ウエスト症候群とは

 

ウエスト症候群とは

ウエスト症候群(West syndrome)とは、「乳児スパスム」「精神運動発達の停止」「ヒプスアリスミア」を特徴とする重度のてんかん症候群で「点頭てんかん」と呼ばれる事も有ります。

1841年にイギリスの医師であるウィリアム・J・ウエストにより、癲癇発作を持つ彼自身の息子の症状から報告されました。

大田原症候群ドラベ症候群レノックス・ガストー症候群などと共に、乳幼児破局てんかんの一つに数えられています。

ウエスト症候群の原因

ウエスト症候群の原因は遺伝子の異常、脳機能の障害、脳の形成異常、急性脳炎後遺症、頭部への外傷、低酸素脳症、髄膜脳炎、代謝疾患など様々に及びます。

原因と考えられている遺伝子にはARX遺伝子、STK9遺伝子、CDKL5遺伝子などが研究の結果わかってきています。

大田原症候群の患者が成長することでウエスト症候群に移行する事も有ります。

ウエスト症候群は原因が特定または推定されている場合「症候性ウエスト症候群」に分類され、原因が特定されていない場合には「潜因性ウエスト症候群」または「無症候性ウエスト症候群」に分類されます。

ウエスト症候群の患者数

ウエスト症候群の患者数は出生1000人に対して0.2%から0.4%程度とされています。日本では出生1万人に対し3.1人との報告も有ります。

ウエスト症候群の特徴

国際てんかん分類では「乳児スパスム」「精神運動発達の停止」「ヒプスアリスミア」のうち2つ以上が見られる場合にウエスト症候群と診断をしています。


乳児スパスム

乳児スパスムとは乳児期に見られる癲癇による筋肉の痙攣のことを指します。
癲癇の際に手足や頭部などが小さくピクッと動く事がスパスムとなります。
点頭とは頭を下げて頷く動作を指す言葉で、座位での点頭てんかんではスパスムにより頭部が下がりあたかも頷いているように見えることが有ります。

なお、ウエスト症候群のスパスムでは体を伸ばすような動き、眼球の動き、発作時の発生などが見られる事も有ります。

精神運動発達の停止

精神運動発達の停止とは脳が著しく発達する時期に、多くの癲癇発作が発生することで脳の成長が阻害され精神の発達、運動機能の発達が妨げられます。
ウエスト症候群の95%の精神運動発達遅滞が見られるとされています。

また、知的能力の発達も衰えが見られ重度から中度の知的障害となります。
しかし、早期の発見により治療が開始されれば、発達遅滞は無く健常者とほぼ同等の生活を送れることも有ります。

ヒプスアリスミア

ヒプスアリスミアとは脳波に定まったリズムが見られない状態を指す言葉で、一般的な脳波のリズムや他の癲癇で見られる脳波とは違い、乱れて不規則な脳波が計測されます。

ウエスト症候群が発症すると上記の3定義のほか、「笑わなくなる」「不機嫌となる」「周囲への関心が見られなくなる」などの特徴も見られることも有ります。

ウエスト症候群は生後3ヶ月から12ヶ月頃までに発症し、大半が生後3ヵ月から9月の間に発生します。なお、乳児のみを診断基準としているため、定義上3歳未満までの疾患となっています。

ウエスト症候群の治療方法

ウエスト症候群の治療方法には抗てんかん薬の使用、ビタミンB6の投与、経口ステロイド剤の使用、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の使用などが有ります。

ACTH療法では50~80%が発作の症状が軽くなるとされていますが、その後は30%~40%がレノックス・ガストー症候群に移行するとされています。
また、長期的にはウエスト症候群の患者の約半数において癲癇発作が持続するとされています。

脳腫瘍や脳の奇形などが原因の場合には脳の外科手術を行う場合や、脳梁と呼ばれる左右の脳を繋ぐ束の切断手術を行う事も有ります。

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