発達障害の子供が、悪口や暴言、不適切な言葉遣いをする理由
悪口や暴言、不適切な言葉遣いをする理由
発達障害を持つ子供の中には、親やお友達に対して悪口を言ってしまったり、不適切な言葉使いをしてしまうということがあります。
よく耳にするものには「相手への悪口」「相手の容姿や特徴への指摘」などから、「ふざけんな」「ぶっ飛ばしてやる」「消えろ」と言うような暴力的な言葉を言うこともあります。
悪い言葉遣いをするとお友達との良好な関係を築くことが難しくなるだけでなく、学校などでは問題児だと見られてしまう恐れもあります。
ではどの様な理由から発達障害を持つ子供は悪い言葉遣いをしてしまうのでしょうか。
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不適切な発言をする理由
悪口や暴言などの不適切な言葉遣いをしてしまうのには、どの様な理由が有るのか調べてまとめてみました。
表現できる言葉が少ない
自閉症などの発達障害の子供はコミュニケーション能力に困難を抱えていることが多いです。会話をする事が出来ても適切な言葉がわからなかったり、言葉を知っていてもとっさに正しい言葉を使うことが難しい事があります。
そのため、嫌な事を断ろうとした際に「やめてください」と言いたくても、とっさに言葉が出てこず「ふざけんな」「近寄るな」など使いやすい言葉を使ってしまうということもあります。
言葉を正しく理解していない
汚い言葉遣いを正しい言葉遣いだと思って使っているということもあります。
例えば物を借りたいときに「よこせ」といったり、何かを食べたいときに「食わせろ」などです。本来は正しい言葉遣いではないのですが、何かに影響されて悪い言葉遣いを覚えてしまうと、これが正しい使い方だと学習してしていることもあります。
また、ある程度の年齢になり、乱暴な言葉遣いが大人びてカッコいいと思うようになると悪い言葉遣いを意識的に使ってしまう事もあります。
家族の影響
子供が生活をしている上で一番接する時間が長いのは家族です。そのため、悪い言葉遣いをする場合、家族からの影響であると言う事が多いです。
家庭内で悪い言葉を使っていないと思っても、子供が言うことを聞かないのでイライラしてしまった際、つい強い口調や悪い言葉を言ってしまうと言う事もあります。特に子供を怒ったり注意をする際は、感情的になり悪い言葉でなくても語尾が強くなったり、高圧的な言葉遣いになる事が多くなってしまいます。
また、兄弟や姉妹からの影響を受けることも多く、反抗期の兄弟の真似をしたり、兄弟喧嘩の中で悪い言葉を覚えてしまうということもあります。
お友達からの影響
学校などのお友達から影響され、悪い言葉遣いを覚えてしまうということもあります。特に年齢の低い時には、汚い言葉や悪い言葉を面白いと思って記憶してしまう事が多いです。
この場合、言葉の意味を理解せずに覚えてしまうことも多く、話す際も正しい意味や内容を理解せずに使っていると言う事もあります。
また会話の内容だけでなく、お友達のしぐさや口癖なども面白い行動だと感じ、覚えて真似してしまう事も多いです。
漫画やアニメやゲームなどの影響
子供の頃は漫画やアニメ、ゲームなどの影響で悪い言葉を言ってしまう事もあります。
漫画やアニメやゲームは映像や画像と共に、人の興味を引くような構成になっているため、子供も影響うけやすくなります。また、主人公やキザなキャラクターが使っている言葉遣いを『カッコ良い』と思って真似をしてしまうということもあります。
漫画やアニメやゲームなどに影響されている場合は一時的である事が多く、年齢が上がって興味が無くなったり、自分の中でのブームが過ぎてしまうと、その言葉遣いも消えてしまうことが多いです。
汚言症である
汚言症(Coprolalia)とは、チック症の一つで、突発的に悪い言葉、汚い言葉、卑猥な言葉などが出てしまう障害です。
汚言症であると場の状況や会話の内容に関係なく無意識に悪い言葉を言ってしまい、本人の意思では止めることが出来ません。
子供が相手を馬鹿にしたり会話の中でふざけて悪い言葉を言う場合は、汚言症には当てはまりません。
衝動性が強い
衝動性とは考える前に突発的に行動をしてしまうことで、衝動的行動を取ってしまう発達障害にはADHD(注意欠陥・多動性障害)が知られています。また、自閉症の中にも衝動的に行動してしまう特徴を持つ人がいます。
いわゆるキレやすい子供は衝動性が強いとも言えます。
衝動性が強いと、相手からいやな事をされた場合や、叩かれたり体が接触した際などに、とっさに「ふざけんな!」「痛てぇだろ!」「ぶっとばす」など良くない言葉で反応してしまう事があります。
なお、言葉だけでなく手や足などもでて反撃してしまう事もあるので注意が必要となります。
相手の気持ちになるのが難しい
発達障害の子供は相手の気持ちを考えたり、相手の気持ちを感じ取るのが苦手だということが多いです。そのために汚い言葉遣いや悪い言葉遣いをした際に、相手がどのように思うかを考えることが出来ずに、相手が傷つくような言葉を言ってしまう事もあります。
相手の気持ちを理解できないために、悪い言葉を使ったことで相手から嫌われるといったことも分からず、気が付くとお友達が居なくなってしまったと言う事もあります。
場の状況を考えたりする事も苦手です。場の状況が理解できないと、沢山の人が居るような場所や、静かにしなくてはいけない場所でも、相手に対して大きな声で暴言を吐いてしまうということがあります。
不適切な発言への対処法
不適切な言葉への対処法にはその状況や原因により様々なものがあります
基本的には「悪い言葉を覚えてしまった原因から遠ざける」「悪い言葉で相手がどう思うか考えさせる」「正しい言葉遣いを教える」といった方法があります。
悪い言葉の影響元から離す
何かの要因から子供が悪い言葉を覚えてしまった場合には、その要因となるものから離すのも方法の一つです。
家族や友達など子供本人と関係する人物から影響を受けている場合は離すのは難しいですが、ゲームやアニメや漫画などから影響を受けている場合にはそれから離したり、影響を受けない程度の接し方にする必要があります。
逆に影響を受けやすい特徴がある子供の場合には、正しい言葉遣いをしているテレビ番組やアニメなどに接する機会を増やし、きれいな言葉遣いを学べるようにするのも良いでしょう。
何故その言葉を使ったか聞く
悪い言葉を使ってしまった際には、何故その言葉を使ったか本人に聞くことも重要です。
本人に聞くことで『何を相手に伝えたかったのか』『言葉では出せなかった思いや気持ち』『言葉の意味の理解』『何処でその言葉を覚えたのか』などを知ることができ、そのときの気持ちや場面に適した正しい言葉遣いを理解するきっかけにもなります。
自分が言われてどう思うか考えさせる
発達障害の子供は、相手の立場になったり相手の気持ちを考えることが苦手です。
そのため、悪い言葉を言ってしまった際には「自分が言われたらどう思うか」を考えさせる必要があります。
相手の気持ちを理解するのが難しい場合には、実際に相手に言った言葉をそのまま本人に聞かせて実体験させ、どう感じたかを考えさせると良いでしょう。
悪い言葉遣いで話しかけてしまった際には、相手から「こういう気持ちになったよ」と嫌な気持ちになった事を直接本人に伝えてあげることも効果があります。
自分が言った言葉で相手が傷ついてしまったことを理解した際には、相手に対して謝らせ反省を促すことも重要です。
なお、相手に言った言葉を注意する場合は、その場で注意をするようにしましょう。後からだと本人も忘れてしまい、何故注意を受けているのかが分からなくなってしまいます。
正しい言葉遣いを教える
悪い言葉を使ってしまっている場合、その言葉しか知らなかったり、悪い言葉が正しい言葉遣いだと思っている事もあります。そのような場合には正しい言葉遣いを教えてあげる必要があります。
暴言や悪い言葉で話してしまうのは、自分の気持ちや思いを正しく伝えることが出来ないという事でもあります。
言葉を正しく教えることで、その場に適した言葉を使えるようになるだけでなく、言葉の意味を理解したり、そのときの状況にあった言葉などを学ぶ事にも繋がります。
逆に駄目な言葉を使った際には、何故駄目な言葉遣いなのかという事を説明し、納得をしてもらうと悪い言葉を減らすきっかけにもなります。
良い発言が出来たら褒める
良い言葉遣いができたら褒めてあげたり、その要求に応じてあげることも重要です。また、悪い言葉遣いをしてしまった際に本人が気付いて直したり、こちらからの指摘で治す事が出来た際にも褒めてあげましょう。
正しい言葉遣いが出来たことで褒められると嬉しいだけでなく、本人の経験や自信にも繋がります。
相手の反応を楽しんでいる場合
悪い言葉遣いで相手の反応を楽しんでいる場合には、無視をしたり反応をしない事が重要です。このような場合、相手が怒る様子や、注意をされること事態を楽しんでいることが多いためです。
悪い言葉や態度でも反応をしてしまうと、それを学んでしまいコミュニケーションの方法が暴言で相手を怒らせて気を引くという方法になってしまう事もあります。
悪い言葉で相手の反応を楽しんでいる場合には、正しい言葉遣いでの会話を通してたコミュニケーション方法を教えてあげましょう。
お友達から注意をさせる
悪い言葉を言った際に周囲の大人が注意をしても「うるさい」と思われるだけで聞く耳を持たない事もあります。
その場合には悪い言葉を言われたお友達から注意をしてもらったり、悪い言葉を言われて『嫌な思いをした』『傷ついた』という事を伝えてもらうという方法もあります。
子供間のコミュニケーションの場合、周囲の大人が注意をするよりも同じ子供同士から注意を受けたほうが効果が有ることも多いです。
また、注意も「良くない」「駄目」という方法では無く、「かっこ悪い」「恥ずかしい」など自尊心に訴えるような注意をされると効果が見られることもあります。
まとめ
発達障害の子供が悪口や暴言を言ってしまうのには、障害の特性や言葉の理解力、コミュニケーション方法など様々な理由があります。
暴言を話してしまうということは、自分の思いや気持ちを正しく相手に伝えることが出来ないと取ることも出来ます。
悪い言葉を言ってしまった場合には、悪い言葉を使っては駄目なことをしっかり注意すると共に、その場に適した正しい言葉遣いを教えてあげましょう。
言葉が悪いと本人の印象が悪くなるばかりでなく、良好な人間関係を築くのが難しくなり、結果的に本人が困ることになってしまいます。
悪い言葉遣いをしている場合には、本人の気持ちになり理由や原因を考えて注意や指導をする事が重要になります。