその都度声をかけて、次に行うことを促したり、よく目にする場所に予定表や次に行うことの絵カードなどを貼っておくと効果があります。
次に行うのが苦手な事である
次に行うのが苦手な事である場合は次に行う事の理解は出来ているものの、気持ちが進まず行動に移せなくなってしまいます。
その場合には苦手な事を緩和する方法を考えたり、周りがその行動を行いやすいように補助をするのが効果的です。
苦手なことが終わったら「ゲームをして良いよ」「おやつを食べて良いよ」など、その次に本人が好きな予定を与えるのも良いと思います。
現在行っている事が楽しいため次の行動に移せない
健常な子供も同じですが、好きなことや楽しい事を行っているとそれを止めたくないため、次の行動に移行するのが難しくなります。現在行っている事が楽しいため次の行動に移せない場合は、「止めなさい」「終わりにしなさい」などの声かけは効果的ではありません。
対応としては、事前に何度か次に行うことを声かけして予告し、時計やタイマー、スケジュール表などで時間を意識させます。
また、時間に余裕の有る場合には本人が納得するまで行動に付き合ってあげることで、「自分の行動を受け入れてもらった」と満足し納得して次の行動に移せる場合も有ります。ただし、本人のわがままや他人を巻き込んでしまう行為で有る場合にはしっかりとした態度で「それは出来ません」と否定することも大事です。
感情や行動のコントロールが難しい
発達障害の子供は感情や行動のコントロールを行うのが難しいという特徴が有ります。
楽しいことや好きなことで遊び続けたいという気持ちを抑えられず、その物事に夢中になってしまい終わりに出来なかったり、次の行動をするのに時間がかかってしまうというものです。
時間の感覚が乏しいため
発達障害の子供は時間の概念や時間の感覚が乏しい場合があります。
通常の人の時間の感覚は過去から未来にかけて1本の線で繋がっていますが、発達障害の子供は点で繋がっているといわれています。
そのため、周りから見れば現在行っている行動が長時間でいい加減に次の行動に移しなさいと思っても、本人からすればまだ数秒しか楽しんでいないと感じている場合があります。
また、時間の感覚が乏しい場合には、時計やタイマーなど目に見えるものを使って、時間を意識させてみるのも効果が有ります。
行動の切り替えをスムーズにする対応策
行動の切り替えをスムーズに行わせる対応方法は、その子供の特徴や状況により様々ですが、一般的な方法には以下のものが有ります。
見通しをつけさせる
物事の見通しが付かないと、「今行っている事はいつまでやっていいのか」「次は何を行うのか」がわからなくなってしまいます。
あらかじめ見通しをつけてあげると、今後の行動を理解して動きやすくなります。
見通しをつける方法にはスケジュールや予定表を使ったり、口頭で説明や予告する方法などが有ります。
見通しが変わった場合は早めに教えてあげるのも必要になります。
タイマーや時計を使う
時間の感覚や概念が分からない場合には、時計やタイマーなどを使う方法が効果的です。
タイマーは「ブザーが鳴ったら終了」、時計では「針がこの位置になったら終わり」「表示が何時になったらおしまい」など約束をすると良いでしょう。
時計やタイマーは目に見えない時間というものを形にしたものなので、視界からの情報として時間を意識して行動しやすくなります。
予定表やスケジュールを使う
毎日決まった行動を行う場合には一日の予定表やスケジュール表を使うのも効果的です。
予定表やスケジュールを使うことで、その日に行う事を視界から確認することが出来ます。
予定表には文字以外にもイラストを添えたり、実際にその物事を行う時間も書き入れると効果が有ります。
なお、予定表どおりの生活を行いすぎると、突発的に普段の流れが崩れてしまった場合に混乱したりパニックになったりする事もあるので注意が必要です。
まとめ
次の行動に切り替えることが出来ない理由は様々です。
その時やその前後の様子を見て、行動の切り替えが出来ない理由を見つけ、効果的な促しをするのが必要になります。
行動の切り替えを行うには本人に理解と納得してもらうのが大前提です。納得が出来ないと不安になったりパニックになってしまいます。
そのためには落ち着いているときに一日の流れやその後の行動を説明し約束をするのが効果的です。
「食事」「入浴」「睡眠」などの毎日行う行動の場合にはルールとして時間を決めてしまうのも良いと思います。
集団での活動の場合はお友達が次の行動を行っている様子を見せて、本人にも今は次の行動をしなければならないのだなと思わせるのも良いでしょう。
行動の切り替えは発達障害の子供が最も不得意とする分野でも有ります。
時間はかかりますが、本人が納得できる行動の切り替え方法を行うことで、徐々に対応も出来るようになって行きます。