自閉症の子供は目が回らない – 自閉症と発達障害の特徴・特性

   2017/05/07

自閉症の子供は目が回らない

自閉症の子供はその場でぐるぐる回ったりするのが好きな事が多く、長時間回ったり何度も回ったりすることが有ります。
普通の人でしたら5回も回れば真っ直ぐに歩けないほどですが、自閉症の子は何十回と回っても目が回らずに真っ直ぐ歩けたりすることがあります。

また、自閉症の特徴として「目が回らない」「目が回りにくい」という話を耳にすることも多いと思います。
では、なぜ自閉症の子供は目が回らなかったり、クルクルと回ったりするのを楽しむのでしょうか?

自閉症は本当に目が回りにくいのか

一般的に自閉症の人は目が回りにくいといわれていますが、実際にそのような傾向はあるのでしょうか?
調べてみたところ1982年と古いものにはなりますが「回転性眼振検査における自閉児の前庭機能に関する一考察(PDFファイル)」という研究結果がありました。

この研究では通常の学級に所属している園児や小学生と、情緒障害学級(当時の名称)に通っている自閉症や自閉傾向のある子供を、回転椅子に乗せて回転させて結果を見るとい事を行っています。

調査内容として「回転中の様子」「回転後のバランスの維持」「回転後の気持ちや嘔吐感じ」「眼振」の項目を調べています。なお、眼振とは身体が回転している際に眼を回転と逆に動かし、視界のブレを無意識に修正する行動で、眩暈などが起きた際に見られます。

研究の結果としては通常学級の子が回転後の眼振が概ね10秒から30秒続くのに対し、自閉症の子供は眼振自体が発生しない場合が大半で、眼振が見られても時間が20秒以内に収まっています。

また、回転中に声を出したりニコニコして喜ぶ子は通常学級の子が53名中2名だったのに対し、自閉症の子は42名中14人もいたと記録されています。なお、回転中のバランス維持や回転後のバランス維持に対しては、あまり差が無かったようです。

この研究から自閉症の子は、眼振という面では目が回りにくいと言えるでしょう。

目が回らない理由

自閉症の子供が目が回らない理由には「平衡感覚が鈍い」為と考えられており、平衡感覚でも特に三半規管で感知する「前庭感覚」が関係するとされています。この平衡感覚が鈍いという意味は、自閉症の原因である「先天的な脳の障害」ということから、平衡感覚を感じる脳の機能の発達が遅れているともいえます。

関連ページ
自閉症の感覚鈍麻とは| 発達障害-自閉症.net

前庭感覚とは重力に対して自分がどれだけ傾いているかの感覚で、高さ、回転、傾き、揺れなどを感じ取る機能です。前庭感覚が感知した状態の反射として、「めまい」「悪心」「嘔吐」などの、いわゆる目が回った状態の症状が表れます。

前庭感覚が鈍いと目が回らないだけでなく、「姿勢の維持」「動きの制御」が難しくなり、椅子におとなしく座っている事や気をつけの姿勢が難しかったり、体の動きがぎこちなくなったり、運動音痴となる場合があります。また、空間の認識や図形認識の能力も鈍くなる可能性があります。先に記した研究結果で「バランス維持」に関して通常学級の子供の差が見られなかったのは、前庭感覚が鈍いため体の姿勢の維持が難しいとも考えることが出来ます。

三半規管や前庭感覚は訓練により強化することが出来ます。フィギュアスケートの選手が3回転や4回転など連続してクルクルと回転しても目が回らないのは、日々の練習やトレーニングにより鍛えているそうです。

前庭感覚のトレーニングには、「飛び跳ねる」「回る」「揺れる」「バランスを取る」「空間や図形を認識する」等が効果的です。
具体的には「様々な感覚統合訓練」「ブランコ」「トランポリン」「平均台」「なわとび」「自転車」「ハンモック」「布団の上など不安定な場所を歩く」等が有ります。

前庭感覚のトレーニングは早ければ早いほど効果があるとされ、小さいうちから行っていくことが必要です。

クルクル回るのを好む理由

クルクルと回るのを好むのには大きく2つの理由が考えられます。


感覚刺激

感覚刺激とは環境や自分以外のものから、各感覚(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)のうち、この場合は主に「視覚」「聴覚」「触覚」に受け取る刺激の事です。

自閉症の人は感覚の感じ方や心地よいと感じる動きが普通の人と違う場合があり、
様々な動きから受ける外部刺激も健常者より少ないとされています。
そのため、クルクル回る行為が本人にとって気持ちの良い刺激や感覚であったり、心地よいと感じる動きである場合があります。

常同行動

自閉症の子供の大きな特徴に、同じ動きやしぐさを繰り返す常同行動というものが有ります。
クルクル回る行為が本人にとって心地より感覚刺激の場合、その感じを何度も味わおうとクルクル回る行動を何度も繰り返してしまいます。

クルクル回る行為以外にも「飛び跳ねる」「体を前後に揺らす」「手をパチパチと叩く」「手をひらひらさせる」などの常同行動が自閉症にはよ見られます。

関連ページ
自閉症の常同行動とは | 発達障害-自閉症.net

まとめ

自閉症の子供が目が回らない理由は平衡感覚が鈍いためと考えられます。
平衡感覚が鈍いと「姿勢の維持の困難」「体の動きがぎこちなくなる」「空間や図形の認識能力の低下」などに繋がる事があります。
解決方法の一つとして感覚統合訓練などを小さいうちから行うと効果的です。

クルクルと回るのが好きな理由には自閉症の大きな特徴である、「常同行動」と「感覚刺激」を求めるためと考えられます。

蛇足になりますが、自分でクルクル回るぶんには目が回らなくても他の人からグルグル回されたり、数人で飛んで自分のリズムで飛び跳ねることが出来ないトランポリンだと、目が回ったり気持ち悪くなったりする子供も居るので不思議です。

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