自閉症や発達障害のパニックの理由や対処方法

   2017/07/25

パニックとその対処方法

発達障害や自閉症の子供には、何らかの原因により自分をコントロールできなくなってしまいパニックに陥ることがあります。

パニックとは

パニックとは突発的な不安・恐怖心・ストレスを受けることで、混乱してしまう心理状態です。

パニックに陥ると外部からの情報を取り入れることや、取り入れた情報を脳が正常に処理することが出来なくなり、思考の停止や低下が見られます。そのため周囲の人から注意を受けたり落ち着くように声を掛けられても、全く伝わらなくなってしまいます。

脳機能が正常に動かないため、本人の意図しないからだの動きや言葉を発する事もあります。パニックの際には『自分の体を叩く』『自分に噛み付く』『頭を壁や床などに打ち付ける』などの自傷行為、他人を『叩く』『引っかく』『噛み付く』などの他害行為、物を叩いたり投げつけてしまう行為、暴言や奇声など大きな声を出す行為などが見られます。

パニックの種類

パニックの種類は大きく分けると4つの種類に分類することができます。


癇癪(かんしゃく)・泣き喚く

この種類のパニックは、小さい子どもが癇癪を起こして泣き叫ぶようなパニックです。泣く以外にも大きな声を出してわめいたり、寝転んで手足をばたばたしてしまうこともあります。

この場合声などをかけても聞こえていないため、本人が落ち着いたりクールダウンできるまで見守ってあげる必要があります。

自傷行為

パニックになると自分を傷つけてしまう自傷行為を行う場合があります。

自傷行為には『自分の顔や頭を叩く』『自分の手足に噛み付く』『髪の毛をむしる』『頭や顔を壁や床に叩きつける』『すごい勢いで後ろにひっくり返る』『壁に向かって走る』『自分を引っかく』などの行為が見られます。

また、『自分が死ねばよい』『自分は役立たず』『生きている意味が無い』など言葉で自分を傷つける自傷行為を行う事も見られます。

パニックで自傷行為が見られる場合には、落ち着くまで本人の安全を見守る必要があります。また、自傷行為を行っている際に本人へのダメージが大きい場合には、身体を保護してあげる必要があります。

頭や顔を叩いてしまう場合には(パニックが予想される際に)ヘッドギアを装着する、手に軍手など厚手の手袋をつける、床などに頭を打ち付けてしまう場合には床に布団やクッションを敷くなどがあります。

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他人や物への攻撃

他人へ危害を与える他害行為や他障行為を行うパニックや、物にあたったり物を投げてしまうパニックを引き起こす場合もあります。

他人への危害には『殴る・蹴る』『噛み付き』『つねり』『引っかき』や、『あっち行け』『死んでしまえ』『嫌いだ』など言葉での攻撃がみられます。

物にあたってしまう場合には『棚や壁などを殴ったり蹴ったりする』『本を破く』『自分の服に噛み付いたり破く』『物を投げる』『机や棚に並べてあるものをなぎ倒す』などがみられます。

このようなパニックが見られた場合には、まず周囲の人や物に危害が出ないようにすることが必要になります。周囲に人が居る場合には十分に距離をとったり、別室に非難させます。できればパニックを起こしている人が目に入らない別室に移動させると、パニックを起こした本人の為にも良いです。

また、ガラスや刃物やペンなど怪我に繋がるようなものが近くにある場合には直ぐに片付ける必要があります。また、近くに投げてしまうようなものやなぎ倒してしまうようなものが有る場合にも、移動ができるなら移動させるようにしましょう。

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かたまる

パニックにより思考が停止状態になってしまい、固まってしまう事もあります。思考が停止してしまうと周囲の問いかけも耳に入らず、体も動かなくなってしまうため、しばらくボーっと立ち尽くしたり、その場でしゃがみ込んで動けなくなってしまいます。

一見ふざけているように見えたり、話を聞いていないように見えても、本人の中ではパニックに陥っているということもあります。このような場合も本人が落ち着いて意思を取り戻すまで、見守ってあげると良いでしょう。

パニックの原因

パニックの原因には「突然の予定の変更」「嫌な音が聞こえた」「物事を注意された」「やりたいことを阻まれた」「楽しかったり怖かったりと非常に興奮した」「物事に対して我慢が出来なくなった」「暑い・寒い」「不快な音が聞こえた」「おなかがすいた」等が有ります。

また、今現在の事でなくても過去のことを急に思い出し、それが原因でパニックになる場合もあります。
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健常児であれば、声に出して文句を言って気持ちをコントロールしたり、物や他人に八つ当たりをしてストレスを発散することができますが、発達障害や自閉症の子供は気持ちをコントロールすることが出来ずパニックになってしまます。

パニックになりやすい場面

パニックになりやすい場面には「状況がわからずに混乱する」「不快なことを感じる」「長時間の頑張りや疲労の蓄積」「要求されていることがわからない」「自分の要求が通らない」などがあります。

状況がわからない事によるパニック

状況がわからずに混乱する場合には、「急な予定の変更」「たくさんの人がばらばらに動いている場面」「途中から集団活動に参加した」などが当てはまります。

不快によるパニック

不快なことを感じる場合には「暑さ・寒さ」「大きな音」「他人から叩かれた」「空腹」「のどの渇き」「眠い」などがあります。感覚過敏などの特徴があるとこの理由によりパニックが引き起こされることもあります。

不長時間の頑張りや疲労の蓄積によるパニック

苦手なことや不得意なことを長時間頑張ると、疲労やストレスがたまり、それが爆発することでパニックを引き起こすことがあります。疲労やストレスの原因には肉体的な疲れのほか、精神的な負担も原因のひとつとなります。

要求された事が不明なためのパニック

要求されていることがわからない場合には「相手からの指示が不明で混乱する場合」「学習の内容がわからない」などが当てはまります。

自分の要求が通らないためのパニック

自分の要求が通らないと自分の欲求が満たされないことと、相手に理解してもらえないことのストレスから、小さい子どもの癇癪のようにパニックを起こすことがあります。

パニック時の行動や様子

パニックを起こしてしまった際には、以下のような状態や行動が見られることがあります。

  • 泣き出す
  • しゃがみ込む
  • 立ちすくむ
  • 大きな声を出す
  • 何度も同じ言葉を繰り返す
  • 服やタオルをかむ
  • 自分の手や腕をかむ
  • 自分の頭や顔を叩く
  • 自分の髪の毛を引っ張ったり抜く
  • 自分の頭や顔を壁や地面に打ち付ける
  • 物を投げる・物を壊す
  • 棚から物を落とす
  • 他人に八つ当たりをする
  • 暴れる
  • 暴言や汚い言葉を言う
  • 自虐的な言葉を言う

パニックは「泣いたり」「立ちすくんだり」と他人に影響がない物もありますが、場合によっては自分を傷つける「自傷行為」を行ったり、物を壊したり他人に危害を加えてしまう場合もあるので注意が必要です。

パニックの対処法

パニックが収まるまで見守る

パニックになってしまった場合、基本的に外部からの情報を受け入れることが出来ないため、周囲の人の声かけや指示は入りません。そのため、安全に見守ることが重要となります。

無理にとめようとしたり落ち着かせようとしてパニックを起こした子に近寄ると、攻撃をされたり、ストレスを感じて余計に混乱してパニックになる事もあるので注意が必要です。

本人と周囲の人への安全の配慮

パニックになってしまった場合には、まず本人やその周りに居る人への安全を配慮します。

パニックになった本人が移動できる場合には静かな個室などに移動し、クールダウンして落ち着かせます。パニックになった本人が移動できない場合には、周りの人を近づけさせないように別室や安全な場所に移動さ危害を受けないように配慮します。

パニックになってしまう子が居るのが予め分かっている場合には、移動できる別室を用意したり、包まれる布団を用意したりと自主的にクールダウンできる環境を整えることも重要です。

自傷行為への対応

本人が頭を壁や床に打ち付けたりしている場合には、間に座布団やタオルなどをあてがい怪我をしないように配慮します。

原因の対応

パニックになってしまった直接の原因がわかる場合には、その物事に対して対応を行うのが効果的です。

何かの音がうるさい場合には音源を止める、暑い場合や寒い場合には室温を調整する、空腹や喉の渇きが原因の場合には飲食を取らせるなどがあります。

クールダウンを行う

パニックになってしまった場合は個室などの静かな部屋や場所に移動し、本人がクールダウンして落ち着けるように促します。

また、布団にもぐる、水を飲む、安心できるグッズを与えるなど、本人が落ち着ける物を用意する事も効果的です。

まとめ

一見パニックには原因がわからない事もありますが、子供が何かしらのストレスを抱えているのは間違いありません。

パニックを起こしてしまうと周囲の人は理由もわからずいきなりパニックになったと思ってしまいますが、パニックを起こした場合にはかならず理由がありそれを本人が対処できずにパニックとなります。

パニックになった場合は、周囲の状況や環境、行動の前後関係も含めて観察することで、原因を絞る事も出来ます。

パニックをなくす事は難しいですが、パニックを出来るだけ起こさないようにする配慮や、本人が混乱した際に対処できるよう学ばせる事も必要となります。

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